
「変わらないために、変わり続けよう」という我が社のスローガンは、世阿弥に通じていた!
【読書感想】2024年97冊目「高田明と読む世阿弥」増田正造監修/日経BP社
pp.3--12 はじめに
番組制作を外部の会社にお願いしていたものの、収録から放映まで2カ月ほどかかってしまう。そこで自前のスタジオをつくり、スタッフを育てることにしました。通信販売会社ジャパネットたかたはこうしてできたのです。・・・
ドットコムも他人に頼っていては、到底今の姿はなかったと思う。最初は、数百万、千万円の見積もりも出ていたし。自前ってやっぱり強いと思う。
では「初心忘るべからず」「秘すれば花」という言葉はどうでしょう。それなら知っているという人は多いのではないでしょうか。 実は、これらは世阿弥の言葉です。・・・
世阿弥の言葉だったんだ、知らなかった。
pp.18--29 第1章 積み重ねる 自己更新 変えられないことで思い悩まない
「平戸じゃなければ商売できない」「あのお客様がいなければ利益が出ない」。そんな特定の考えに固執していたら、環境が変わったときに身動きができなくなります。・・・
モールド事業もモデルも、小さなのお客様を大事にする。大口のお客様も、確かに大切だけど、相手の都合で、突然契約が打ち切られるということは、ぼくも痛いほど、経験してきた。だから、大口には依存しない。
pp.30--34 未熟であるということは、まだまだ成長の余地があるということ
世阿弥は「初心を忘るれば初心へかへる」とも言っています。自分が未熟だったことを忘れたならばどうなるか。慢心してしまい、元の未熟な状態、もしくはそれ以下になってしまうと言いたいのでしょう。・・・
不良を出してしまうのは、初心を忘れるからだとぼくは思っている。できたからと慢心することなく、横着することなく、謙虚でなければいけない。
pp.35--42 ライバルは「昨日の自分」。慢心は落とし穴
時分の花をまことの花と錯覚して慢心し、消えていく若者がいかに多いことか。時分の花をまことの花と勘違いしてしまう・・・
ときに、それはブランドのせいだったり、いろんな要素があって勢いが出たのであって、決して自分の力だけではないだろうと謙虚に考えることが大事。
pp.43--53 監修者の覚書1 科学も経済も現代が注目する能の本質
よちよち歩きの初舞台から、美少年時代、青年初期の停滞の克服、スタートになる壮年期、そして衰える肉体を心で支える老年期。落魄の美女の能「老女物(*9)」が最終コースにそびえ立つ。・・・
ぼくがライフワークとして続けている柔道の世界にも、能と同じような世界がきっとあるように最近思っている。
pp.54--59 第2章 伝える 話す順番を間違えると伝わらない
私は長年、通販番組に出演してきましたが、これまでの経験上、物事を伝える順番や、そのときの空気感を間違えると、不思議なくらいにお客様の反応がなくなってしまうことを痛感しています。・・・
ぼくも朝礼や講演など、人前に出て一番気をつけていることは、最初の1分間でいかに、聴いている人の心をつかむかだ。
あらゆることに導入・展開・結果というリズムがある。能の序破急は加速度の付け方の面白さ。一足の運びにも、1日の演能にもその工夫が必要である・・・
ぼくはたいてい、起承転結という4つの区切りで話をするようにしているけれど、その中にも、もっと変化を持たせていきたいと思う。
pp.60--99 (2章 「伝える」の続き)
心を十分に動かして、身を七分に動かせ(「花鏡」動十分心 動七分身)・・
語りすぎると、伝わらないということを、僕も何度も経験してきた。スティーブ・ジョブスも、シンプルなプレゼンで有名だ。
これ、諸人の心を受けて声を出だす、時節感当なり(「花鏡」時節当感事)・・
先日ある会社に訪問した。それまで全くコンタクトしていなかった顧客だったけど、時節到来と思ったからだ。物事には、この時というタイミングがある。
この理を知ること、まことの物まねなり(「風姿花伝」第七別紙口伝)・・
若く見せたいが身体がリズムに追いつけない老人の心情の裏側を演ずるこそ、「物まね」の神髄である・・・
要するに、「なりきる」ということだと思う。
pp.100--130 第3章 <変える> 革新
花と、面白きと、めづらしきと、これ三つは同じ心なり(「風姿花伝」第七別紙口伝)・・・「花」、舞台の魅力とは観客が面白いと受け止めることであり、それは演技の新鮮さ、思わぬ感動である・・・
朝礼や人前で話すとき、これ、とても大切。
変化対応ではなく、変化創造。自ら変化をつくっていかないと、企業は生き残っていけない。・・・ただ、花は、見る人の心にめづらしきが花なり(「風姿花伝」第七別紙口伝)・・・
モデルも、ドットコムで変えてきた。これからモールドも変えていこう。受注生産にして、在庫も減らす。倉庫も要らなくなる!
「秘すれば花なり。秘せずば花なるべからず」・・・「秘密の芸を用意しておいて、ここぞというときに使いなさい。仮にその技が画期的でなかったとしても、観客を驚かせることができる・・・
サプライズが大切。事業も、若い人が、新しいことにどんどん挑戦していってほしい。
pp.131--153 第4章 <つなぐ> 永続(読了)
「あなたがいないと困る」。そんなふうにお客様に言っていただける企業であり、人になれたらいいと思っています。・・・・
ヒロボーもそうなれたら。永続していくためにも、次の世代へバトンタッチできるように、僕自身も、伝えるべきことを伝えていきたいと思う。
永続に求められるのは、不易流行の実践・・・
そうだ。僕はこれを、「変わらないために、変わり続けよう」と言った。観阿弥が言ったことと同じだ。
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