「死ぬために生きる人々」トラジャ族の葬式に参列してみた【インドネシア】
Selamat siang(こんにちは)!!
まっすーです!
私は今、JICA海外協力隊員としてインドネシアに住んでいます🇮🇩
最近、インドネシアのスラウェシ島のトラジャに旅行に行きました!そこで、スラウェシ島に住む民族「トラジャ族」の葬式に参列するという珍しい体験をしてきたので、このnoteで詳しくトラジャ族の葬式について発信していきます。
※このnoteには一部、動物の生贄や屠殺後の写真が含まれるため、苦手な方はご注意ください⚠
他のインドネシアについての記事は下記をご覧ください😊
トラジャはどこにある?
トラジャはインドネシアのスラウェシ島の南スラウェシ州にあり、島の中央よりも少し下に位置します。
トラジャといえば、トラジャコーヒーが有名だと思いますが、葬式も独特なことで知られています。
葬式の様子はテレビ番組「クレイジージャーニー」でも紹介されたほど!
トラジャ族は世界でも屈指の葬式にお金をかける民族として知られています。トラジャの人々は人生の中で葬式に最も価値を置き、葬式には莫大なお金をかけます。
トラジャ族の葬式は世界一開放的と言われており、観光客も気軽に参列することができます。
トラジャ族の葬式の流れ
トラジャ族の葬式は祭のような盛大なイベントで、親族・友人関係なく村中の人々が参加します。そのため、葬式は巨額の費用がかかり、用意するためには膨大な時間を必要とします。葬式資金が足りない場合は十分なお金を貯めてから葬式をするので、故人が亡くなってから数ヶ月後、時には数年後に行われることもあります。
ちなみに遺体の腐敗を防ぐために、昔は特殊なハーブを遺体に擦り付けていたみたいですが、今はホルマリンで防腐処置をしているらしいです。
そして、遺体は葬式までの間、まるで病人を介護するようにケアされ、毎日家族と一緒に過ごします。
毎日食事を用意され、身体も洗ってもらえて、着替えもさせられます。喫煙者にはタバコも与えられます。
トラジャの人々は盛大な葬式を行うために一生懸命に働いて貯金をします。トラジャ族にとって葬式は人生最大のイベントなのです!
そのため、トラジャ族は死ぬために生きる人々と言えるでしょう。
会場に入ると、会場の中央に豚がたくさん竹に縛られていました。この豚たちも屠殺される運命を察しているのか、悲しい泣き喚き声が葬式会場に響き渡っていました………。
ムスリムが多いインドネシアですがトラジャ族はキリスト教徒が多いので、豚肉は食べます。
水牛は死者を死後の世界に運ぶ動物と信じられています。そのため、遺族は葬式の際に、できるだけ多くの水牛を生贄にすることで死者の旅立ちを助けています。
トラジャ族にとって「死」は悲しいものではなく、「プヤ」と呼ばれる魂の行きつく先、または来世に行く一つの流れであると考えられています。
そのため、故人を「プヤ」へ送る葬式はとても重要で、葬式はできるだけ盛大にたくさんの人々を迎えて多くの供物を捧げるらしいです。
親族や若者たちが棺を担ぎ、まるで祭の神輿のように棺を上下に揺らしながら式場を周ります。
葬式が始まってから、生贄の水牛が一人の男性の手によって屠殺されます。屠殺の瞬間は本当に一瞬で、水牛も自分が殺されたのかわかっていないのでは、と思うほど。
完全に絶命するまでの間、時々喉から血を吹き出しながらジタバタする姿を見るのは耐え難かったです………。
私が参列した日は葬式の一日目で、水牛一頭のみの生贄でしたが、何日もかけて葬式が行われると、生贄になる水牛の数も多く用意されます。
屠殺された水牛は葬式後に参列者全員でその日中に食べるらしいです。
私は途中で葬式を抜けたので、食べられず😅
改めて、命に感謝して食べ物を食べようと誓いました。
葬式が始まるまでの間、トラジャコーヒーやお菓子、トラジャの伝統料理でもてなしてくれました。
かわいいハート型のお皿に、インドネシアのお菓子がたくさん入っていました。
写真の左上の茶色のお菓子は「tori」と呼ばれるトラジャのお菓子で、トラジャのお土産といえばtori!と言われるほど有名なお菓子です(京都といえば生八ツ橋みたいな)。白ごまがまぶしてある揚げドーナツで、脂っこいですが白ごまが良いアクセントになっています。
写真の下のお菓子は「kue boru」と呼ばれる牛乳で作られたパウンドケーキみたいなお菓子です。
写真の右上のお菓子は「kirpik pisang」と呼ばれるバナナチップスです。インドネシアにはたくさんバナナチップスなどバナナを使ったお菓子が販売されています🍌
トラジャの伝統料理には豚肉や水牛の肉が使われた料理が多いです。味付けは唐辛子が使われており、辛いものが多いですが、美味しいです。
ちなみに箸やスプーンは使わず、手を使って食べました。ちゃんと手を洗う用の水が器に入った状態で出されます。
食後には「tuak」というトラジャの伝統的なお酒も頂きました。ココナッツから作られたお酒で、賞味期限がなんと一日!そのため、あまり流通していません。珍しいお酒を飲むことができました。
葬式にはどうやって参列するの?
トラジャの公式インスタグラムに毎週葬儀のスケジュールが発表されているので、そのアカウントをチェックします。予約等は必要無し。葬儀が開催される日時に合わせてトラジャ旅行を組むのが良いでしょう。@visittorajautara で検索するとアカウント情報が出てきます。
葬式場への行き方は?
現地のドライバー(ガイド)に連れて行ってもらいます。大体のドライバーは葬儀場を把握しているので、「upacara(葬儀)を見に行きたい」と言えば連れて行ってくれます。
服装はどんなものを着れば良い?
葬儀なので、黒色の服が適しています。
上が黒色ならば、Tシャツでも何でもOKです(もちろん露出が多い服や派手な装飾が付いた服はNG)。
黒色でなくても、紺色や濃い青色、濃い緑色などの落ちついた色の服装でも大丈夫です👌
参列するのに必要な持ち物は?
現金などは特に用意する必要はありません。
日本の葬式とは違うので、香典や袱紗、数珠なども必要ありません。
会場ではトラジャコーヒーや紅茶、お菓子、伝統料理などでもてなしてくれるので、食べ物と飲み物は必要ありません。
写真や動画は撮ってOK?
撮って大丈夫です👌
ただし、故人や参列者に失礼の無い行動をするのが大切です。
まとめ
海外で葬式に参列したのは初めてだったので(しかも故人は知らない人)、生贄やお祭りモードなど日本との違いに終始カルチャーショックを受けっぱなしでしたが、トラジャ族の死への考え方や価値観などを知ることができて、勉強になりました。
海外で葬式に参列する体験は中々できないことなので、一生忘れない貴重な想い出になったと思います。
次回はトラジャ旅行で他に訪れた観光地についてnoteに掲載する予定なので、そちらもぜひ読んでもらえたら嬉しいです☺️
インドネシア以外の旅行記も書いているので、良かったら他のnoteも読んでみてください👍