契約するときに大切なこととは?その➁
こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。
今回は、前回に引き続き、契約をするときに大切なことについてお伝えしたいと思います。
前回の記事では、①相手と契約内容について十分話し合うこと(話合いのプロセス)の重要性をお伝えしました。
今回は、②話し合った内容をきちんと契約書に表現すること(表現のプロセス)についてお話します。
1 契約書の役割
前回、ほとんどの契約は、契約書を作らなくても口頭で成立するとお伝えしましたが、トラブル予防の観点からは、きちんと契約書を作っておくべきです。
契約書には、約束の内容に間違いがないことをお互いに確認し、それを記録化するという重要な役割があり、トラブルの予防につながるためです。
2 表現のプロセスを踏まなかったら?
契約書を作るといっても、ただ形だけのものを作ればよいわけではありません。話し合った内容をしっかりと契約書に表現すること(表現のプロセス)が大切です。
それでは、「表現のプロセス」をきちんと踏まないと、どのようなことが起こるのでしょうか。なお、ここでは、話合いのプロセスを踏んでいることを前提とします。
表現のプロセスを踏めていない状態、つまり、話し合った内容をきちんと表現できていない契約書にサインした場合は、話し合いの時の記憶が薄れたり、当初と事情が変わったり、担当者が交代したりした時に、これまでとは異なる主張が出てくることがあり、「話しが違うじゃないか。」といったトラブルに発展することがあります。
話し合った内容をしっかりと契約書に表現しなければ、やはりトラブル予防の効果は低くなってしまうのです。
3 ご相談を受けて感じること
契約トラブルの相談では、「ネットで見つけた書式をそのまま使った。」というものがあります。書式には、一般的な内容が書かれており、当事者が実際に話し合った内容は反映されていません。また、話し合った内容とは全く異なる内容が書かれていることもあります。
売買契約といった同じ種類の契約でも、当事者によって事情は全く異なります。書式を利用する場合は、適宜修正を加え、自分達の話し合った内容に沿った契約書にしていく必要があります(なお、ここでは書式の利用自体を非難しているのではなく、書式に修正を加えなかったことを問題視しています。)。
その他にも、契約トラブルの相談には、「相手が持ってきた契約書によく分からないままサインした。」というものもあります。相手の用意した契約書が、話し合った内容とは違い、自分に不利な内容になっていることがあります。
相手が用意した契約書を使って契約する場合は、契約書にサインする前に、内容をしっかり読み、話し合った内容を反映しているか確認する必要があります。相手が契約書を用意する場合には、事前に契約書案を送ってもらい、しっかりと読んでおくべきです。
契約書にどのように表現すればよいか分からない場合や、書式に書いてある文章の意味が分からないという場合には、弁護士等の専門家に相談していただければと思います。
4 まとめ
それでは、最後にこの記事でお伝えしたいことをまとめます。
相手と話し合った内容をきちんと契約書に表現する
書式を使う場合は、話し合った内容に沿って修正を加える
相手が契約書を用意する場合は、事前に契約書案を送ってもらい内容を確認しておく
この記事が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。