「猫を抱いて象と泳ぐ」を読んで|読書感想文
静かにはじまり、静かに終わる小説。でも退屈じゃない。むしろずっとこの小説の中に佇んでいたくなる気分だった。
あらすじ
おじいちゃんとおばあちゃんに育てられた寡黙な少年。ある日、バスを改造して暮らしている元バス運転手と出会う。その彼にチェスを教えてもらうことになる。
元バス運転手の男性を少年はマスターと呼び、チェスをさす日々がはじまる。やがてチェスの力をつけた少年は海底チェスクラブにスカウトされる。
人前でチェスをさすと緊張して力を発揮できない彼はチェスをさすカラクリ人形の操作をすることになる。
海底チェスクラブで出会った少女ミイラに少年は恋をする。
感想
不思議な魅力をもつ小説でした。ヒーリングされている感覚。綺麗な小川のせせらぎに足をあずけているような気持ち。
自分のもやもやした感情を川の流れにまかせて流している感じ。消えるものではないけれど、ゆっくり手洗いしてお日様にあてられ、『さあどうぞ。さっぱりしたあなたです』と差し出されたような気分が残る。
チェスのことはさっぱり分からないのに、小説のなかではチェスにすっかり夢中になってしまう。こんな気持ちにさせてしまうなんて、著者の小川洋子さんは凄すぎます。
チェスの少年の印象に残った言葉を引用します。
静謐な美しさと聡明さが際立つ小説。おすすめです。
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