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英語に自分の人生を救われた話

こちらの記事の中でもお伝えしましたが、

自分には20代の頃、引きこもっていた時期があります。それも数年間という長い期間、ただひたすらゲームをするという毎日を過ごしていました。

大学受験のための浪人生活の反動で、燃え尽き症候群のような状態になってしまった、ということもあるのですが、

本当のところは、「自分がやりたいことがわからなかった」ためです。自分の一生をかけて何がやりたいかが。

そういう面倒な、簡単には答えの出ない問いは後回しにして、選択肢を増やすこと(つまりいい大学に入ること)ばかりやっていた、

でもそれに疲れてしまった

さらに言うと、大学の学部選びで失敗した、ということも大きなトラウマになっていました。

文系でより高い偏差値のところを、ということで法学部を選びましたが、いざ入学して法律の授業を受けてみて、全く面白いと思えなかったのです。

なんで入る前に、どういう勉強するかについて、もう少しヒントをくれないんだろうか、

あるいはもっとフレキシブルに学部を変えられたり

それか、入学して、せめて一二年はいろんな授業を受けることでその中から気に入ったコースを決めるようにすればいいのに

浪人してまで努力したのに、そういう結果になってしまったことで、

第一志望の大学に合格するという成功体験は、自分にとっての大きな挫折の経験へとすり替わりました。

これによって、将来を決めるような大きな選択をすることがすっかり怖くなってしまったのです。

しかも、中高はそれぞれ3年、大学は4年(自分は7年もいましたが)、のように区切りがありますが、

仕事はそうではありませんよね。特に自分が大学生だった頃は、終身雇用制もまだまだ健在で、転職もそこまで当たり前ではない時代で、

一度就職したら、そこで一生勤め上げるのが普通

それなのに、やりたいことがわからない状態で、一生の仕事なんて選べるわけがない、

それでどうしていいかわからず、ゲームの世界に逃げ込んだ、というのが本当のところで。

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もちろんこのままじゃいけない、そこから抜け出さなければ、という思いは常にあって、沢山本を読んだりなどして、「自分が何をやりたいか」を見つけようとしますが、行動が伴わないので見つかるわけもなく、

気づけばまたゲームで徹夜をする、という日々に逆戻り。

大学に入るまではなんとか「レール」に沿って生きてきたわけですが、大学に7年行ったことでそのレールからは完全に外れてしまった、

そして一度レールから外れると、元に戻るのは難しい、のが日本の社会ですよね。

それでどんどん社会に出るハードルは高くなることに。

ゲームをやっていたって、心から楽しめているわけでもない。ただ何もやっていないと、「自分は人生の落伍者だ、生きている価値がない人間だ」という苦しい思いにさいなまれる

そこから逃避するためにゲームをやり続けていただけで

ですが上の記事の中でもお話したように、父親の定年で家を出ざるを得ず(これは今から考えると本当にラッキーでした)、なんとか職を見つけて生きてきたわけです。

でも、やっぱりどこかで、レールから外れた人間である、という自覚はずっとあって、「こうあるべき」という世間の当たり前に自分を合わせられない、そのことで息苦しさを感じ続けていました。
       
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それから年月が経ち、いろいろあって英語をやり直すことを決めた

本当に英語が使えるようになる方法を見つけて、それを広めて、日本人が当たり前に英語が使える、そんな世の中にしたい

これを自分の人生をかけてやろう、と必死で向き合いました。

そしてなんとか3年で目標だった英検一級にたどり着き、企業の社内翻訳者として英語を使って仕事をする経験を持ち(これらはいつか英語を教えるために、絶対に必要なことだと自分に課していたことでした)、

その後「英語を教える」ことについて学ぶためTEFL(Teaching English as a Foreign Language)という資格を取ろうと、カナダのバンクーバーを訪れます。

自分が通ったのは Community College という、いわば職業訓練校みたいなところで、TEFLなどの英語教授法の資格の他にも、さまざまな職業に関して、そのキャリアアップのための授業を提供していました。

その分野が本当に多岐にわたっていて、プログラミング、会計、看護、料理、デザイン、などありとあらゆる職業をカバーしているのです。

で、なんの気無しにあるクラスの様子を窓から覗いた、そうしたら

そのクラスでは、10代・20代と思える若い子たちと恐らく4〜50代であろう白髪まじりの人たちが、机を並べて一緒に勉強をしていました。

その光景に衝撃を受けます。

だってこんなこと日本じゃあり得ませんよね。

日本で学校に通うのは長くても20代前半まで、もちろん同級生は特殊な例を除いてはみな同い年。

そして圧倒的多数の「大人」にとって、学校とはいったん卒業してしまったらもう縁がないもの。

でもそこでは違っていて、いくつになっても、自分のキャリア・それからの人生に必要だと思ったら、学校に行って新しいことを学ぶ、というのが当たり前だったのです。

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僕はこの光景を見ながら涙が出そうになるほど感動しました。

というのは、33歳からのスタートに関して、「遅過ぎるんじゃないか」という思いがずっとあったからです。

だって自分が「英語を使える」ようになるだけでも何年かかるか分かりませんでしたし、いや、そもそも本当に使えるようになるのか、そんな保証すらなかったですからね。

さらにそれを今度は人に教える、となったら段違いにレベルを上げなくてはならなくて、

そんなこと、この一生の間には間に合わないんじゃないだろうかと。

でもそうやって若者と机を並べて真剣に学んでいる少し年上の方々の姿を目にして、学ぶのに遅すぎることなんてない、と強く背中を押された思いがしました。

そしてそれと同時に、今まで長い間自分がとらわれていたのは「狭い考え」だったことに気づいたのです。

勉強は学生で終わり、卒業したら就職して一つの会社に勤め上げるのが普通

自分が絶対だと思っていた「レール」、それを外れたら生きていけないとまで思っていたものは、実際はローカルルールでしかなく、

そしてそれに沿って進めなかった自分は「人間失格」だとすら思っていたのですが

人間はもっといろんな生き方をしていいんだと、そこで初めて思えた。

20代でやりたいことがわからなくたって、新しいことを学びたい、という気持ちさえあれば、人間はいくつからだってやり直せるんだ 

こんな自分でも生きてていんだ、と30代も後半になって心から思えた。

実際、10代の段階で本当にやりたいことが見つかっていることの方がむしろ稀で、それは人生でいろんな経験を積みながら少しずつわかっていくもの。

20代で見つかる人もいれば、30、40代で見つかる人もいる。50代で新しいことを始めたっていい

人生100年時代になって、年金だけでは暮らすことができず、誰もが「長く働く」ことが当たり前になったら、この傾向はもっと強まるでしょう

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ともあれ、そこに至ってようやく自分を許すことができたわけです。

これも海外に出て、日本を外から客観的に見る経験を持てたからこそです。日本にいる間は、「日本の常識」が、自分の世界のすべてでしたから。

でもそうじゃない、生き方は一つじゃない、色んな生き方があっていいし、たとえ選んだ道が間違っていたって、いつからだってやり直すことが出来る

もしこれらのことを20代のうちに知っておけば、ああやって引きこもることもなかったでしょう。

自分には生きている価値などないと、あれほど苦しむこともなかった

まぁあの頃の自分には英語が使えなかったので、たとえ海外に行っても単なる観光旅行で、表面だけなぞって終わりだったでしょうが。

そう、だから英語は必要なのです。海外でいろんな人と深く会話することで、日本との違いがよりハッキリする。

それによって、自分がそれまで当たり前だと思っていたことが、実は他の国では当たり前ではない、ということを知る。

自分がとらわれていた「常識」がぶち壊される経験。

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僕は日本は素晴らしい国だと思いますが、「こうあるべき」という空気・強制力がとても強い国だとも思います。

それが自分には本当につらかった、その「こうあるべき」という世間の当たり前に合わせられない自分が。

あの頃の自分と同じように、日本で生きることに息苦しさを感じている人はいるはず

そういう方には、ぜひ海外に出て外から日本を見る機会を持っていただきたい、

いろんな生き方があっていい、ということが骨身に染みてわかりますから。

日本の常識に合わせられなくたって、自分を責める必要はないんです。それはたまたまそこのルールが、あなたには合っていなかった、というだけなのですから。

この経験があるため、僕は「自分の人生は本当の意味で、英語に救われた」と心から思うのです。

英語があることによって、閉じられた世界から脱することができて、それを客観視できるようになった

前にお伝えしたような、実利的なメリットなど吹き飛ぶぐらい、それぐらい英語には大きな恩がある

こうやって英語で人生を変える人を増やしたい。これが自分の原動力です。

人より遠回りしたからこそ教えられることが、きっとあるはず。

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