【読書感想文】《動物たちは何をしゃべっているのか?》
新聞の書評で見かけ、図書館に予約を入れてようやく順番が回ってきました。
気鋭のシジュウカラ研究者と霊長類研究の碩学の対談。
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シジュウカラの囀りにはちゃんと文法があって言語として成立している、とは知らなかった。
鈴木准教授(記事投稿現在)すげー!
また類人猿の、特にゴリラに関する研究で有名な山極元学長は学長就任時に反対運動が起きた事で存じ上げていた。
『京大学長などという雑事を務める間に世界の類人猿研究が滞るではないか!』というのが反対理由。
当時SNSなどで私同様見かけられた方も多いのではないか。
お二人のお人柄が窺える対談集なのだが、私と世代が近い山極元学長が穏やかで鈴木准教授の話をしっかりと傾聴してから真摯に応えていらっしゃる事により一層感慨深く尊敬の念を抱いた。
年長である事を傘に着ることなく《分野は違えど研究者同士》のスタンスを崩されない。
私の周りにいる馬齢を重ねただけの、若者や女性をハナから軽視しがちなおっさんたちに爪の垢でも呑ませてやりたい。
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鳥類と哺乳類なかでも類人猿の言語に関することから始まって、人類の言語の発生と進化、そして社会・文明の発生と進化へと話題が広がっていく。
西洋の、というかヒト中心の他の動植物への視点から、研究が進むにつれて東洋的、いや仏教的な【どんなイキモノにもそれぞれの視点があり優劣をつけられない】という結果が導かれ始めているというのも興味深い。
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私のようなシロウトにも理解しやすい言葉を使って、深遠な研究の端っこを見せてくださったお二人の、今後とものご活躍を楽しみにしたい。
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ではまた。