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飛び込み営業100本ノックから得たこと

先日、50歳無職氏の記事の中で「飛び込み営業100本ノック」という単語が登場した。

大変、懐かしい響きだ。
なぜなら、私も「飛び込み営業100本ノック」をした経験があるからだ。
今回は、この辺りのことを書きづつっていく。


飛び込み営業は「悪」なのか?

私は、そうは思わない。
ただ、会社として、いつまででも「飛び込み営業」をしているようではいけないと思っている。

私の場合、創業当初に会社から40km圏内の主たる会社は全て突撃した。
100本ノックどころではない。
500本は打ったと思う。
特に最初の頃は、随分迷惑を掛けたと思う。

――― 何も分かっていない人の突撃営業

たしかに、これは迷惑だ。

・忙しい時間帯に突撃してくる
・全く必要のない商品の説明が続く
・要点がまとまっておらず、話のテンポが悪い
・話が長い
・何だか胡散臭い

何も分かっていない人は、こんな印象を持たれてしまう。
すぐに改善するべきだ。

この「改善」というのが面白い。
改善した結果、飛び込み営業は役割を終える。

飛び込み営業の役割

飛び込み営業は「売る」ためにやってはいけない。
どうせ「大して売れない」のだから。
しかしながら、飛び込み営業によって得られるものは多い。

まず、トークの構成。
特に、最初の一言が重要だ。
その一言で、話を聞く価値が有るか無いかをジャッジしてもらう。
続いて、相手の心を少しずつこちらに寄せるトークの順番を練っていく。
ここで練ったトークの構成は、そのまま広報活動の改善にも活かせる。

次に、ターゲットの精査。
どんな会社が話を聞いてくれるか?
ノックした数だけ、自社の顧客と成り得る企業が見えてくる。
業種はもちろん、特に会社規模と予算感の関係が重要だ。
需要があり、予算感も合う。
このターゲット像が見えてくれば、会社として進歩する。

次に、自社製品の弱点。
これもノックを続けると、見えてくる。
トークの中、どのポイントで相手の顔に曇りが出るのかを見逃してはいけない。
これは、貴重な情報だ。
弱点を社内で共有し、改善を目論見ること。

最後に、爪痕を残す。
相手の頭の片隅に社名を残す。
捨てられる可能性が高くても、名刺と資料を連絡先として渡す。
そして、決して悪くない印象を与えておく。
3年後に連絡があるかもしれない。
そのくらいの心構えで丁度良い。

――― ここまでで、飛び込み営業は役割を終える

営業活動を次のステージに進めるべきだ。

営業活動のステージ

飛び込み営業は、効率が悪い。
「相手の時間を奪ってしまう」という致命的な弱点もある。

私の場合、飛び込み営業の次は、テレアポ営業へ切り替えた。
飛び込み営業で鍛えたトークスクリプトは、テレアポに引き継がれた。
しかし、これもまた「相手の時間を奪う」という弱点は変わらない。

次に行ったのは、メールでの営業。
これは「相手の時間を奪う」という点が改善されるかわりに、相手の反応が見えない。
メールを打って、後は待つ。
これがもどかしく思えた。

――― そして、ここからが営業活動の勝負所だ!

次に考えたのは、どうにかして「興味の有無」をフィルターに掛けたいということ。
何とか、興味のある人にだけ、営業ノックを打ちたい。

そして出来上がったのが、反応調査機能付きの一斉メール配信システムだ。
夜遅くまで、一人でコツコツと開発した思い出が残っている。

このシステムは、メール本文内のURLをクリックすると、こちら側はクリックされた配信先が分かるようになっている。
今では珍しくも何ともないものだ。
しかし、当時は珍しいものだったと思う。

クリックの反応が見えたら、アポをとる。
比較的規模の小さい会社は電話、それ以外の会社はメールの方がアポを獲りやすい。
そして、サンプルとして「仮の提案書」を作って会いに行く。
あとは、先方に夢を売る。

その後も、徐々にシステムを改善していった。
一斉メール送信に加え、一斉FAX送信にも対応した。
さらに、一斉DM作成にも対応させた。
FAXとDMには、一通毎に異なるQRコードが自動で挿入され、QRコードを読み取った先へアクセスした場合、「興味があるもの」と判定した。

ちなみに、このシステムは、後に私の会社の商品として、外部の会社へ販売することになった。
これは、運が良かった。

――― やがて、営業活動は止めた

次第に、既存顧客からのリピートの割合が高まった。
また、既存顧客からの紹介が増えた。
ここまでで、10年ほど掛かった。
今は、既存顧客と紹介を優先し、新規顧客には対応を待ってもらうという状態だ。

つまり、営業活動から、卒業できた。
そして、ここまで来られたのは「飛び込み営業」で得た情報によるところが大きい。
営業活動初期の突撃ノックで、迷惑を掛けてしまった企業には、大変申し訳ない思いだ。
しかし、飛び込み営業を通して、勉強させてもらったことに感謝している。

最近は、SNSでの営業が主流になりつつある。
しかしながら、「対面」の営業で得る情報は、貴重だ。
私としては「飛び込み営業100本ノック」は、迷惑を掛けることを承知した上で、一度は通ることをお勧めする。


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