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短編小説『スマバレイの錆びれた時計塔』
1ここはスマバレイ。蒼い海を望み、緑豊かな山に囲まれた高台にある小さな町だ。スマバレイは、別名「ベル・タウン」とも呼ばれている。その呼び名の所以は、町の中心地にある。地上からレンガ色、ベージュ、グラデーションがかった水色の3ブロックに分かれる色鮮やかな時計塔だ。色とりどりの花を咲かせる木々を従え、まさに天空に向かって堂々とそびえ立っている。真ん中のベージュ部分に飾られた時計の針が6時、12時、18
もっとみる第12話 ピギージョン
研究所2階へと到着した3人。
「社長こちらの研究室になります。」
第7研究室と書かれた部屋をルイスはコンコンとノックした。
「はい!どうぞぉ~。アイちゃんかね?」
マーブル博士が振り向くと驚いた顔をしている。
「おぉ‼︎どうしたんじゃ~⁈こりゃたまげたわい!珍客中の珍客じゃの~ジョンよぉ‼︎
世界のジョンがこんな辺ぴな所に何の用事じゃぁ?」
「マーブル兄さんご無沙汰しています。
ちょっと近く
第8話 ドングリ募金
そして一方、メデタは給仕室の前に来ていた。
「さっきマーブル博士が出て来たけど何の用事だったんだろう?まぁいいか。」
給仕室の中に入ると、すぐに玉ねぎの匂いに気付いた。「ん?玉ねぎのみじん切り、何でそのままなんだ?博士かな?」
メデタはおもむろにみじん切りにされた玉ねぎを手ですくい匂いを嗅いぐと、なんとなく顔の前でそれを握り潰した。
するとメデタは「あっ!」と声をあげると、メデタの目
第5話 メデタマネー
「メデルマネー?!なんかカッコいい名前!」
「本当じゃなぁ!イカしたネーミングじゃよ!」
「あ、ありがとうございます。この通貨のアイデアはメデルさんの手紙がキッカケでした。メデルさんの真似をして考えたお金ということで、『メデル真似』からの『メデルマネー』!なんてどうですか?」
「ぶあっはっはっはっ!!!」
マーブル博士はひとり笑いのツボに入った。
「何よその理由、カッコいい
第4話 マンドレイク
「博士、この部屋はたしか所員すらも立ち入り禁止の部屋のはずですが?」
「そうじゃ。じゃが、もう時は来たようじゃ。芽が出たんじゃよ。」
「芽?ですか?」
マーブル博士は立ち入り禁止の部屋の鍵を開けた。
中に入ると部屋一面に植物の植えられたプランターが置かれている。
「わしは昆虫と植物の研究を長い間してきた。かつてわしの右腕だった植物専門の博士がおったんじゃが、若くして病