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ジャンルを横断するリズム(京都新聞連載4)
初出:京都新聞夕刊、連載「現代のことば」、2022年2月。
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ひとつの仕事、ひとつのジャンルで修行のように努力を続けている人の方がどうも世間的には評価されやすい。あれこれ手を出していると「軽く」見られる。それはたぶん僕もそうで、哲学への禁欲的な集中に耐えられないからエッセイだの小説だのに手を出して道から逸れていると見る人がいることは容易に想像できる。浮気者は悪だというわけだ。だが、そうだろうか。
横断的に、複数のジャンルに関わるというのはどういうことなのか。その原理論は十分問われていないのではないか。
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