ソランの話。
幼い頃、私はよく祖父母の家に遊びに行った。祖父、祖母、叔母。そしてもう一人、いや、もう一匹、祖父母の家には家族がいた。
ソラン。ミニチュアシュナウザーで、とにかく元気。散歩していると、他の犬に吠えまくる。全力疾走する。そしてまた吠える。めっちゃ元気だった。
ソランはリンゴが大好きだった。叔母や祖母が皮を剥いてそれをあげると、勢いよく飛びついていった。食欲が旺盛だった。
ソランは髭がボーボーだった。シュナウザーは大概毛むくじゃらだけど、ソランも例外じゃなかった。私はその髭を触ることが好きだった。シルバーの体毛はサラサラで、さわり心地が良かった。
ソランは叔母が買い物に行くと、玄関の前でずっと待っていた。早く帰ってこないかな。多分、そんな感情だったのかもしれない。
ソランはいつでも癒しだった。そして相棒だった。私が97年生まれで、ソランは98年生まれ。だから可愛がるというよりも、友達だったと思う。共に生きてきた、仲間とも言えるかもしれない。
ソランは2013年7月17日に亡くなった。その日、私は祖父母の家に行って、ソランを看取った。衰えたソランはベッドで穏やかに亡くなった。
ソランはこの世にはいない。だけど、私の心の中には存在する。たしかに、存在する。記憶として、ソランと歩んだ思い出が生きている。
5月17日。今日はソランの誕生日。記念するべき日に、素晴らしき過去を思い出す。
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