インドで街を歩いていたら爆撃パレードに巻き込まれ「ここは戦場か?」と思った話
今年もとうとう、この時期がやってきた。
そう、インドの正月「ディワリ」だ。毎年この時期になると、インド在住の日本人の9割がインド国外に逃亡するとも言われているほどの恐ろしいイベントだ。
◆ ディワリとは?
「光のフェスティバル」だなんて、そんな可愛いものではない。この5日間は、朝8時から深夜まで絶え間なく爆竹や花火が鳴り響く。その音の凄まじさは中華圏の旧正月の爆竹とはまったく異なり「爆撃」という表現の方が近いのではないかと私は思っている。
犬や猫はこの異常な爆撃音に驚き、精神的に不安定になることが多いらしく、ペット用の精神安定剤も販売されていると聞いたことがある。実際、人間も相当なダメージを受ける。人間にもメンタルケアが必要なのではないだろうか。
ちょうど昨年。ディワリ初年度を思い出す。
恐怖のインド正月の存在すら知らなかった私は、カフェで作業をしようと、家を出て大通りに足を踏み出した瞬間、まるで戦場に飛び込んだかのような大音量の爆撃音に見舞われた。
戦争でも始まったのか?
いや、ちょうど近所の大きな寺院から、ディワリの爆撃パレードが始まっていたのだ。
仏像を乗せた神輿(みこし)を担ぐ一団と、その通り道に並べられた地雷級の爆撃に次々と火をつける地雷班。カフェに向かおうとする私に執拗に追ってくる神輿と地雷。
そう、運悪く神輿のルートとカフェの方向が一致してしまっていたのだ。
私は訳がわからないまま、後ろを振り返りつつ小走りで前へと進む。だが、背後から迫る神輿の一団は勢いを緩めることはない。そして路上に次々と火をつける地雷班。爆発する地雷。頭の中で鳴り響くエアロスミス。まさにアルマゲドン。
なぜインドの人たちはこの「爆撃」に5日間も耐えられるのだろうか。
そういえば、インドはどの店に行ってもBGMがやたらと大音量で流れていて「みんな耳大丈夫?」と思うことがある。このディワリの爆音に耐えることができるよう、普段から鍛えているのかもしれない。
そして私もこの1年で鍛えられたのだろうか。
今年のディワリでは、心の準備ができていた分、落ち着いて過ごすことができた。外出はしない。窓を閉め切り、ノイズキャンセリングのヘッドホンをつけてNetflixを観る。これが平穏を保つ最善策だと今のところ考えている。