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枚方市議会議員が考える組織運営~「仕組み」と「運用」~

こんにちは。
枚方市議会議員の松本佑介です。

先日、令和5年度12月定例月議会で、
一般質問をさせて頂く機会がありました。

多々質問させて頂きましたが、
質問項目の中の1つに、
「8.枚方市役所の組織風土について」
というものがありました。

今回は、その質問の解説も兼ねながら、
経営管理組織運営の観点で外せない
「仕組み」「運用」という概念について、
お話しさせて頂きます。


「仕組み」と「運用」って何だ?

まずは皆さま、
「仕組み」「運用」と言われて、
私が何を言おうとしてるか
ピンときますでしょうか。

経営管理組織運営に関わったことが
ある方ならとにかく、普通は、
「言葉そのものは知ってるけど・・・」
と思う方がほとんどだと思います。

簡単に言うと、

「仕組み」とは、
ルールやマニュアル

「運用」とは、
ルールやマニュアルに基づいて、
人が業務を行うことを指します。

どうですか?
想像したものと合っていましたか?

この「仕組み」「運用」
ごちゃ混ぜにして考えてしまうと、
経営管理、組織運営の整備は空回り
することになります。

例えば、危機管理態勢について
考えてみましょう。

ある組織の方に、
自分達の危機管理態勢の状況について
質問したとします。

「仕組み」は〇、「運用」は×の場合

その組織の方はこう答えます。

「はい。様々な事象を想定した
危機管理マニュアルを制定して、
非常事態に備えているので、大丈夫です。」

しかし、その組織では、
危機管理マニュアルの保管場所が
組織全員に周知されておらず、
実際に緊急事態が発生したとしても、
危機管理マニュアル通りに行動できる職員は
いない
かも知れません。

また、例え、保管場所を知っていたとしても
職員達に危機管理マニュアルの内容が
根付いていなければ、これまた、
危機管理マニュアル通りに行動できる職員は
いない
かも知れません。

こういう状況を、
「仕組み」は整備されているが、
「運用」は出来ていない、
と言います。

「仕組み」は×、「運用」は〇の場合

また、別の組織の方はこう答えます。

「危機管理マニュアルは無いのですが、
毎年、非常時対策訓練を行っていて、
職場全員が動き方を把握しているので、
大丈夫です。」

しかし、その組織で人事異動があった場合、
新しく転入した人は、マニュアルが無いと、
いざというときに自分一人しかいなければ、
ゼロから対応を始めなければなりません

こういう状況を、
「仕組み」は不十分だが、
「運用」でカバーしている、
と言います。

ちなみに、「仕組み」という点で言うと、
この組織は、
危機管理マニュアルは未整備でも、
非常時対策訓練という制度は
ちゃんと整備できていますね。

しかし、経営管理や組織運営の評価では、
どれか一つが出来ていれば良いとはならず、
必要なものは全て整備する必要があります

質問項目「8.枚方市役所の組織風土について」

さて、「仕組み」「運用」という
知識を踏まえて、
私の質問項目
「枚方市役所の組織風土について」
を見てみましょう。

1回目の質問

私は1回目の質問で、
「将来の枚方を担う若手職員が
果敢にチャレンジできる組織風土が
重要であると考えているが、
市の見解はどうか?」
とお聞きしています。

これに対して、市は、
「枚方市人材育成基本方針を整備して
職員のあるべき姿として、
変化、変革を恐れず、未来へ向かって
挑戦する職員を掲げている。」
と答えています。

これは「仕組み」についての回答で、
「仕組み」はちゃんと整備されている
とのことです。

2回目の質問

それでは「運用」はどうでしょう。

私は2回目の質問で、
「行動指針等に対する職員の理解度と、
今後どのようにそれを浸透させ、
新たなチャレンジができる
組織風土の醸成につなげていくのか」
とお聞きしています。

どうですか?

私が「運用」について質問したことを
ご理解いただけましたでしょうか。

これに対する市の回答と、
さらにそれに対する私の反応は、
一旦この場では割愛させて頂きますが、
是非、枚方市議会の会議録や、
YouTubeでの動画配信で
ご覧頂きたいと思います。

なお、念のためお伝えしますが、
枚方市が「仕組み」「運用」
別々に答えられているということは、
私の質問に対応して下さった方は、
「仕組み」「運用」の違いを
認識しておられる方なのだと思います。

「仕組み」だけの議論は上滑りする

実は、組織風土改革で
多くの組織が失敗する理由の一つに、
人事制度評価制度という
「仕組み」の話で終わってしまい、
それをどのように根付かせるかという
「運用」の観点での整備が出来ていない
というケースがあります。

そのような組織では、
「仕組み」「運用」を切り分けて
評価する観点が無いため、
いつまで経っても「仕組み」の話に留まり、
次から次へと新たな制度を検討しては
効果が見込めないまま終わっていく
という、
無限ループが繰り返されることになります。

このような状況に陥ったときは、
誰か外部の方から、
「運用」という観点を持ち込んで、
ループを断ち切る必要があります

「運用」の整え方

では、「運用」の整え方、
すなわち、組織風土改革のために作った
方針やルールを根付かせるには
どうしたら良いのでしょうか。

私の個人的な見解と表現になりますが、
方針やルールが根付かない場合は、
"will"、"can"、"must"、
のいずれかが欠落していると考えます。

"will(意欲)"の欠落

まずはじめは、"will(意欲)"の欠落です。

これは、組織内の人間(当事者)が、
方針やルールを守ろうと思うかどうかです。

組織に所属する人達が、
その方針やルールを守っても意味がない
と思っているならば、
その「仕組み」は簡単に形骸化します。

"can(能力)"の欠如

次に"can(能力)"の欠如です。

どんなに素晴らしい方針やルールでも、
組織の人間が内容を理解できない場合、
そもそも守ることが出来ません。

この場合、「仕組み」は不十分、
ひどい場合は意味がない状態
存在することになります。

"must(義務感)"の不足

最後は"must(義務感)"の不足です。

方針やルールを守らなくても、
誰にも咎められない、
または、何の不利益も生じない場合、
「仕組み」は次第に有名無実化します。

これは当事者というよりも、
上司や組織のトップが組織内に
方針やルールを行きわたらせようと
本気で考えているかどうかです。

すなわち、これら3つの欠落を
解消することが出来れば、
頑張って整備した「仕組み」が、
「運用」され始めるのです。

おわりに

如何でしたでしょうか。

組織風土改革はあらゆる取り組みの中で、
もっとも「仕組み」と「運用」の乖離が
起きやすい
取り組みではないかと思います。

「色々と手を尽くしているのに
組織風土改革がうまくいかない。」

そんなときは、「運用」面にも注目して
見直してみると良いかも知れません。

この記事があなたの組織の運営の
お役に立てれば幸いです。

私の考え方に賛同して頂ける方は
是非、スキをお願いします。

松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ


最後まで読んでいただいて
ありがとうございます。

次に書く記事に生かしますので、
ご感想をお待ちしております。

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