青い銀行に10回も落胆し『顧客思考』について考えさせられた話
法人の銀行口座において、いわゆる「青い銀行」を利用しています。
その銀行を選んだ理由は、起業するときに「取引先に安心してもらうためにも、なるべくメガバンクがいいかな」と思ったことと、家から一番近かったことです。
ただ、ここ数年で10回も落胆したことがあったので、ちょっとまとめたいと思います。
思い出すだけでイラっとするのですが、『顧客志向』について考えさせられることも多かったので、反面教師として冷静に振り返っていこうかと。
落胆その① 法人対応をやめると言われた
ある日、税金を納めに近所の担当支店に行ったら「対応できません」とのこと。「は?いつもやってもらってることですよ?そもそも自社の担当支店でしょ?」と思いながら話を聞いたら、「当支店では法人対応をやめることになりました」というのです。
窓口の近くに偉い人がいてたまたま教えてくれたのですが、人員不足によって店舗の縮小や統廃合のあおりを受けているんですと。なので、今後は隣駅の店舗に行ってくださいと言われました。
うーん。ここで口座を開いた担当の法人支店なのに「個人しか相手にしません」ときたか。そもそも店舗によって対応が変わるってどうなんでしょうね。わざわざ足を運んで行っても「うちは個人向けです」「うちは法人対応してません」って、なんだか失礼な話で。
多店舗展開しているビジネスが店舗によってサービスが異なっていたりするとユーザーとしては不便なわけですよ。いちいち行くべき場所を確認しなきゃいけなくて。
そもそも銀行に「支店」っていう概念って意味あるのかな?なんてことを思ったりもしました。「支店長というポストを維持したいだけでは?」とか変な勘ぐりをしてしまうほどに。
落胆その② 店舗の予約が必要になった
ということで隣駅にある別の店舗に行くことになったわけですが、場所を確認しようとホームページを見ると「予約が必要」とのことでビックリ。
それまではフラッと店舗に立ち寄って用件を言えば対応してくれたのに。混まない日を狙って足を運んでいたのに。ページには「事前にWEBから予約をしないと店舗でお待ちいただくことになります」と脅しのような文言が記載されていました。
これも人員不足の影響なのでしょう。なんだかなあ。
駅前に多い立地だから「何かのついでに寄って用事を済ます」みたいに使えていたのに、予約が必要となると気軽に立ち寄ることはできなさそうですね。
そして仕方なく予約をしようとするのですが、ホームページのUI/UXが絶妙に悪いようで、同じところをループしたり、どれを選べばいいのかわからなかったり。。うーん、どんどん不便になっていきますな。。
落胆その③ 予約がなかなか取れない
で、何とか予約画面にたどり着いて予約をしようと思ったのですが、スケジュールをよく見ると全然時間が空いていないんです。法人の予約なのに。
翌日とか2日後とかならいざしらず、1週間後しか選べないとか終わってるでしょ。三ツ星シェフの人気レストランじゃあるまいし。
「ただの手続きなのに、そんなに埋まることある?」「ぜったい業務効率が鬼のように低いでしょコレ……」などと思いながら仕方なく他の店舗を探してみたら、少し遠い店舗しか取れませんでした。ああ、めんどくさいなあ。
ただ、SNSを見ていると自分の店舗がもっと遠い場所に移転していたりする人もいて、「まだマシかなぁ」と思っちゃったりして。(麻痺してる)
↑
函館から札幌に移転って、支店間で約300km離れていて車で4時間もかかるらしいです……。これはヒドすぎる……
落胆その④ システム障害発生!
支店の不便さもさることながら、青い銀行の不便さの極みといえば「システム障害」ですね。
青い銀行では2021年2月からの12カ月間に11回ものシステム障害が発生しまして、私も大変な迷惑をこうむりました。わざわざ銀行に足を運んでも、手続きができないことがしばしば。
店舗に到着してATMがすべて稼働していないとか、本当に脱力します。
もともと過去をさかのぼると2002年と2011年に大規模なシステム障害を起こしていて、そこから2019年くらいまで勘定系のシステムを全面刷新したと聞いていました。
1000社ものSIベンダーが参加したものの2度にわたって開発完了が延期になったことから、「IT業界のサグラダファミリア」とまで呼ばれていました。その辺りはこちらの本に詳しく書いてあります。
この本が出たのが2020年2月ですが、これで終わったわけではありません。結局、これ以降もトラブルは繰り返されてしまったわけです。日経新聞にも取り上げられ、テレビのニュースにもなりました。
まあこの辺り、ややこしい事情が色々とあるようです。いくつかの書籍でもまとめられているので詳しくはこういうのを読むと良いのでしょうが、ユーザーからすると知ったこっちゃなくて、純粋に「勘弁してくれよ」という話。
いつまでやっとんねん、と。
落胆その⑤ スマホの買い替えで使用不可に
そうこうしているうちにiPhoneの新しいのが出たので、スマホを買い替えました。
と、ここでもトラップが発動したのです。アプリの引っ越しをしても、引き継げないアプリがただ1つ。それが青い銀行の「ビジネスモバイル」で使うワンタイムパスワードのアプリでした。
ビジネスモバイルというのは、WEBサイト上から法人口座の残高照会・振込などの操作ができるサービスです。
まあ銀行絡みのアプリなので簡単に引き継げるのもセキュリティ的に問題があるのは理解できます。なのですが、事前のアナウンスも薄いので、スマホを買い替えるときに「あっ!」となります。そうして、引継ぎに時間が掛かるのでしばらく使えない日々が続くわけです。これまた不便……。
ここでイラっとするのは、ビジネスモバイルの利用料は地味に毎月取られていることです。そのお値段、2200円/月。
使えない日々は続くのに、利用料はしっかり取られる。よく考えると、WEBから振り込みができるとか今じゃ銀行として普通の機能のはずなのに、毎月2200円取られるってのもどうなんでしょうか?
しかも、さらにイラっとするのは、利用料の引き落としを毎月ハガキで通知してくること。WEBの利用料をハガキで報告とか何なの?デジタルにしたいのかアナログにしたいのかどっちなの?コントなの?
その無駄な郵便物をやめて利用料を下げてほしいくらいです。
落胆その⑥ いまだ必須になってくる『印鑑』
スマホの買い替えによってアプリが使えなくなったので、アプリの引継ぎの申請が必要とのことで銀行へ行きました。
ここで再び落胆②(予約が必要)と落胆③(予約が取れない)を味わいつつ、家の近所ではない遠くの店舗にわざわざ足を運ぶことに。で、アプリ引継ぎ申請書を出そうとしたところ「これではダメです」と窓口のおばさま。
書類に『印鑑』が必要だというのです。……でたよ、印鑑。
まあ、銀行への手続きで印鑑を持っていかなかった自分も悪いのかもしれませんが、印鑑を持って外出するってなかなかやらないですからね。失くしたくないし。
通帳もカードも免許証も保険証も持参しているんだし、なんとかならんもんですかねえ……。印鑑ってそんなに大事ですか?誰でも作れますよ、あんなの!などと思いながら怒りを抑えて「何か回避策はありませんか?」と相談することに。
落胆その⑦ 紙を郵送しろという
印鑑を忘れた私に、窓口のおばさまは「印鑑は書類に必須となりますので、印鑑を押した申請書を後日郵送してください」と冷たく追い打ち。
めんどくせえええええ。
なんだそれ。
スマホのアプリを引き継ぎたいだけなのに。
印鑑を押した紙を封筒に入れて郵送しなさいですって。。
あまりにめんどくさいので、「PDFでスキャンしたものをメールで送信する形じゃダメですか?」と聞きましたが、「PDFもメールもダメ」とのこと。
融通が利かない。。。アナログすぎる。。。
そこで1万歩譲って「……じゃあ、FAXにさせてください」と言ったのですが「いえ、それも前例がないのでダメです」とのこと。出た、前例主義。。。
あまりのこちらの落胆ぶりに同情したのか、窓口のおばさまが少し間をおいて「……わかりました」というので「え?」と期待。
「今回だけ特別ですよ♡」って言ってPDFとメールでOKしてくれるかと思いきや、「封筒はこちらで用意させていただきますよ」と…(苦笑)
せめてもの譲歩かも知れませんが、全然嬉しくねーわ!
落胆その⑧ 印鑑の相異でやり直し
その後、自宅で泣きながら印鑑を押し、書類を封筒に入れて郵送しました。
すると数日後、見慣れないフリーダイヤルから着信がありました。フリーダイヤルは出るとロクなことがないので、出ないようにしています。そして、すぐその番号をWEBで検索。すると、例の青い銀行だということが発覚。
※ちなみに、ボロクソ書かれてました。どんだけ嫌われてんのよ…
「例の書類の件かな」と仕方なく連絡すると、担当者から驚愕の事実が。
「印鑑が違うものでしたので、出し直してください」
「ぬあっ!!!!」
やってしまいました。銀行印と代表印を間違えたのです。。
くそー、、、そもそも銀行印と代表印の角印の3種類もあるの、なんか意味ある?ハンコ業界が数多く作らせたいだけでしょ!?なんて思いながら、「わかりました……出し直します」と力なく返答。
「店舗に来られますか?」と聞かれましたが、そもそも近所では予約が取れなくて遠い店舗にしていました。あらためて予約して遠い店舗までわざわざ行くのもしんどいので、「いえ、郵送でいいです……」と声を振り絞って答えました。
ハンコ文化、はよ消えてくれ。。
落胆その⑨ 引き継ぎ×→解除だけ
今度こそ印鑑を間違えずに押して再送しましたが、それから1週間。
青い銀行からメールが来ました。
「おお、やっとアプリが引き継がれて使えるようになったか」と思い開くと、メールの内容は「利用解除させていただきました」とのこと。
「ん?利用解除?」
どうやら、こちらがずっとアプリの引き継ぎだと思っていた行為は間違っていて、「利用解除」をしてから改めて「利用申請」をしなければいけないらしいのです。めんどくさ!
仕方なく利用申請をしてみると、エラーが返ってきます。
「?」となって、再びメールをよく見ると、「30分程度お待ちいただき~」とある。なんだその中途半端なタイムラグは。
中途半端に待ってられないので、一旦このことは忘れて仕事をすることに。
そして仕事を終えてから改めて利用申請をしてみると、「申請できません」というエラーメッセージ。
「ぐぬぬぬ……なんでや!?」とメールを今一度読み返すと、「本メールの到着が20時30以降の場合、翌日以降に可能となります」という文言が。
時計を見ると20時40分。……くそっ!!!
落胆その⑩ それでも使えないアプリ
申請も終わり、ようやく使えるようになったアプリ。
(引継ぎだけで2か月くらい掛かりました……)
毎月2200円を払いながらも、残高確認や振り込みで利用していました。
しかし、ある日のことです。
振り込みをしようと開くと、また使えなくなっていました。
画面にはエラーメッセージが。
おい、またか!
……いや、ジャニーズのコンサートチケットを申し込んでるんじゃないんだよ!!まともに使えるサービスをしろやー!!!
『顧客志向』について考えさせられた
以上がここ数年で経験した『落胆』です。
後半は主にアプリの話ではありますが、基本的に銀行ってのは「手続き系」が面倒くさすぎます。
本人確認の厳格化は確かに重要で社会的にも有益なのは間違いないですが、そのオペレーションコストを利用者側に負担させ過ぎなんですよね。
銀行の役割って、世の中のお金の流れをスムーズにしてビジネスを下支えしたり経済を潤滑に回すことではないのでしょうか。もうこちとら銀行にビジネスの邪魔をされまくってます。時間も労力も使ってますし、ストレスも与えられている。
顧客のニーズに即応する、いわゆる『アジリティ』なんて持ち合わせていないのだと感じてしまいました。
アジリティの高い“顧客志向”の企業は、顧客=ビジネスということをしっかり認識しています。「顧客を重視する姿勢を絶えず追求しなければ、ビジネスは成長できない」ということを理解しています。
ここ数年で銀行に感じた「自社都合」「前例主義」「ハンコ文化」「現状維持」「柔軟性のなさ」などを続けるのなら、未来はないのではないかと。(冒頭の偉い人の言葉を思い出し、「そりゃ店舗縮小になるよね」と納得)
まあ私のような個人が吠えたところで何も変わらないでしょうが、窓口に来た情弱な老人を相手に「自社の売りたいもの売る」とか「自社の利益を優先する」といった経営方針ではダメだと思います。顧客への価値提供を最優先する『顧客志向』にならないと。
こういう本とか全銀行が読んで、顧客を起点とした経営方針に変わってほしいものです。
※「担当の銀行を変えたら?」という意見ももらいましたが、法人が銀行を変更するのも大変で(取引先にすべて連絡したりとか)、それでいて変えたからって同じようなことが起こらないとも限らないわけで。。どこか良い銀行あったら教えてください~
※税金の納付に関しては現在、既にダイレクト納付にしているので銀行に行かなくて済んでいます。なるべく銀行に行かなくて済むようにしなくては。
(サービス業なのにそう思われちゃうのもどうかと思うけど。。)
いやー、疲れた。
頂いたサポートは私が新刊を書く際の取材費に使わせていただきます。新刊はあなたのサポートによって出すことができますです。