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【読書感想】2024年102冊目「新史 太閤記(下)」司馬遼太郎/新潮文庫


pp.461--530 禅高ぜんこう、高松城

飢餓の者は胃や内臓がちぢんでいるという。一時に多くをあたえれば頓死する、といわれている。・・・

これ、聞いたことがある。薄い粥から戻していかなければ、胃にものすごい負担がかかるらしい。

歳暮の習慣は、いつが起源かともわからぬほどにふるい。おそらく唐土から伝わって、日本では公卿あたりがはじめたものであろう。室町の世がおだやかなころは公家、武家、町家を問わず重要な年中行事のひとつとして取り交されてきた・・・

そんなに前からある行事だと初めて知った。しかし、今は、だんだんと廃れているように思う。時代の変化を感じる。

秀吉はこの破格な、虹のような栄光に気が遠くなるようなおもいであった。二十代で織田家に仕えていらい、骨身を削って尽してきた粒々の辛苦が、この一瞬でむくわれたようにも思われた。・・・

今は、社長応接、社内に向かっては、あまり使っていないなぁ。ちょっと反省。何か、社員を褒め称えるときや、昇進昇格の事例の時などには、使うべき。

概念の変革こそ、天才のしごとであり、栄光であろう。・・・・

社長の仕事のもっとも大事なところ。

「世を動かすのは、これだ」と、秀吉はいった。これ、というのは人間の欲望を指している。秀吉は人間の欲望を刺戟した。すると水が低きへ流れを変えるように、秀吉の思うがままの方向に人間どもはうごきだした。・・・

「水が低きへ流れを変えるように」経営も進めていかなければいけない。

pp.530--564 変報

秀吉は、すでにおとなでさえなかった。板敷に尻餅をつき、嬰児のように両のあしを投げだし、のど奥からながながと奇声を発した。人間の声ではなかった。やがて官兵衛はそれが哭き声であると知ったが、とにかく大人の泣きかたではなかった。・・・

本能寺の変を知った秀吉。これと同じような「哭き声」を僕は、聞いたことがある。それは「ウガウガ」だったけど、やはり人間の声ではなかった。

pp.565--596  瀬兵衛

かれ以前の軍事的天才たち──上杉謙信、武田信玄でさえ──敵を肉眼で見てから合戦を開始した。しかし秀吉の合戦は、敵を見たときにはもはや合戦のほとんどがおわっていた。あとは勝つだけであった。・・・

仕事も同じ。無理をしてうまくいくことはない。夜勤ばかり増やして、何の工夫があろうか。

pp.597--632 勝家かついえ

秀吉は、着座した。膝をくつろげ、その膝に三法師を抱いている。作法により、一同、半ば顔をあげた。すぐ、ふたたび平伏した。そのつど、秀吉はうなずき、そのため秀吉に平伏しているようなかっこうになった。一座で笑いを噛みころしている者もあれば、勝家のように怒気を含んでいる者もある。・・・

秀吉すごい。そして面白い!ここまで計算して、三法師(信長の孫)の養育係を買って出たのか!ユーモアって大切。

pp.633--664 羽柴少将はしばしょうしょう

秀吉のいうところは、傲岸とは馬鹿の別称であるという。傲岸にかまえた心根から智略などは思いうかばないという。・・・

やはり知恵は、謙虚さや素直さから生まれる。

pp.665--697 紀之介きのすけ

「官兵衛、世の事はすべて陽気にやるのよ」それが秘訣だ、と秀吉はおもっている。悪事も善事も陽気にやらねばならない。ほがらかにあっけらかんとやってのければ世間の者もその陽気さにひきこまれ、眩惑され、些細な悪徳までが明色にぬりつぶされて一種の華やかさを帯びてくる。・・・

まさしく、人生で一番大切なことは、機嫌がいいこと!

pp.698--730 大垣おおがき

居所も行動予定も、味方の諸将にすら秘密にしていた。すべて秘密であらねばならない。 (おれは風だ)風であろうとした。風はその正体を人に知らしめず、その吹きおこるところを人に知らしめず、いずかたへゆくかも知らしめない。・・・

社長の居場所が逐一知られるというのは、まずい。相手に戦略を知らせるようなものだ。僕が、部屋のドアを開けておくのも、部屋に居ようが居まいが、僕の気配を消さないため。

pp.731--820 しずたけ、政略、家康

諸国のいわゆる英雄どもは仕事師としてはそれぞれすぐれている。しかし仕事師であるだけに顕揚欲がつよく、その面をもって相手の心を釣れば意外なほどの子供っぽさをみせ、こちらの投げおろした餌に食いついてくることが多い。・・・

金や名誉で動かぬ人は、世の中ではごく一部しかいない。

pp.821--889 尾張おわり戦線、狂言(下巻読了)

ふと秀吉は、織田家に仕えた自分の生涯のふりだしのそもそもから狂言であったような気がした。その生涯を狂言の連続とすれば、なんとながい狂言であったことであろう。・・・

狂言とはいかずとも、人生は長い芝居のようなものだと僕は思う。誰もがその主人公で、自分のなりふりかたは、自分で決めなければいけない。僕は、いざ、人前での笑顔を忘れず、困った顔を見せず、これからも役目を演じていきたい。

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松坂 晃太郎  / ヒロボー 代表取締役
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