【感想】書籍『ラジオじゃないと届かない』『アフタートーク』
4/21(金)に始まった新ドラマ『波よ聞いてくれ』第1話にこんなやり取りがあった。
確かに、言われてみればラジオでは喋る人のことを「パーソナリティ」と呼ぶ。
テレビは「テレビタレント」とは言っても「テレビパーソナリティ」とは言わない。
YouTuberやTikTokerは言わずもがな。
別のページではこうも書かれている。
そんな考えを持つTBSラジオの宮嵜守史プロデューサー(以下、宮嵜P)が計7組のラジオパーソナリティとの対談を通して「なぜ今でもラジオは聴かれるのか?」を考えた一冊。
宮嵜PはAuDeeの『向井と裏方』の最終回ゲストでもありました。
ところで、そんなラジオの裏方が書いた本といえば1年半前に出版されたニッポン放送の石井玄ディレクター(以下、石井D)の『アフタートーク』が思い出される。
これも面白かった。
2021年の年間ベストに挙げました。
ちなみに石井Dも『向井と裏方』出演歴あり。
で、今回この2冊を照らし合わせながら読んだらより一層めちゃくちゃ面白かったというお話。
石井Dは著書の中でラジオで喋ることに向いている人の条件として
ラジオが好きな人
いい人である
を挙げている。
特に2点目は前述の宮嵜Pの「ニン」と同じ所を指しているようで面白い。
これ以外にも
両者が考えるラジオディレクターの仕事
番組終了について/番組を続けるために
各パーソナリティの凄さ
といった仕事論から
ラジオ業界で働くに至る経緯(2人とも大学を卒業してそのまま就職というコースではない)
親の死とラジオ
といったパーソナルな話まで重なり合っているのが興味深い。
特に石井Dがまだ業界に入る前のリスナーだった頃から宮嵜Pと邂逅するまでの話(といっても2冊にそれぞれの視点からバラバラに書かれてるんだけどw)がもはや大河ドラマ。
『べしゃりブリンッ!』の終了が2010年3月。
そこから6年半後にアルピーを介して一緒に仕事をするのがアツい。
当時石井Dはニッポン放送系列の制作会社所属。
そこをTBSラジオの宮嵜Pが「結構頑張って」交渉したという舞台裏。
『ラジオじゃないと届かない』には宮嵜P×アルピーの対談、『アフタートーク』には石井Dと作家の福田卓也の対談がそれぞれ掲載。
合わせて読むとアルピーのラジオが何やら立体的になってくる。
てかやっぱり単純にオールナイトニッポンからD.C.GARAGEに至った歴史におけるアルピーという存在って凄いんだな。
ちなみに両書には奇しくも「天才」の話題が出てくる章があり、宮嵜Pがオークラの名前を、石井Dが福田卓也の名前をそれぞれ挙げているのも興味深い。
あと師匠/親友と関係は異なれど揃って名前が挙がる宗岡芳樹。
【追記】
なんと宮嵜Pご本人から引用RTの形でコメントを頂きました。
見落としてたー!w
著書の中に「憧れの先輩 住田崇さん」という章があるというのに…不覚w
【追記ここまで】
ところが物語はここでは終わらない。
前述の通りニッポン放送系列の制作会社に所属していた石井Dは2018年4月のオールナイトニッポンのチーフディレクターに就任。
そこで「JUNKに勝つ」という目標を掲げ、数字の上では宮嵜Pと真っ向勝負する形に。
一方で宮嵜Pも決して順風満帆の王者人生だったわけではなく、2012年3月に遂に『おぎやはぎのメガネびいき』が聴取率トップになった当時を述懐している。
(『魔法小木おぎか☆オギダ』の回w)
石井Dは2020年2月に悲願を達成。
この数ヶ月後に石井Dがニッポン放送本体に入社(それに伴いTBSラジオの番組のディレクターは卒業)する形で2人が一緒に番組を作るというコラボは解消された。
ただ、別に今は仲が悪いとかそういう話ではもちろんなくて2人ともラジオ業界全体を考える視座になっている模様。
改めて並べてみても数奇な運命の2人だよなぁ。
本当に面白い(って他人の人生をあまり無邪気に消費するのも良くないが)
ちなみに宮嵜Pが著書のテーマに掲げている「なぜラジオを聴くのか?」
自分は主に仕事をしながら生放送、タイムフリー、ポッドキャストを聴いている。
かれこれもう7〜8年ぐらいこのスタイル。
最早ある程度の音が耳から流れていないと頭が回らない体質に。
本当に静かな場所では何も考えられないw
映画やドラマを観る時は目はかなり集中しているけど、ラジオを聴く時は耳はあまり集中してない。
文字通りのながら聴き。
冒頭で紹介したパーソナリティ、人(にん)、いい人の話もめちゃくちゃ分かる。
合う・合わないという相性の問題だから個別の名前は控えるけど、たまに全然仕事が捗らないパーソナリティがいるw
聴いててストレスを感じてしまい耳に意識を持ってかれるというか。
やっぱり小木の言うように疲れないのがラジオの良さなのかなー