令和6年第150回都をどり かざしたるその花ごとに影ぞ立つ 和歌
今さら記事にするのも時期外れになってしまいましたが、先月都をどりを観に京都まで行ってまいりました。
桜の開花時期が今年は遅れたおかげでちょうど満開の桜を楽しむことが出来ました。下の写真は都をどりの会場となる祇園甲部歌舞練場前の桜になります。
下の写真は歌舞練場の庭です。
今年は150回の記念公演でした。今年のNHKの大河ドラマが紫式部の生涯を描く「光る君へ」となった影響もあるのでしょうか。源氏物語を題材とした番組が多かったです。もちろん古文作家を名乗る僕としては大いに楽しめる内容でした。
目当ての舞妓さん槇沙子さんは笛方を務めておりますので、彼女の舞だけでなく笛を聴くためにも、都合都をどりを2回鑑賞してまいりました。
公演の写真撮影は禁止ですので、下の写真は都をどりのホームページ等から拝借しました。
冒頭の舞妓さんたちの総踊り~入場する際に「都をどりはよいやっさー」の掛け声がかけられます。
今年は全部で8景ある番組のうち3景が源氏物語をふまえたものでした。夕顔垣根納涼(長唄)、葵上(浄瑠璃)、須磨明石(長唄)の3景です。
特に須磨明石では彼女の笛の音はりゅうりゅうと響き渡り、源氏物語須磨の帖で、源氏が心を慰めようと歌と琴と笛の遊びをしたにもかかわらず、かえって紫の上のことを思い出してしまい寂しい気持ちになってしまう場面が思い起こされました。まさに「胡角一声霜ののちの夢」という感じだったと思います。
霜ののち夢にあらはる人あはれ 寝覚めの床に思ひ出でらる
その源氏物語須磨の帖の場面をモチーフにこんな歌を詠んでみました。
この場面だけでなく会場に響き渡る彼女の笛は見事でした。なかなか笛を稽古の対象に選ぶ舞妓さんは少ないため貴重な存在だそうです。
吹き澄ます風に桜は散るらむや 青葉さすらむあはれ思ほゆ
彼女の笛の音になにか霊的なものも感じられてこんな歌が心に浮かびました。
さて、夜はいつもの祇園のバー・ルプーで槇沙子さんと落ち合うことになっております。
ルプーに向かう途中、巽橋から見える桜の夜景がきれいです。
彼女の簪は毎月変わります。今月はもちろん桜です。
かざしたるその花ごとに影ぞ立つ 舞ふ少女子(おとめご)の匂ひかがよふ