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「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」を読んで|読書感想文
本の著者である川内さんと全盲の白鳥さんが一緒に美術鑑賞する話かな、と思いきや実は人生を生きていくうえでもっと大事なことを教えてくれる本でした。
読書好き、文を書くことが好きな人には心にささるものがあるはず。ぜひ読んでいただきたい一冊です。
タイトル:目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
著者:川内有緒
出版社:集英社
主な登場人物と本の内容
こちらはノンフィクションの作品です。主な登場人物は3人。
•この本の著者-川内さん
•白鳥さん-幼少期にほぼ全盲になる
•マイティ-川内さんと白鳥さんの共通の友人(美術館で働いている)
ある日、友人のマイテイから白鳥さんと一緒にアートを観にいこうと誘われたことからすべてがはじまります。
全盲の白鳥さんは美術館に行くことが大好き。川内さんは全盲の人とどうやって美術鑑賞するんだろうと戸惑いながらも、一緒に行くことを決めます。
川内さんとマイティは美術館に飾られている作品をまえにして白鳥さんにその芸術作品がどんなものなのか伝えます。
白鳥さんはふたりの話の合間に質問をいれたりして、美術館を3人で歩きます。
川内さんはそこで人によって感性の違いに気づきます。彼女にとって南フランスの気持ちのよい風景にみえる絵画。
けれど、マイティには気持ちの悪い絵にみえたり。
別の作品では描かれた絵の女性は犬の後頭部を見つめていると思うのに、マイティには女性がうわの空のようにみえたり。
見かたも印象の捉え方もまったく人により違うから、それを聞くのがとても楽しいと思う白鳥さん。
全盲の白鳥さんがどのような考えを持って生きているのか、彼の人物像もみえてきます。
感想
白鳥さんが美術鑑賞にもとめているのは、その絵がいつ描かれて、どんな背景があるのか美術の時間に学ぶような堅苦しいことではなかった。
もっと感覚的なものに近い。そしてそれを言葉にする。相手に伝えるってすっごく難しい。
川内さんが気持ちの良い南フランスのように感じた絵画でも別の人には気持ちの悪いもの感じるように、人それぞれ違う感覚があるのだ。
どちらも間違っていない。正解なんてないもの。
大事なことは自分の感覚でどう感じ、思ったことを表現すること。
表現の仕方はそれぞれ違う。どんな表現方法だっていいんだと思った。
考えてみれば、わたしだって本を選ぶときは”あらすじ”だけでは決めない。誰かの素直な感想を読んでから読もうと思うもの。
こうしてみんなで作品を見る目的は、正解を見つけることでもなければ、白鳥さんに正しい答えを教えることでもなく、ましてや、全員が同じものを同じように見ることでもない。
それよりも、異なる人生を生きてきたわたしたちが同じ時間を過ごしながら、お互いの言葉に耳を傾ける。
そうして常に「悪」とされる鬼だって、ときには涙を流すことを想像してみる。
たぶん、それだけで十分なのだ。
わたしたちは目にみえてるようで見えていないものがたくさんある。
いつも見慣れてる風景だって、少し角度を変えたりするだけで気づかなかったものを見つけ出すことができるよ、って教えてくれる本でした。
他にもアートの話だけでなく、全盲の白鳥さんの生活、夢の話、表現することについてが書かれています。
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紹介したい引用文がまだまだあったけれど、ここでおわりにします。とても素敵な本でした。川内さん ありがとうございます。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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