見出し画像

ユニバーサルデザインの強化書210 フェーズフリー発想〜「いつも」に「もしも」を溶け込ませる

フェーズフリー発想〜「いつも」に「もしも」を溶け込ませる

はじめに

フェーズフリーという概念を最初に提唱したのは、社会起業家の佐藤唯行さんです。
佐藤さんは、防災工学の研究を大学在学中から始め、その後、国内外の社会インフラ事業に携わる中で多くの災害現場に関わり続けました。その経験から、従来の防災のあり方に疑問を持ち、2014年に「フェーズフリー」という言葉を提唱しました。

フェーズフリーが生まれた背景

佐藤さんがフェーズフリーを提唱した背景には、以下の様な考えがありました。

・従来の防災の限界:
災害が発生した際に、特別な備えとして用意した防災グッズに頼るという従来の防災のあり方では、日常的に防災意識を持つことが難しい。
・日常と非常時の境界線:
日常生活と災害時を明確に区別するのではなく、日常から防災意識を持つことで、いざという時にも慌てずに対応できる。
・防災を生活の一部に:
防災を特別なことではなく、日常生活の一部として捉え、より良い生活を送るための基盤にする。

フェーズフリーの広がり

フェーズフリーという考え方は、提唱されて以来、徐々に世の中に広がっています。企業や自治体などが、フェーズフリーの考え方を商品やサービスに導入する動きも活発化しています。
・フェーズフリー協会の設立:
フェーズフリーの普及を目的とした一般社団法人フェーズフリー協会が設立され、認証制度なども実施されています。
・メディアでの取り上げ:
雑誌やテレビなど、様々なメディアでフェーズフリーが取り上げられるようになり、一般の人々にも知られるようになってきました。

「もしも」を「いつも」に

「防災」と聞くと、何か特別な準備や特定のアイテムが必要だと思いがちですが、実は、普段の生活の中で使っているものが、いざというときに大きな助けになることがあります。本コラムでは、身近な生活用品を活用したフェーズフリーの実践例を紹介し、企業が提供するフェーズフリー商品にも注目します。

1. 普段のスーパーの買い物が備えに?

例えば、スーパーでいつも買っている食料品もフェーズフリーの一例です。インスタント食品やレトルト食品を少し多めに買ってストックしておくと、非常時に役立ちます。普段の食事にも使えるので、無駄がありません。特に電気が使えなくなったときでも食べられる缶詰やお湯を注ぐだけの食品があれば、安心です。

2. 普段使いのトートバッグが防災グッズに

通勤や買い物に使うトートバッグ。大きめのトートバッグに、エコバッグと一緒にペットボトルの水を1本入れておけば、それだけで水分補給の備えができています。また、使い古しの手ぬぐいやフェイスタオルを常に入れておくことで、汗を拭く、ケガの手当てをするなど、いろんな場面で活用できます。日々持ち歩くアイテムが、防災時の小さな備えにもなるのです。

3. 家の中でいつも使っているものが実は便利

キッチンにあるラップやアルミホイルも、実はフェーズフリーの道具です。災害時には、ラップは食器の上に敷いてお皿代わりに使うことができ、洗い物の水を節約できます。また、アルミホイルは防寒具代わりに使ったり、調理器具の代わりにもなる万能アイテムです。こうした普段から使っているものが、いざというときに役立つのは意外かもしれませんが、これこそがフェーズフリーのポイントです。

4. いつものお掃除が非常時に役立つ

普段のお掃除の中で使っている道具も、非常時に役立ちます。例えば、ほうきやちりとり、ゴミ袋は、停電や断水時に掃除をするのに役立ちますし、ゴミ袋は体を包んで防寒具代わりにもなります。普段は当たり前に使っているものが、実は備えの一部になるのです。

5. 子どものおもちゃが避難時に活躍?

小さなお子さんがいる家庭では、普段使っているおもちゃも、いざというときに役立ちます。例えば、折りたたみ式の小さなレジャーシートをピクニックや公園で使っているなら、それが災害時に家族みんなで休む場所になりますし、子どもにとっては安心できる遊び道具でもあります。さらに、普段遊んでいる小さなぬいぐるみやお気に入りのブランケットは、避難時に精神的な安定を与えてくれる大切なアイテムです。

6. 企業のフェーズフリー商品で安心感アップ

最近、企業もフェーズフリーの考え方を取り入れた商品を展開しています。例えば、某アウトドアブランドが提供する防水リュックは、普段使いにもおしゃれで機能的ですが、災害時には避難用リュックとしても活用できます。また、アパレル企業が発売した「防寒もできるレインコート」は、日常の雨対策としてだけでなく、非常時の寒さ対策としても役立つ一石二鳥の商品です。

さらに、電化製品メーカーの多機能ランタンも注目されています。これは、普段のインテリアとして部屋を彩るだけでなく、停電時には非常用ライトとして使用でき、スマホの充電も可能です。このように、日常と非常時の両方を考えた商品が増えてきており、手軽に防災意識を高められる点が大きな魅力です。

まとめ

フェーズフリーは、特別な防災グッズを揃えることだけではなく、普段の生活の中で使っているものを、少しの工夫で非常時にも役立つように活かす考え方です。毎日のスーパーの買い物や通勤バッグの中身、キッチンのアイテムなど、ちょっとしたことが災害時に備える手段になっています。企業が提供するフェーズフリー商品を取り入れることで、さらに手軽に備えを強化できるでしょう。

日々の「いつもの生活」がそのまま「もしもの備え」になる。それがフェーズフリーの最大の魅力です。あなたも、普段の生活の中で自然と備える安心感を手に入れてみませんか?



Think Universality.

Think Difference.


m.m

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?