蒼乃真澄

三郷の執筆屋。小説、詩、エッセイ、随筆、ブログ、散歩録、語り、駄弁り、寸劇などなど。 …

蒼乃真澄

三郷の執筆屋。小説、詩、エッセイ、随筆、ブログ、散歩録、語り、駄弁り、寸劇などなど。  だいたい月〜金曜日の20時に更新します。

マガジン

  • アオマスの詩集

    フワフワと頭に浮かんでいる言葉たちを一本の糸にするように紡いでいき、詩にしてみました。様々な感情に揺さぶられながら、それでも言葉にしてみたい愛や希望などを詩にできたらと考えています。  読んでいただけると幸いです。

  • アオマスの日常

    蒼日向真澄の日常をお届けします。駄弁り中心。写真多めです。緩く更新します。

  • アオマスの小説

    どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。

  • アオマスの独り言

    蒼日向真澄の個人的な想いを連ねていきます。読んでいただけると幸いです。

  • アオマスのエッセイ

    日常の出来事を言葉にするには、簡単なようでややこしい。だが、美しい。

最近の記事

  • 固定された記事

赤 (小説)

1  ある夏の朝。僕は近所の畑で育てられている赤いトマトを、像みたいに幅のある右足で思い切り踏み潰す。プレスされたトマトはグチュグチュの体液を飛び散らせて瀕死状態に陥った。思い描いた通り、ぺちゃんこにできた。   それから僕は悲劇役者となったトマトに青い絵具を垂らし、小学生の頃から使っている絵筆で一生懸命擦ってみた。渦を描くようにグルグルと回していけば、トマトの中に潜む快晴を見ることができると期待して。  だが、実際浮かんできた色は青からほど遠く、とても気持ちの悪い色だった

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    • 欲望労働(詩)

      新車を買ったから デートをするために 梨が食べたくて 欲望労働する日々、日々 毎日がブランニューデイ なんてことはない人生 花火たちは枯れ果てて それでもタバコの火はついて 友人に貢いできた金を 自己投資に切り替えて 金さえあればいいと 思考をチェンジして 結局は自分勝手な人生 それでも満足する個性 どうせ諸行無常なんだから 我がために日本酒を注ぐ マイホーム買ったから 結婚するために 子供にリンゴあげるために 欲望労働する日々、日々 スラッシュ、一度仕切り直し フ

      • 『赤』という小説

         こんばんは、蒼乃真澄です。  最近、また暑くなってしまいました。もうええわ、って気持ちですね。だからといって寒いのはもっと嫌いなので、一年中『秋』を望みます。  さて先日の話ですが、人生で初めて小説を有料投稿しました。タイトルは『赤』と極めてシンプルなものです。  簡単なあらすじを書くと、主人公の宇治沢は小さい頃から赤色が嫌いで、トマトや消防車、赤信号などを忌み、どうにかして、宇治沢が好きな色である青色に変えようとします。しかし大人になるにつれて彼の奇行とも取れる行動

        • アナログも大事

           こんばんは、蒼乃真澄です。  今日はアナログも大事だなって思った話を書きます。  先日祖父が亡くなり、遺品整理をしていました。祖父が好きだったCDやレコード、釣り用具、仕事で使っていた工具類、昔の硬貨、どこかで拾ってきたであろうネジなど、様々なものが出てきたのですが、その中に昔の写真や祖父宛に書かれた手紙、あとは作者不明の詩集などが出てきました。今の時代、写真はスマホで撮り、手紙を書くこともほとんどなく、詩集は私の場合は書くにしてもパソコンなどのメモに残すことが多い。つ

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        赤 (小説)

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          7本
        • ミスチルが聴こえる(短編小説)
          64本

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          明日、人生で初めて小説を有料公開します。

          明日、人生で初めて小説を有料公開します。

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           皆さんこんばんは、蒼乃真澄です。  もう、八月も終わる。あっという間です。いつの間にか蝉の鳴き声を聞かなくなり、夜の風が少しだけ涼しく感じるようになりました。いつの間にか夏が終わり、いつの間にか秋が来る。季節が変わる瞬間をじっくりと味わいたいですが、忙しい毎日を送っていると忘れてしまいます。  さて個人的な出来事ですが、先日おじいちゃんが亡くなりました。どうやら心臓に異常が起きたそうで、病院に運ばれたときにはすでに心肺停止状態でした。    いつも散歩へ行ったり、自分で

          舟守(特別短編)

          「私はこの船の番人であり、問う人であるニーナです。あなたは乗船者であり、問われる人です。では、まずあなたの名前を教えてください」 「僕は真澄。今日で二十七歳になった」 「真澄さん、苗字は?」 「二つ持っているよ。だが、ここではあえて言わないことにしようかな」 「わかりました。では真澄さん、早速問います。別に面接ではないので、気楽に答えてください」 「わかった」 「あなたは誰かを愛することができますか?」 「嫌な質問だね」  しかし、答えなければこの船からは降りられない。僕もニ

          舟守(特別短編)

          タイミング

           僕がこの仕事を選ぶタイミングが違えれば出会えなかった人がいて、あのまま同じ仕事を淡々とこなしていたら得られなかった経験がある。逆に僕がいなければ苦労した人もいて、僕と共に何かを得た人もいる。  何かをしてあげようと思う気持ちが生まれるタイミング。それが少し遅かったりしたら、もう二度とできなかったりすることもある。あの日、あのとき、自分の直感を信じて生きることができてよかったと思う。  すべてはタイミング。少しでもズレたら、僕の人生は変わっている。例えば手術をするタイミン

          タイミング

          揺られるホリデー(詩)

          あー、揺られる身体、心 これから楽しい旅に出かける 最近はどうでもいいやって 現実逃避することも覚えたよ 休日くらいはワクワクしたいし つまらないまま終わるのは勘弁 フットワークは猫くらい軽い方が いいってこの年になって感じるよ あー、揺られる身体、心 今日もまたドキドキできる 最近は一日を大切にしながら 未来のことを考えたりするよ ネガティブからポジティブへ 前向きな列車に飛び乗って 充実したホリデーを過ごすべく 僕は生きていたりするよ

          揺られるホリデー(詩)

          きゅうりに乗って

           お盆の時期になると、お仏壇の近くで馬になったきゅうりを見かける。 「これに乗って、ご先祖様が天国からやってくるんだよ」  小さい頃の僕はそんなロマンを信じていた。しかし、疑問もあった。 「先祖ってめっちゃいっぱいいるけど、一本のきゅうりだけで乗り切れるのかな?」  馬になったきゅうりの隣には、牛みたいなナスもいる。ただ、きゅうりほど早くなさそうだから、みんなきゅうりに乗りたがるだろうか。 「大丈夫。ご先祖様たちは小さくなってしまうから、みんなきゅうりに乗って来てくれるよ」

          きゅうりに乗って

          戦争

          「人を死に追い込む。例えば、爆弾を落とす」  すなわち、空襲。それを望む人って、ほとんどいない。間違っている。誤ち。大罪。 「じゃあ、復讐のために人をあの世へ送ったら?」  それは賛否両論かもしれない。殺人はいけないと言う人と、正当な行為だと言う人。 「先に攻めた国がA、攻められた国がB。じゃあ、BがAに空襲するのは、正義?」  多分、それでAの国民の誰かしらの命が消える。老婆か、軍人か、子供か、誰か。 「八十年くらい前にアメリカが日本にしたことは、正義?」  日本人なら、大

          カツオの握り食べながら独り語り

           お久しぶりです、蒼乃真澄です。  暑い日が続いています。皆様は体調を崩されていないでしょうか。私は元気ですが、仕事場の同僚や上司が立て続けに流行病に罹患してしまい、忙しい毎日を送っております。最近は体調を崩す人が多いようで、とにかく免疫を落とさないよう、日々健康を意識したりしている次第です。  あっという間に7月も終わりですね。あまりにも早い。そのうちジングルベルでも鳴っていそうだ。きっと現実世界が充実しているのでしょうね。4月からスーパーマーケットで働いているのですが

          カツオの握り食べながら独り語り

          ぼんじり(詩)

          肝心なところで終わったドラマ 来週の最終回を心待ちにする だけど三日後にテレビ局がなくなり そのうちドラマのことすら忘れる もうすぐパリ五輪だからって 上級国民に対する抗議として 東京駅前でハンガーストライキ しかし三日後には「頑張れ日本」 小さい頃図書館で借りた本 ずっと本棚に置いてある 一生返すことのないタイトルは 『二十七歳からの性教育』 空を飛びたいと願う鶏は 東京タワーの屋上から飛び降りる 彼の残骸を処理した青年は  焼き鳥にして残さず食べる 自分勝手 買っ

          ぼんじり(詩)

          空色の夢(詩)

          またやり直したっていいじゃないか ポジティブ思考ってわけじゃないが 俺は諦めの悪い人間だから 簡単に夢を捨てる奴の気がしれない 大人になった途端に消えるの? 例えば自由、希望、そして夢 別に持っていたっていいのに 変なプライドが邪魔してしまう 空はこんなにも青いのに 広くて縛られていないのに あなただけ呪縛に苦しんでる そろそろ肩の力を落としたらどう? やりたいならやればいいじゃないか 楽観的ってわけじゃないが 俺は減らすよりも増やしていく だから捨てるなんて選択肢はな

          空色の夢(詩)

          あえてね(詩)

          右にならえって言われたから左向く 読書しろって言われたから歌を歌う 行進しろって言われたから空を飛ぶ 従ってくださいって言われても無視する あえてね あえてね はむかっていく 嫌だね 嫌だね 従順になるなんて 緩くね 緩くね 生きてくんだって 決めたんだから邪魔しないでくれよ 没個性求められたらピンクの革ジャン着て とりま「多様性なんで」と言っておく カチコチな脳味噌で生きているくらいなら ファンタジー転がしたほうがマシだろう あえてね あえてね 抗っていく ダメだね 

          あえてね(詩)

          庭園(詩)

          紅茶はいかがと貴婦人 生憎だが俺は紅茶は飲まない では 薔薇を一本と貴婦人 花は枯れるから嫌いだ 結構な人間が死んだ世の中 それでも貴婦人は穏やか これからますます荒れる それでも貴婦人は穏やか 血だらけになった革命軍 そこには旧友のあいつもいた だけど一発の爆弾のせいで みんなサヨナラ ああ無情 少し眠ればと貴婦人 生憎だが俺は眠れない ではハーブティーをどうぞと貴婦人 申し訳ないが飲む気がしない いつだってあいつは戦っていた 勇敢で正義感の溢れる男だった そんなや

          庭園(詩)