正岡法律事務所

大分市にある法律事務所。大分県弁護士会所属。 中小企業診断士資格を持つ弁護士と,親身なアシスタントが中小事業者をサポート。事業者でない方からの相談にも対応。経営に役立つ情報をお伝えしていく予定。 ホームページ:https://masaoka-law.com/

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最近の記事

金融機関の借入金返済が難しくなったときは

はじめに 今回は、金融機関の借入金返済が難しくなったときの対策の一つとして、経営改善計画について記載します。  資金繰りが悪化している会社はもちろんのこと、現在は業績が好調な会社も、将来の備えとして、経営改善計画のことを知っていただければと思います。 1 銀行借入の返済が苦しくなったら 業績が悪化し、金融機関の借入金返済が難しくなった場合、追加融資や借換融資を依頼したり、他の金融機関に新規融資を依頼することが考えられます。  しかし、金融機関がこれらの依頼に応じてくれない

    • 株式を集約する方法

      はじめに 中小企業の筆頭株主が事業承継やM&Aを行うための準備として、少数株主が持つ株式の集約を試みることがあります。  しかし、その少数株主から株式を譲り受けようと思っても、交渉に応じてくれないことがあります。このような場合はどうすればよいのでしょうか。  今回は、少数株主との交渉によらず、強制的に株式を集約する方法について書きたいと思います。 1 結論 強制的に株式を集約する方法としては、 特別支配株主の株式等売渡請求 株式の併合 があります。  前者の方法が

      • その機密情報、「営業秘密」として守っていますか?

        はじめに こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  自社の機密情報は、競争力のもとになる大切な経営資源です。この経営資源が社外に漏れてしまうと、競争優位性が失われ、経営に大きな打撃となってしまいます。  社内の機密情報が社外に漏れる場面としては、従業員などの社内関係者が、退職時などに社外に持ち出すケースがあります。  少し前には、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトの元社長が、前職のはま寿司の食材の仕入価格などの情報を不正に持ち出し、その情報がかっぱ寿司の業務で使用

        • 契約するときに大切なこととは?その➁

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  今回は、前回に引き続き、契約をするときに大切なことについてお伝えしたいと思います。  前回の記事では、①相手と契約内容について十分話し合うこと(話合いのプロセス)の重要性をお伝えしました。  今回は、②話し合った内容をきちんと契約書に表現すること(表現のプロセス)についてお話します。 1 契約書の役割 前回、ほとんどの契約は、契約書を作らなくても口頭で成立するとお伝えしましたが、トラブル予防の観点からは、きちんと契約書を作

          契約するときに大切なこととは?その①

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  みなさんは、契約をするときに大切なことは何だと思いますか?  契約するときに大切なことといったら、「契約書を作ることでしょ!」とお叱りを受けそうですが、私は、日々の業務の中で、契約前に①相手と契約内容について十分話し合うことが大切だと感じています。十分に話し合えたら、②話し合った内容をきちんと契約書に表現することも大切です。  そこで、今回と次回の2回に分けて、契約を締結するときに大切なことについて、私の日々の業務で感

          契約するときに大切なこととは?その①

          会社の支配権は誰にある?

          はじめに こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  事業承継のご相談で、「会社の支配権は社長にあるのか。」というご質問をいただくことがあります。  会社の支配権は一体誰が持っているのでしょうか?  今回は、会社の支配権について書きたいと思います。  なお、ここでいう「会社」は株式会社とし、「支配権」は会社の重要事項を決定する権利のことだと定義します。 1 社長って何者? そもそも、「社長」とは何者なのでしょうか?  会社のルール定めている会社法には、「社長」という言

          会社の支配権は誰にある?

          「期限の利益喪失条項」ってご存じですか?

           ご無沙汰しております。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  突然ですが,皆さんは,「期限の利益」という言葉をお聞きになったことはありますか。  今回は,債権回収の場面で,債権者(権利を持っている人)が知っておきたい「期限の利益」について書きたいと思います。 1 そもそも「期限の利益」って何? 期限の利益とは,契約などで決められた期限がくるまで,債務(義務)を履行しなくてよいことをいいます。債務(義務)を負っている人からすれば,期限が来るまで履行しなくてよいため,期限の利益

          「期限の利益喪失条項」ってご存じですか?

          その商品名,大丈夫ですか?

           ご無沙汰しております。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  新たに事業を立ち上げたり,新商品・新サービスを開発したりするときには,新たに商品・サービス名やマークを決めることになります。  しかし,その際に他社の商品名やマークの権利を侵害してしまった,他社に先にマークを権利化されてしまったといったトラブルが生じることがあります。  この記事では,「商標権」という商品・サービス名やマークと関係する権利についてお伝えします。  創業をお考えの方,経営者の方,商品・サービス開発に

          その商品名,大丈夫ですか?

          遺言作成の準備には何が必要?

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  遺言には,亡くなった後に残った財産(遺産)の処分方法を決めたり,相続人間の遺産分けのトラブルを防ぐなどといった重要な意味があります。  しかし,遺言を作る前にどのような準備をすればよいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。  そこで,この記事では,遺言を作る前の準備事項についてお伝えしていきます。 1 遺言能力の確認 有効な遺言を作るためには,遺言作成者に「遺言能力」があることが必要です。遺言能力とは,遺言の内

          遺言作成の準備には何が必要?

          法務局が遺言書を保管してくれる?

           ご無沙汰しております。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  この記事では,「ご自身で遺言書をお作りになる場合には,法務局の保管制度を利用していただきたい」ということをお伝えしていきます。 1 遺言の強い力 遺言は,自分が亡くなった後に残った財産(遺産)を,遺言に書いた内容に沿って分けることができる強い力を持っています。  経営者の方が,自社の株式や事業用の財産を後継者に引き継ぐために遺言を活用することも多いです。事業をしていない方でも,ご自身の意思のとおりに遺産の分配を実

          法務局が遺言書を保管してくれる?

          自社の資源,分析してみませんか?

           こんにちは。正岡法律事務所のアシスタント,水谷です。  この記事では,自社の経営資源を分析し,活用するためのフレームワークであるVRIO分析をご紹介したいと思います。 ⒈ 自社の経営資源を分析する必要性  なぜ,自社の経営資源を分析する必要があるのでしょうか。 それは,ビジネスで競争優位を築けるか,その優位性を保てるかは,会社の保有する経営資源とその資源を活用する力にかかっていると考えられるためです。この考え方を,リソース・ベースト・バリュー(RBV)といいます。 つまり

          自社の資源,分析してみませんか?

          自社の株式の価値,ご存じですか?

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  この記事では,事業承継の対策時に自社の株式の価値を把握しておくことの重要性や価値を把握するための方法についてお伝えしていきます。 そもそも株式って何? まずは,この記事の前提として,そもそも株式とは何かについて復習しておきましょう。  株式は,株式会社の所有者としての地位を表すものです。株式は,株式会社に出資したり,株式を持っている人から譲ってもらったりすることで取得します。株式を持っている人のことを株主といいます。  創

          自社の株式の価値,ご存じですか?

          フレームワークを活用してみましょう。

           こんにちは。正岡法律事務所のアシスタント,水谷です。  この記事では,自社の状況を捉える方法として,フレームワークの活用をご提案し,具体例として自社の現状等を分析するためのフレームワークであるSWOT分析ご紹介したいと思います。 ⒈ フレームワークを活用してみましょう。 「フレームワーク」とは,物事を考えるための枠組みのことです。何かを考えるとき,フレームワークを使うことで,問題点を整理しやすく,考えを深掘りしやすくなります。  枠組みに沿うことで,考え出されるアイデアも

          フレームワークを活用してみましょう。

          トラブル予防の大切さ

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  この記事では,トラブルの予防対策を行うことの重要性をお伝えします。 予防法務とは 法的な知識などを活用して,トラブル予防の対策をとることを予防法務といいます。  トラブルが起き,こじれてしまった場合,最終的には裁判所で法的な解決が図られます。しかし,このような解決には大きな負担を伴います。それならば,トラブルが起きる前に予防策をとっておこうというわけです。  「予防法務」と聞くと難しそうな印象を受けるかもしれませんが,具体

          トラブル予防の大切さ

          役員借入金,残っていませんか?

           こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。  この記事では,事業承継における役員借入金の注意点についてお伝えします。  ➀ 役員借入金とは 役員借入金とは,取締役などの役員が個人として会社に貸し付けたお金のことです。会社から見れば役員からの借入金ということで,役員借入金と呼びます。役員から見た場合には,会社への貸付金ということになります。  よくあるのは,代表取締役である社長が会社に対して一時的に資金を提供し,貸付金として処理している場合です。  長年会社を続けていれ

          役員借入金,残っていませんか?

          お元気なうちに,早めの事業承継対策を

           皆さま初めまして。弁護士・中小企業診断士の正岡です。初投稿ですので,温かい目で読んで頂けるとありがたいです。  この記事では,事業を後継者に承継するために,早めの対策が必要だということをお伝えします。 ➀承継と判断能力  後継者の方から,「父(母)が持っている会社の株式や事業用の土地建物の名義を自分にしておきたいのだけど,どうすればいいか。」といった相談をお受けすることがあります。  よくお話を聴いてみると,会社の株式や事業用の資産を持っている方が入院していたり,介護福祉

          お元気なうちに,早めの事業承継対策を