【大解説】元小学校教員が語る"かけ算の順序問題"
こんにちは。
かけ算の順序問題
年に2回くらい、かけ算の順序問題がネットニュースで取り上げられたり、twitterで話題になっていたりしますね。
かけ算の順序に意味はないとする派の意見としては
1.どちらの式でも結局答えは同じ
2.数学の世界は順番に意味はない
などという意見が大半を占めていますが、はたして本当にそうなのでしょうか。
今回のnoteでは元教師だったぼくがかけ算の順序問題をわかりやすくぶったぎります。
元教師のかけ算順序問題における見解
ほとんどの小学校教師の間ではかけ算の順序は決まっていなければならない。
かけられる数とかける数が前後していたらそれは不正解だ。
※(かけられる数)×(かける数)← ×の後がかける数です。
という不文律が存在しています。
ぼくの見解としては
かけ算の順序はなるべく守ってほしいけれども、どっちでもいい。
しかし説明ができるという条件付きで。
です。
具体的な問題を出して説明をしていきます。
小学校2年生のかけ算問題
さっそく出題です。
4枚のお皿の上にりんごが2個ずつのっています。
全部でりんごは何個ありますか。
この問題の式を考えてください。
時間は10秒です。
答え合わせ
2+2+2+2
です。
かけ算の問題じゃなかったの?と思う人もいるかもしれませんが、正直言って、上記の問題をかけ算にする必要はありません。たし算で計算できるのにかけ算を使う必要はないのです。
上記の問題でかけ算を使わせるのは完全に大人の都合です。
日本では小2から大人の都合に振り回されます。
と、えらそうなことを書いていますが
小学校2年生のかけ算問題
と書いている以上、かけ算で回答する必要がありますね。書いてなければかけ算つかってもつかわなくてもどっちでもいいんです、こんな簡単な問題は。
さて、みなさんが思い浮かべた式は
4×2でしたか
それとも
2×4だったでしょうか。
正解(義務教育で習うもの)は
2×4が正解になります。
どっちが先でも答えは変わらないから4×2でもいいという人もいるでしょう。
はい、その通りです。
でもちょっと待ってください。
ぼくは先ほど
かけ算の順序はなるべく守ってほしいけれども、どっちでもいい。
しかし説明ができるという条件付きで。
と言いましたが、イメージできていますか。
次で詳しく説明していきます。
かけ算の順序を守った場合
式は2×4になります。
なぜ2×4になるのかというと
さっきズルをした2+2+2+2が関係しています。
がんばってイメージで表してみました。
こうなります。
1皿にりんごが2つのっていて、それが全部で4皿あるイメージ。
たし算そのまんまです。
なんで2皿目以降が点線で尚且つりんごものっていないのかというと、すべて描いてしまうとたし算になってしまうからです。小学生の内はすべて描いてもいいのですが大人は違います(笑)
さて、もう1つの式に移ります。
かけ算の順序を守らなかった場合
4×2になります。
正直言って、教えていたぼく自身もどっちでもいいんです。
けど、
「かけ算の順番なんてどっちでもいいじゃないですか」
というと職員室内で不評を買います(マジ)
さて、この式にたどり着いたみなさんはイメージできていますか。
がんばってイメージを紙に描きました。
これが4×2のイメージです。
合ってましたか?
2×4は1皿2個が増えていくイメージでしたが、4×2は最初に4枚のお皿があって、かける数の分だけりんごが置かれていくことになります。
(今度はお皿をちゃんとかいてますがわかりやすいようにです)
答えは同じですが考え方(イメージ)が全く異なっているのがわかるでしょうか。
なぜかけ算の順序が重要視されるのか
小学校からプログラミング教育をするという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、小学校のプログラミング教育とは多くの人が想像するようなコンピュータプログラミングをするのではなく、その基礎・土台としての論理的思考を育むことが重視されています。
論理的思考って昔から言われているのに今さらというのが正直な感想ですが、つまり1皿に2個の皿の数が増えていくのか、4皿の上に1個ずつりんごが増えていくのかの違いになります。
これを説明できるかできないかが重要なんじゃないでしょうか。
なので、ぼくは4×2と回答した子がいてもちゃんと説明できれば丸にしますし、そういう子はむしろ2×4と書いた子よりも優秀だなとさえ思うのです。
かけ算の順序問題がこんな場合に役立つ
小学校3年生くらいになると次のような問題が出ることがあります。
1つの箱に4つお菓子が入っています。お菓子は1つ88円です。2箱買うと代金はいくらになりますか。
この問題の式は
4×88×2
4×2×88
88×4×2
88×2×4
どれも正解になります。
しかし小学校教育では式を立てることが大切なのではなく、なぜその式になったのか、かけ算の順番が違うと考え方がどうかわるのか。
がとても重視されています。
テストでは答えを求めていますが、授業では答えそのものを求めてはいません。
自分の考えを周囲に説明できる力の育成が重視されています。
(が、そんなこと考えて授業している教師は本当に少ないです)
まとめ
こんな説明で納得してもらえたでしょうか。
科学者やいい大人がこの問題で騒いでいるのを見る「かけ算の式なんざどうでもよくて答えがあっていればいいんだ。」というのが見え隠れしていてとても残念です。
今年もすでに47×12問題が出てますが、年内にもう1度くらい順序問題が繰り返されるんじゃないでしょうかね。
その時は誰かがこのnoteの存在を教えてあげてください。
では。