ONODERA Masayuki

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自民と立憲の党首選から浮かび上がる「政治屋」の生態(2-2)

「もし野田」の憂鬱 文芸評論家の斎藤美奈子は「本音のコラム」(東京新聞)で、野田の首相在任中(2011年9月~12年12月)の【実績】を列挙して、「厚顔無恥そのもの」と酷評している。 【消費増税】自民公明との3党合意で5%から10%への消費増税を決定した(12年3月)。 【原発再稼働】原発事故の収束宣言を早々に出し(11年12月)、大飯原発の再稼働を決定(12年6月)。再稼働撤回を求める大規模デモが官邸前に集結するも彼は「大きな音だね」と反応、人々の失望と反感を買った。

    • 自民と立憲の党首選から浮かび上がる「政治屋」の生態(2-1)

      自由民主党の総裁と立憲民主党の代表が決まった。この結果と、この結果にいたるまでの経緯から、この国の政治のありようと政治屋(政治家の名に値しない)たちの生態が露(あら)わになった。 この政治屋たちの生態は、政治屋個々人の生態であるだけではない。彼らを政治家として選んだ私たち国民の生態をも映し出している。これを、私たちがこの国が変える機会として捉えてほしいと思う。(以下、敬称を省く) 性根の卑しさ ジャーナリストの青木理(おさむ)が『安倍三代』で、安倍晋三の父方の系譜( 祖

      • 「大日本病」の処方箋 (下)~ 再び戦争の惨禍が起こることのないように ~

        統一教会と自民党  2年前、安倍元総理が、統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者の子供に射殺されるという衝撃的な事件が起きた。  この事件によって、統一教会の正体と自民党との関係が一挙に噴出した。暗殺の背景から露(あら)わになったのは、統一教会の教義や布教の異様さと、信者の財産を根こそぎ奪いとる強欲な手口だ。  そして、この教団の存在と拡大を支えてきたのが自民党だった。  教祖の文鮮明が唱える教義は「韓国はアダム、日本はイブの国である。罪深いイブの日本は、その贖罪のためにアダ

        • 「大日本病」の処方箋 (中)~ 再び戦争の惨禍が起こることのないように ~

          「大日本病」の再発  戦前、「天皇を頂点とする日本の国家体制」を推し進める中心的な役割を果たしたのが「国家神道」である。地域ごとの暮らしや伝統に根差した神道とはまったくの別物だ。  「国家神道」を山崎さんは、特定の政治思想を国民に植え付け、特定の政治的構造に国民を従わせるための「宗教的政治概念」としている。  安倍政権以降の閣僚の多くが、「神道精神をもって日本国国政の基礎を確立する」と綱領にうたう政治団体「神道政治連盟」や、「美しい日本の再建と誇りある国づくり」を訴える運動団

          「大日本病」の処方箋 (上)~ 再び戦争の惨禍が起こることのないように ~

          マグロ零戦の教訓  震災前、漁協の応接室に零戦(零式艦上戦闘機)の大きな写真が飾られていた。あの大津波で漁協の建物とともにこの写真も流されてしまった。 写真の上部には「昭和18年200K位大まぐろ5000本(1000t)大漁・海軍省へ艦上戦闘機大谷水産号献納」とある。  右下には、この時の献納式典に参列した軍人や漁協関係者の写真が添えられている。この写真の中に私の祖父もいる。この時に祖父は漁協の会計をしていた。祖父はまた、在郷軍人会の会長でもあり、「お国」のために懸命に尽くし

          「大日本病」の処方箋 (上)~ 再び戦争の惨禍が起こることのないように ~

          新しい日本を生み出すために

          矢部宏冶『知ってはいけない2』 日本の主権はこうして失われた 「あとがき―歴史の法則は繰り返す」(要略)  評論家の立花隆さんはその著『文明の逆説』の中で、ローマ帝国はその中で蔓延する「罪と悪徳」によって滅亡すると予言した聖ヒエロニムスの言葉を引用し、さらにこう述べています。 「しかし、考えてみると、ヒエロニムスが「罪と悪徳」ととらえたものこそ、ローマ帝国の成立・成長過程にあっては、その成功を保証した条件だった。ローマ帝国は権力、富、快楽に対するあくなき追及をよしとするこ

          新しい日本を生み出すために

          「うけたもう」

          「うけたもう」  『中島デコのサステナブルライフ』の最終章(Scene 7 これからの生と死)の末尾を、中島さんは「うけたもう」という言葉で締めくくっている。  「うけたもう」というのは「受け賜る」ということ。山伏が修行中に唯一発することを許された言葉で、どんな無理難題でも、修行者はすべて「うけたもう」と答えなければならない。何が起きても、すべてを受け入れる。  中島さんはこの言葉について、 「 辛いことも大変なことも、できそうにないことも、「うけたもう」してみたら、

          「うけたもう」

          紛争の二重構造(山崎雅弘『[新版]中東戦争全史』)

          「一般的に、戦争や紛争は「A国対B国」や「C民族対D民族」「E教徒対F教徒」など、特定の属性を持つ集団と集団の対立図式で理解されることが多い。 本書のテーマである中東戦争も、多くの場合「イスラエル対パレスチナ」や「ユダヤ人対アラブ人」「ユダヤ 教徒対イスラム教徒」といった対立の構図で説明されてきた。 次の図は戦争や紛争の対立構造を図式したものだが、上のシンプルな「A国対B国」の図式とは別に、双方の国内にいる「a集団」と「b集団」の間でも、意見の対立が存在する事実はあまり議論

          紛争の二重構造(山崎雅弘『[新版]中東戦争全史』)

          母、永眠

          2月26日の夜に母が永眠。3月1日に葬儀を行いました。以下は、喪主として葬儀で述べた挨拶です。  本日はお忙しいところを亡き母の葬儀にお集まりいただき、まことにありがとうございました。いくぶん長い挨拶になりますが、これが母について話す最後の機会になりますので、お付き合いください。  母は、病気療養中の市立病院にて、2月26日午後8時54分に95年の天寿を全ういたしました。  母は、一昨年の5月に介護施設「春圃苑」に入所し暮らしておりましたが、昨年10月11日、血液中の酸

          なぜ日本は原発を止められないのか?

          青木美希さんの『なぜ日本は原発を止められないのか?』を読む。 福島原発事故から、原発廃止に踏み切った国もある。だが、原発事故の当事国であるにもかかわらず、この国は原発を止めることさえできずにいる。 それはなぜか。本書は、原子力ムラに巣食っている政・官・業・学、そしてマスコミの実態を、明確に解き明かしている。 その実態とは、それぞれが自らが所属する組織にしがみつき、その防衛・維持にのみ固執している。「今だけ、カネだけ、自分の組織だけ(※)」という退廃した姿と意識でしかない

          なぜ日本は原発を止められないのか?

          大阪地裁裁判長「徳地淳」という恥知らず

          赤木雅子さんが、財務省から大阪地検特捜部に提出された関連文書を不開示とした同省の決定取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は14日、請求を棄却した。 徳地裁判長は判決理由で、文書を開示すれば「事件の捜査における手法や対象などが推知される恐れがあり、今後の似たような刑事事件の捜査に支障が生じかねないとする国側の判断は妥当」と判断し、不開示決定を適法とした。 国側の主張だけをそのまま認めただけの判決である。原告が求めていた「改竄の経緯」に該当する箇所の開示さえ

          大阪地裁裁判長「徳地淳」という恥知らず

          福島原発「汚染水」を海に流すな(下)  ~ 原子炉倒壊・差し迫る日本の消滅 ~

          原子炉倒壊の現実性  いま日本が消滅するほどの大きな危機が迫っている。それは、この瞬間にも起こりうる危機である。  爆発を起こした福島第一原発の炉内の動画が公開された(写真上)。格納容器(PCV)の中で圧力容器(RPV)を支えているペデスタル(台座)の鉄筋がむき出しになっていたのだ。事故時に圧力容器から溶け落ちた核燃料(デブリ)の熱でコンクリートが溶けた可能性が高い。  ペデスタルは、重さ500トンもある圧力容器を支えている。このペデスタルが崩れたならば、圧力容器は倒れ、原

          福島原発「汚染水」を海に流すな(下)  ~ 原子炉倒壊・差し迫る日本の消滅 ~

          福島原発「汚染水」を海に流すな(中)  ~ この国を滅ぼす無責任の連鎖 ~ 

          トリチウムを流すは誰か  トリチウムの人体への影響をめぐって、二つの相反する主張が交錯している。図上は経産省、図下は国際環NGOグリーンピースである。  どちらが正しいか。これを判断するのは、実は簡単である。「科学的」な論争に巻き込まれないこと。そして重視すべきは「誰がトリチウムを流そうとしているか」だ。  前回示したように、「汚染水」を流そうとしているのは、汚染水処理に金をかけたくない東電と責任を取りたくない政府、そして再処理工場を動かしたい「亡者」たちである。  「汚染

          福島原発「汚染水」を海に流すな(中)  ~ この国を滅ぼす無責任の連鎖 ~ 

          福島原発「汚染水」を海に流すな(上)   ~ 海洋投棄の裏に隠された理由 ~

          なぜ海に流すのか  汚染水を海に流す理由を、政府と東京電力は「汚染水を貯めるタンクを置く場所がなく、また廃炉作業のための施設を設けるスペースが必要」という。  だが、これはウソである。福島第一原発の敷地内にも近隣地域にも、汚染水を長期的に保管するための十分なスペースがある。それは政府も東電も認めている。陸上保管のためのスペースはあるのに「タンクを置く場所がないから海洋放出」は矛盾でしかない。この矛盾を突かれても、政府と東電は、詭弁を弄しながら、ウソの上塗りを重ねている。  で

          福島原発「汚染水」を海に流すな(上)   ~ 海洋投棄の裏に隠された理由 ~

          沼尻海岸図録(4. 地層と堤防)

           2011年3月11日、三陸沿岸を大津波が襲った。大谷にある沼尻海岸は、この津波によって表土を削り取られて年代の異なる古い地層が現れた。もっとも古い地層は6千年前の地層と推察されている。  上図の「H 津波地層」を発見されたのは、平川一臣北大教授(自然地理学)である。震災直後にこの地を調査、「6000年間の巨大津波の痕跡が一目で分かる海食崖は三陸中探してもほかにないだろう」と語るほど貴重な地層だっだ。 (参照:平川一臣「地形,表層土壌(泥炭質土壌,湿性黒土)形成環境と古津波

          沼尻海岸図録(4. 地層と堤防)

          沼尻海岸図録(3. 磯焼けとウニ)      

           大谷の海は、前回の「海藻」で紹介したように豊かな海藻に恵まれている。海藻はまた海中林として、海の環境や生態系を支える大切な役割を果たしている。   2000年に入る頃から、環境汚染や温暖化、酸性雨などで環境に異変が現れ始めた。大谷でも、陸では「松枯れ」が発生して、海岸の松が次々と枯れ、海中では海藻が枯れてなくなるという「磯焼け」が起こっていた。  磯焼けで海藻が消えたにもかかわらず、写真のようにウニだけが大量に発生している。そこから、磯焼けの原因はウニではないかと考えら

          沼尻海岸図録(3. 磯焼けとウニ)