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オアシス対ブラー、その真実(2)

オアシスの何が新しかったのかというと、イジれるロックが初登場した事。以下はその端緒となっている。英国ロックは拝んだり学んだりするモノではなく、ただフツーにしていればいいとの音楽。世界は平坦になったとマンチェスター人が言った。 インタヴュー=増井修 通訳=BRYAN BURTON-LEWIS 初出=ロッキング・オン95年11月号 「オアシス対ブラー、オアシス対ブラーって、現実はもうとっくにオアシスだけになってんだ!」負け惜しみとボンベイ・ロールと。 95・8・14事件。これ

    • オアシス対ブラーの真実

      オアシスのセカンドアルバムのライナーを当時のまま、掲載することにした。 理由は今日行った「侍タイムスリッパ―」が結構良くて、その時についでに見てしまった「オアシスネブワースギグ」の予告が30年前を思い起こさせて単に懐かしかったから。 次に先日、近所のカラオケ屋で「ドーントルックバックインアンガー」を歌っていたら、彼氏とおぼしき奴に「もう帰るよ」と言われたにもかかわらず、「この曲が世界で一番好きなんです!だからまだ帰りたくない」などと言って私に抱きついてきた美女がいたのだ。事程

      • 永遠のワーキングクラス、ポール・ウェラー

         これは今からおよそ20年前、2004年に取材したもの。初のカバーアルバムの発表を機に来日した時の日本唯一のインタビューとなった。何故そうなったかと言えば、彼は前日の飲酒がたたってただの頑固な親父と化しており、増井の取材一本受けたのだからもう十分だろうと言い訳して、それで帰ってしまったのだ。当然次が順番だと準備して待ち構えていた他媒体に怒られ、いつもの様に私は逆恨みを買ったが、予見しようもなかったのだから仕方ない。     考えてみれば、ポールにインタビューした回数として私は

        • スウェードの最後のインタヴュー    

           スウェードが、2023年本年来日するという。しかもマニックスとのカップリングだそうだ。延命をこそ目的化したバンドとの同行はどう考えてもギャグでしかないが、良いも悪いも感じない。老いることはそもそもそういう事である。  これは2003年に取った解散決定直後のブレットとのインタヴューで、掲載媒体の性質からほとんどの方が読んだことのないものだと思われる。我ながら彼らの本質に迫ったものだと感じるけれども、それは私の技量というより、解散を決めているのにまだ諸事情で発表出来ない微妙なス

          デヴィッド・ボウイ〜間借り人はどこに間借りしていたのか?〜

           映画の中盤、調和が極まった『サウンド・アンド・ビジョン』のイントロが、様々なコラージュ・フラシュに乗って、左右のスピーカーからまるで物質のような感じで出現してくる。これがもう白眉。  この曲を生み出せたからボウイは死なずに済んだのだな。そう心から祝福したくなる歓喜のサウンド。架空の宇宙人ではなく、この世界の肉体と魂が享受できるサウンドとビジョン。彼の生涯をも定義するこのキーワードの発明は、こちらが思っていたよりずっと早くに着手されて実践されていたのではなかったか。  自分の

          デヴィッド・ボウイ〜間借り人はどこに間借りしていたのか?〜

          「リリカOD」のその後と、お詫び

           私は昨年9月に「皮膚病にはリリカが効く」なんぞと書いた。ところがこれはとんでもない間違いだった。その後私の皮膚病はまさに重篤化し、リリカでは治らないどころか、手足にも酷い発疹が増殖して、要介護状態になってしまった。このサイトの更新が半年も遅れたのはそのせいだ。訳の分からない皮膚の病気に悩まされている人に誤情報を与えたことをここに訂正し、お詫びしなければならない。  当初、圧倒的にリリカが効くと感じていたことも実際にあったし、そのような記述もウィキに出ていた。しかしリリカは痛

          「リリカOD」のその後と、お詫び

          「進撃の巨人」のポストカードがどうして届かないのか?

           月刊誌「別冊少年マガジン」が企画した、応募者全員プレゼントの景品が凄すぎる。「進撃の巨人最終話の全52ページを、なんとまんまポストカードにするという。更にそこには諌山創(私は漫画家を先生と呼ぶのには非常に抵抗感がある)の感謝の最終メッセージカードまで添えられているらしい。それらをひとまとめにして送ってくれるのだ。素晴らしい企画というしかない。  私とレコード会社が昔にやったストーン・ローゼズ「セカンド・カミング」発売を記念しての、アドバンスカセット「ラブ・スプレッズ」200

          「進撃の巨人」のポストカードがどうして届かないのか?

          オアシス原稿依頼が謎すぎた

           このnoteを始めてから、このサイト経由で初の原稿執筆の依頼が来た。私は原稿の注文が欲しくて書いているわけではないのだが、それでも評価に基づく何らかの反応を示されることは、喜びだ。儀礼としてもここは速攻返信した。Tなる会社の編集者高山さんという方からで、詳しくはメール返信にてと書かれている。  私は期待した。このろくでもない、得体の知れない私のnoteからの注文ともなれば、個性的なアングルからの、予想も出来ない更にへんてこりんな注文を、多分熱意だけでごり押しするものであろう

          オアシス原稿依頼が謎すぎた

          ジャーナリズムへの志を高く持て!

           マスコミやジャーナリズム志望の人のためになんぞと書くと、いかにもものものしくて、時代的だ。そもそもマスコミやジャーナリズムなど死語であろう。だがYouTubeや画像全盛の今こそ、実は文章力、校正力が問われている。公に発する際には一旦頭の中ででも文章にしてみるというのが、リスクのマネージメントだ。現にゴダイゴ(メンタリストらしい)の謝罪ではそれが決定的に欠けていたではないか。  ここでは、私がどのようにそんなリテラシ―を身につけて行ったのかを概観することによって諸兄の参考にな

          ジャーナリズムへの志を高く持て!

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜③ 重鎮が来た!

           落ち着き払ったその重鎮は、またも電子顕微鏡のごときを試行したのち、私の目を覗き込んでこう言った。 「この症状が出る前に海外で性風俗を体験していますか?」 「ないです」 「聞きにくいことですが同性としてお聞きします」 「そうですか。でもありません」  どうやら新種の性病を疑われているらしい。私は性に対する探求心は旺盛だが、実際には弱い方で、殊にお金などが絡むと萎えてしまうのだが、それを800字程度で説明したらいいのだろうか?というか顕微鏡でも病原体が無いのに、質問の医学的趣旨

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜③ 重鎮が来た!

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜② 医者は現代でも人格者か?

           そもそもの始まりは6年前の11月に首元の中央部に直径3センチほどの赤みが出たことだった。特に苦痛でもないので乾燥肌の薬やニベアみたいなのを薬局で相談して処方されたままテキトーにしておいたら、これが2月に入って背中じゅうに出て、私は悶絶した。速攻時々お世話になる皮膚科に駆け付けたが、そこには私が信頼する医師は既にいなかった。詳しいことはわからない。どうやら医院ごと新しい医師に売ってしまって引退したようだ。  その新しい医師はあらゆる処方を試みた。通常のステロイド軟膏が効果を発

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜② 医者は現代でも人格者か?

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜① 「リリカOD」とは何だ?

           私が何故にこのnoteをやろうとしたかと言えば、誰かの役に立ちたいと思ったからである。私の原稿は大昔から、役に立つかどうかを基準にして書かれている。でも今回は音楽やロックとはまるで違うテーマ。人生観や生き方を変えるとか、アングルを見直すとか、そうした目論見もない。ただ老人の侘しい現状とやがて誰にでも訪れる災厄の準備をしてくれればいいと思って書く。  それが例えば、私の様に謎の慢性皮膚病に悩んでいる人への具体的な解答の一端を示唆することになれば幸いだ。  長くなると思われるの

          〜謎の皮膚病、あるいはお医者さんという人たち〜① 「リリカOD」とは何だ?

          ヒロシの異郷の駅前食堂が好きだ

           一週間で一番楽しみな番組は何かと問われたら、躊躇うことなく「ヒロシの駅前異郷食堂」だと答える人が国民の大多数だと思う。それほどにこの番組は優れており、民放のひな壇芸人のろくでもないやり取りが心底鼻につく勢力にとってはもはや神輿的なシンボルともなっている。有吉だのマツコだの坂上だのの、ただのあしらい上手を見る暇なんぞないと唾棄する人は、もはや朝鮮民主主義人民共和国の現在生存総人口よりも多いかもしれないと言われているくらいだ(筆者調べ)。彼らの最も致命的な所は、一般のお茶の間感

          ヒロシの異郷の駅前食堂が好きだ

          音楽評論家としての真実は人生に一回だけ

           気持ち悪いので自分では書いたことはおろか、見たことさえないのが自分のウィキだ。周りからの情報によれば私はそれによると「音楽評論家」になっているようだ。ちょっと前なら「いや自分はもともと編集者なんですよ」とか思っていたものだが、もうどうでも良くなった。てか、編集者だなどと思っているより、そっちの方がいいわ。  その理由についてここでつらつらと考えたところで、そんなものを読まされる読者にとっては一円にもならないし、ろくでもない自己弁護を聞かさせるのがオチであろう。しかし先日、本

          音楽評論家としての真実は人生に一回だけ

          妻に関する根源的な違和

          1)疑惑の発端  一昨年の正月、私は妻のご両親に会うために甲府に向かっていた。婚姻を前提にした同居を許可して頂くのが主たる目的だ。しかし私はもう60歳。妻は48歳。相手は80歳。どのツラをさげて「同棲をご理解ください」などと言ったらいいのか、その塩梅は自分ですらまるでわからない。  甲府行きの車中で妻が言うには「父は一風変わっているから気を付けて」とのこと。一風変わっているとは何だ?と質問しても彼女からの答えは明快さを欠き、ただモゴモゴしているだけだ。父の何たるかを彼女自身が

          妻に関する根源的な違和

          ピーターバラカンさんへの慕情

           イギリスに「ピーターバラ」という都市がある。このうちの「バラ」なる部分は日本語ではカタカナ2文字に過ぎないが、現地英語表記ではboroughというめんどくさいスペルになっている。もともと中世からの城塞都市にはこのように「バラ」という語尾がくっ付くことがあるようだ。同じようにエジンバラ(burgh)やドイツのハンブルグ(hamburg)など、このような語源を持つ都市はヨーロッパでそれぞれのスペルと発音で多様化していったものと見受けられる。英ミドルスブラや南アのヨハネスブルグ、

          ピーターバラカンさんへの慕情