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ヒッチハイク 放浪癖 その1

19才大阪市西成区に1年半住んだあと、大阪を出て金沢の実家に戻った。

無職で自称アーティスト、絵描きの息子が、

昼間から家でごろごろとされるのを母親が煙たがった。


「あんた。昼間っから家におらんとバイトでもしよう。勝手になんでも食べ物使わんといてま。」


当時の僕には働くという概念はない。
大阪での生活で頭のネジが3本いや6本ぐらい飛んでいってしまった。
普通が狂ってしまった。

お金なんかいらん。
絵と物々交換できればいいやんぐらいしか考えていなかった。

実家は特にやることが何も無い。

自転車で片町にいき、道端で絵を並べてもたいして刺激がない。どうするべきか。

夜中、自分の部屋のベッドで横になりながら雑誌を読んでいると、コンコンとノックの音が。

中央市場で働く父親が扉を開けてひとこと、


「シュウジ。お前はノイローゼや。」


また扉を閉めて仕事に行った。

おい、大喜利のひとことシリーズやないんやから。
もっとあたたかい言葉の毛布をかけなさい。


このまま家にいても居場所がないので、
旅に行く決断をする。

「よしヒッチハイクで行ける所までいって見よう。」


翌日、父親にトラックで市場まで連れて行ってもらう。


そこから金沢西インター乗り場まで歩いて20分ぐらい。歩いて国道8号線と北陸道が重なる場所へ。
国道8号線に着くとスケッチブックに福井までと書く。

素人はいきなり大阪とか最終目的地を書く。だが石川県内で大阪に仕事に向かう人かつ、乗せてくれる人の確率はかなり低くなる。下手したら1日中立っていても止まってはくれない。

隣の県を書くと乗せてくれる人の確率はグンと上がる。

当時は電波少年で朋友(パンヤオ)のアフリカ横断ヒッチハイクが、放送されていたので世間にヒッチハイク行為がかなり浸透していた。

20分ほどで1台の普通車が止まってくれた。


「そんなに遠くにいかないけどいいかな。」


乗せてくれるだけでありがとうございます。

その方に降りる手前のサービスエリアで降ろしてもらう用に交渉をする。

数珠をつなぐように今日の目的地の大阪に到着。

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