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アート鑑賞と生徒指導



📍ルイーズ・ブルジョワ展
  〜地獄から帰ってきたところ
    言っとくけど、素晴らしかったわ〜

          2025.1.19まで開催中


             @六本木駅


久しぶりのアート鑑賞で、改めてアートと対峙する時間の意義を感じたので、私なりの学び方についてシェアします!

【前提】にわかなアート好き

予め断っておくが、私自身の経歴にアートに纏わる実績はない。小学生の頃、神社を写生した絵が入選したことがあったくらい。担任の先生が、画用紙配りながら、「今日は自由に描いてねー!」という展開が大嫌いだった。真っ白な画用紙を目の前に無力感を覚え、その感覚から抜け出す術もなく、、、いつも先生に言われた通りの絵を描いていた。入選したのも、先生の導きに忠実に神社の屋根瓦をグラデーションで全部違う色に塗った(途方もない作業だった😅)ことへの賞賛だったと捉えている。好きとか、楽しいという感情は湧かず、その後アートに触れる機会なく過ごしてきた。

【きっかけ】アート好きって言ってみたい

そんな小学生だったから、絵を描くという行為に対してコンプレックスを抱え、大学生の頃くらいからアートが好きという友人を前にすると尊敬の眼差しを向けるようになる。特に、現代アートのような理解に苦しむ表現をいつまでも観ていたいという人のことは全く分からなかった。でも、そのうちに、自分もアートを見て楽しむんだったらできるかも!と、徐々に美術館に足を運ぶようになる。最初は、アート好きな人風な雰囲気を醸し出しながら美術館で過ごしていた気がする。別に私に注目する人なんていないのに、無意味に周りの目を気にしていた自分が恥ずかしい。その後、スタンプラリー的に旅先や都内の美術館に通うにつれて、徐々にアート鑑賞の面白さに気づくようになってきた。(最近知ったのだけど、これを、心理学でのザイオンス効果という。何度も目にすると好きになることが証明できた😂)


【本題に向けて】アートと生徒指導

本格的にアート鑑賞を自分の学びとして捉えるようになったのは、30代半頃。公立小学校に勤務していて、教育相談や生徒指導の分野にどっぷりと浸るようになってから。その分野で日々子ども達や保護者と関わることで、自分の人生経験や力量を超えた問題に直面し、悩むことが一気に増えた。対応マニュアルは一応あるが、そんなものただの紙切れに感じてしまう、一筋縄では解決しない課題に直面し続けた。そんな中、何かを解釈することに正解がなく、アーティストの考えを受け入れることができるアート鑑賞は、答えのない課題に向き合うための柔軟な思考や感性を養うことに最適だと気づき始める。直接的なスキルではないが、アートを鑑賞することで培われてきた思考や物事の捉え方が、子ども達や保護者との関わりに、一役も二役もかってくれているように感じるようになってきた。


では、前置きが長くなってしまったが、私がアート鑑賞を通して得た学びを生徒指導にどのように生かしていたかをまとめていく。かなり主観的な視点なので、参考程度に読んでいただけると幸いである。

①アーティストの人生を疑似体験して、どんな価値観にもフラットで対峙する態度を養う。

アーティストの宿命か、彼らの歩んできた人生は、教育相談や保護者面談等で語られる内容とは比較にならない程の強烈な体験群に彩られている。これを知見として得ることで、私たちの内面は大きく豊かになる。生徒指導では、容赦なく次々と多種多様な案件が上がってくる。私も慣れない頃はいちいち動揺してしまうことばかりで、不安に襲われていた。いかにも生徒指導の先生(昭和的な😂)みたいな強面でもないし、圧を出せる存在でもない。そのため、対応に迫られた際の心の動きは、生徒指導で対応が必要となる子ども達には、あっさりと見透かされてしまい、心を開かせることの足枷になることが多かった。その苦い体験から、よりフラットに案件を受け入れられるために、"アーティストなりきり遊び"をしながら鑑賞するようになった。ポイントは、彼らの人生を主役として脳内で楽しみきること。そうすることで、自分の中になかった価値観へのハードルが下がってくる感覚を得た。この脳内遊びに慣れてくると、目の前の相談事や子ども達の多様な感性や価値観を受け入れることに抵抗がなくなってきて、以前よりも毅然として居られるようになった。


②強烈な体験群から湧き起こる感情を知り、多様な感性を受け入れる訓練をする。

アーティスト達は、人生体験の中で抱いた想いや葛藤が原動力となり表現活動に没頭する。ここでは、その原動力となる感情にとことん寄り添っていただきたい。キュレーターによる作品解説やアーティスト本人の残した感情を言語化しているものを丁寧に拾い上げ、作品制作の背景にある経験や感情を探りながら、彼らが語りかけてくる言葉として受け止めながら傾聴するのが肝。理解が難しい言動や表現にも出逢うが、投げ出さずに寄り添う態度で臨むことが、多様な価値観を受け入れる土台をつくっていく。この思考に慣れることで、関係性を築くことが難しい子ども達の話を聞くときも、作品と向き合うような感覚で相手の感情に寄り添いながら傾聴できるようになっていく。どんな人も、自分の話を聞いてくれる人を信頼するということが心理学的にも証明されている。アート鑑賞で、日頃から多様な感性を受け入れる素地を養っておきたい。


冒頭で提示したルイーズ・ブルジョワ展では、ブルジョワの制作意欲の下支えとなった強烈な感情に触れたことで、私自身も触発され改めてアート作品のもつエネルギーを感じた。ブルジョワ展の余韻に浸りながら、じっくりと自分なりに生徒指導に生かしてきた学びをnoteに記してみることも、学びを深めることに繋がっている。感覚的な面が強く、こうして文字化していくこともかなり苦労した。アート鑑賞と生徒指導については、これからも深めていきたいオリジナルテーマとして活動を続け、裏付けとなる論文や様々な先行研究に触れることで、より確信に迫ってみたいと考えている。


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