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不惑の韓流女優シリーズ⑬ハ・ジウォン~6月28日お誕生日おめでとう~

かつてNHKの地上波で放送された韓流ドラマのなかでは、主演ドラマがダントツで放映されていたのではないでしょうか。
ハ・ジウォン  1978年6月28日生まれ。

第1次韓流ブームのころから、映画にドラマに大活躍の女優さんでしたので、日本でも大人気でしたから、中国人の韓流ファンには日本ほど知名度が高くないのに、わたしの方が、びっくりしてしまったくらいです。
たまたま、わたしの周りの中国人がそうだったのかもしれませんが。あらためて、NHK地上波の影響力は大きいなと思わされました。

今回、この記事を書くにあたり、どうして、NHKはハ・ジウォン主演のドラマが好きだったのだろうかと考えてみました。

韓国でドラマ廃人を生み出した「茶母」、同じ人物を演じてソン・ヘギョを圧倒した「ファンジニ」、アクションありロマンスありの大河ドラマ「奇皇后」と、ハ・ジウォン主演の時代劇は、どれも韓国で高視聴率を誇ったものばかりだし、最近、ヒョンビンブームで再注目された「シークレットガーデン」も韓流ドラマ史に残るロマコメでした。
だから、彼女主演のドラマには、ヒット作が多かったから、NHKも取り上げたのだろうとみることもできます。

しかし、わたしの見方は逆で、ハ・ジウォンが、いかにもNHKが好きそうな女優だから、ドラマも取り上げられたのではないかと思うのです。
そして、NHKが好きそうなところは、そのままハ・ジウォンの魅力でもあると思うのです。

ハ・ジウォンの印象は、すっきりとした美人(若いころは松たか子とそっくりと思ったのは私だけ?)ですが、守ってあげたくなるような保護本能を刺激するような美人ではなく、アクションもできる健康美人だと思います。

それが演じる役柄にも反映されていて、頑張り屋で努力家のヒロイン役とか、いじめられても逆境に負けないヒロイン役とかが多いような気がします。もちろん、お色気がないわけではありませんが、ドラマの中では、女性性や女子力を前面に出すこともありません。
かといって、アクションはこなしても、個性や自己主張が前面にでるような勝気な感じもないのです。
綺麗だけれども、飾り気はなく、芯は強いけれども、生意気で小憎らしくはない、男に媚びないけれど、健康的なお色気はあるというような、そんな頑張り屋のヒロイン役がハ・ジウォンの真骨頂でした。

だから、誰からも愛され、男性はもとより同性である女性からも反発はなく、老若男女に受け入れられるという、そのへんが、なんというか、いかにも「皆様のNHK」が好きそうな、朝ドラのヒロインなんかに通じるような・・・そんな気がするのです。

そして、そんな好感度抜群な彼女の主演ドラマは、次々とヒットとなり、韓国を代表する女優のひとりとなったわけです。ドラマ「奇皇后」までは、出るドラマがすべてヒットしてました。

ところが、プライベートでも熱愛スキャンダルもなく、公私ともに好感度抜群の健全なイメージは、裏返せば、どんな役をやっても、同じように見えてしまうという短所にもなりうるわけで、ここ数年、ヒット作に恵まれない要因にもなっているような気もします。

韓国ドラマでも、不惑の年齢、つまり中年と呼ばれる年齢の女優が、主役として出演するドラマは、限られた分野になっているので、ハ・ジウォンの今までのイメージのままの役柄のヒロインでは、注目を集めるのが難しくなっているのです。

たとえば、「SKYキャッスル」「夫婦の世界」のようなドラマがヒットして、40代や50代の女優も、主演女優賞を受賞していますが、不倫も、裏切りもなんでもありというような、女の情念を描いたダーク・ヒロイン役は、どうしたって、ハ・ジウォンのイメージではないでしょう。

ドラマの主演であるヒロイン像も、若いうちは、まるで、ジプリアニメの主人公のように、健全でスポーツ万能で正義感あふれる元気なヒロイン像が求められても、中年にさしかかり熟女と言われる年代になれば、「ひとつやふたつじゃないの、古傷は」といったミステリアスな雰囲気のヒロインの方が評価されてしまうという、或る意味、ジェンダーバイアスから逃れられないからだと思うのです。

この「不惑の韓流女優シリーズ」で取り上げている女優さんの中でも、最年長であるハ・ジウォンは、これをどう乗り切るのかがこれからの課題になっているのではないでしょうか。

そんなハ・ジウォンは、ドラマよりも映画のほうに活路を見出しているのかなとも思います。
ドラマをあれだけヒットに導いた、もともと存在感も演技力もある女優さんなわけですから、どんどん、いろいろなジャンルの映画に出演して、可能性を広げていってほしいと思いますが、無理して汚れ役をやることもないわけで、これからの時代に合ったはつらつとした中年のヒロイン像が出てくる映画やドラマが創られることを期待したいと思うのです。

ちなみに、この映画「いつか家族に」では、ハ・ジウォンは、それこそ、訳アリで3人の子持ちの母親を演じていますが、いきなり大胆な変身を遂げたというよりは、ソフトランディングしたような感じで、今までと違った姿を見せてくれました。

やはりヒューマン映画は、彼女に似合うし、あらためて素敵な女優だなと彼女の魅力を気づかせてくれる映画になっています。

※本編予告編には、ハ・ジウォンがあまり出てこないので、こちらの動画も追加しました。



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松幸 けい
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