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やってやれないことはない19話 『半値八掛けってホント⁉』

完成と同時期にお披露目です。
新聞に周知広告を掲載し、医療法人会会員に病院増改築案内を発送し、出席欠席の返事をもらい、病院パンフレットと粗品を用意して準備完了。
全職員が接待役となり、一世一代の大舞台です。

評判は上々。これほどたくさんの病院関係者や業者の方々がいらっしゃるとは身の引き締まる思い、いや身の縮こまる思いでした。
船出は順調に見えましたが・・・またもや

外来との連携がうまくいきません。医療相談室のソーシャルワーカーとの連携も、病棟同士の連携もできていません。

新しい形のシュミレーションは幾多のパターンを想定して行ってきたにもかかわらず、硬直化した運営に変わってしまいました。
病棟師長は、全体を俯瞰してみることができず、指示ができないため、業務停滞の状態にありました。
よくよく話してみると、原因はすべてをきちんと把握して進めたいとのことでしたが、オーバーフローしてしまい、益々テンパっている有様でした。

以前のように、流れを作り、担当に任せることにしてからは、スムーズにいくようになってきました。責任を強調するとこうなるのだと反省しました。
管理という言葉の捉え方は、人の個性によって変わることを学びました。

リハビリテーションも同様に全体の動きよりは、個々の動きに終始し責任者がいないと前に進めない状態でしたが、ほどなくそれぞれの役割に気づき始めてまとまっていきました。

その他の部署にも規模が大きくなることの弊害も散見されましたが、5か月を過ぎたころから、同様の問題の発生が少なくなりました。                         

118床から125床に増床を果たしているにも関わらず、経営的にしばらくは冷や汗をかき続け綱渡りをしながらでしたが、何とか落ち着きを取り戻したのは8か月目に入った頃でした。

今回の増改築で医療器械等も大幅に増えました。
膨大な資金需要をどのように満たすか知恵を絞っていた時、昔聞いた言葉を思い出しました。

「半値八掛け相場」
この意味ご存じですか?

医療器械等は、定価の半額のそのまた80パーセントで売っても儲けが出るので、最大値引き額となるとのことです。

これを知っておいて損はないと教えてくれた、業界にいる知人の言葉です。

ある例を出します。

所有しているベッドサイドハートモニターが、あまりにも古く、電波法の改正によってある期日までの猶予期間を持って使用禁止になりました。

通常、その通達により医療機関は、買い替えの準備に入ります。
当然にして、業者は強気で商売しますので値引き額はほんの少しです。

これらの精密機械は、通常メーカーの生産計画ではロットでまとめた数を生産し、売り切り、需要がさらにある場合は、さらにロットで追加生産を行います。

つまり、売り切れればよいが、今回のケースでは、各医療機関が買い替えを終了したときに必ず売れ残りが出て、在庫処分を行います。

買い替えが一巡した後では、追加購入はほとんど見込まれないばかりか、在庫は型落ちになってしまうからです。

そこが狙い目です。
買い替え需要時に使用期限を超えても使える古い機種は、必ず下取りに出てきます。すべてまとめて買い替えようとする医療機関があるからです。
                                      普段から意思疎通のできている業者に、この下取り機種の買い取りを申し出れば喜んで提供してもらえるのです。
法律順守は絶対ですので、対処はこれで万全です。

電波法による使用期限を超えて3か月後、業者に見積もりを取ります。
ベッドサイドハートモニターのオプションフルセットで、仕様指定の機器となります。金額はできるだけ安く、合意できれば購入するができなければ、今回の購入は見送る旨伝えておきます。
                                               一週間後、当院の意図を組んだ医療機器販売会社のなじみの営業マン曰く、
「これが最終価格です」
フルオプションの定価総額980万円/台を3台で700万円、1台当たり233.3万円。
半値八掛けは、392万円/台ですから半値4.8掛けまで落ちました。
驚くなかれ、76%引きの購入となりました。
製造原価は、これよりも低いと想像できます。

これには、理事長も病院長もビックリしていました。
それはそうですが、私が一番驚いていたのでした。

皆さん、需要と供給のバランスから見えるものを見据えて、高値掴みしないようにしてくださいね。

全ては、自分の財布からの支出と思うとできることが、法人の財布と思うと業者の言いなりになっていることが多いのです。

当院と出入りの業者の関係は、先に述べたように大切な応援の担い手です。双方がwin-winならば購入価格は低いほど良いと思います。

このnoteは、私の人生において成功・完結・失敗・後悔などのストーリーです。 若い皆さんのヒントになればと思って書いています。 書いてほしいことがあれば、気軽にご連絡ください。 サポートは結果であると受け止めておりますのでよろしくお願いいたします。