nemika

地学を勉強している大学生です。死ぬまでに火星に行くことが夢です。自分の専門とは少しずれてはいますが、大好きな火星の魅力を伝えられるような記事を書いていこうと思います。記事に対する質問がありましたらコメントに書いて頂ければ、答えられる範囲で返答させて頂きます。

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最近の記事

スペースXがブースターのキャッチに成功! このブースターは今後の月面探査や火星探査に利用される予定で、ブースターの再利用により打ち上げの低価格化が期待できます。 参考: https://x.com/spacex/status/1845442658397049011?s=46

    • 火星探査の歴史 前編

       現在、火星では地表を走行して探査をするローバー3台と火星の周りを周回するオービター6台が運用されており、私たちは詳細な火星の映像を得ることができています。しかし、つい50年ほど前までは火星の表面の様子はよくわかっておらず、火星人が運河を作っているという説が真面目に議論されていました。本記事では火星探査の苦難と挫折の歴史を追っていきます。 黎明期 20世紀半ば時点では火星に生命が存在するのか、火星がどのような環境であるのかわかっていませんでした。火星には高度な知的生命体が存

      • キュリオシティが明らかにした新しい火星像

        キュリオシティとは キュリオシティ(Mars Science Laboratory)は2011年に打ち上げられた火星探査機で、過去の火星が生命の存在に適した環境であったかを明らかにすることを目的としています。総重量は約900kgとそれまでの探査機の中で最大かつ最も高性能な機体でした。高解像度のパノラマ映像が撮影できるMastCamをはじめ、岩石や砂の元素分析を行えるAPXS(X線分光器)、レーザー照射によりサンプルを気化させて元素分析を行えるChemCam、有機物を測定するS

        ¥150
        • 火星の観光ガイド 後編

          液体の水が存在できる「ヘラス平原」高い気圧と水の三重点  火星で観光するなら一番オススメなのがこのヘラス平原です。ヘラス平原は40億年以上前に火星に隕石が衝突したことで形成したクレーターです。直径は2000km以上、深さは最新部で8000m以上と途轍もない大きさを誇ります。ヘラス平原の魅力は気圧が高いために液体の水が存在できることです。火星の他の地点では大気が薄すぎる(約600Pa)ために水は液体で存在しえません。しかし、ヘラス平原は非常に深いために気圧が高く(1400P

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        • 火星探査の歴史 前編

        • キュリオシティが明らかにした新しい火星像

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        • 火星の観光ガイド 後編

          火星の観光ガイド 前編

           今回は今までとは少し趣向を変えて、観光ガイドのような形式で火星の見どころを紹介していきたいと思います。近い未来に火星に旅行に行けるようになって、このガイドが本当の意味でガイドブックになってくれたら嬉しいものです。火星の観光ガイド後編も合わせて読んでいただけると幸いです。 火星のグランドキャニオン「マリネリス峡谷」 マリネリス峡谷は火星の赤道付近にある巨大な峡谷で火星のグランドキャニオンとも呼ばれます。ただ、その大きさはグランドキャニオンとは比べ物にならないほど巨大で、深さ

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          ちょっと詳しい火星の話 #5火星の火山ランキング

           #3でも少し触れましたが、火星には地球ほどではないものの火山が多く存在します。ここの火山については追々書いていこうと思うので、今回はその火山の高さランキングを発表したいと思います。高さの定義には色々ありますが、この記事では等ポテンシャル面からの高さで定義しています。 1位〜5位1位 オリンポス山(タルシス地域)21m 2位 アスクラエウス山(タルシス地域)18km 3位 アルシア山(タルシス地域)17km 4位 パヴォニス山(タルシス地域)14km 5位 エリシウ

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          ちょっと詳しい火星の話 #4火星に生命はいるのか?

          火星に知的生命体はいるのか? 現在では昔の映画に出てくるような知的な火星人はいないであろうといわれています。この記事を読んでくださっている皆さんも火星に知的生命体がいると考えている人はほとんどいないでしょう。しかし、19世紀から20世紀においては知的生命体が火星にいるのではないかということが本気で議論されていました。前編では火星の知的生命体に関する人類の認識の変化を追っておこうと思います。後編では火星に生命はいるのかについての最新の知見を紹介しようと思います。 火星観測の

          ちょっと詳しい火星の話 #4火星に生命はいるのか?

          ちょっと詳しい火星の話 #3火星の地理

          地形概要 本記事では火星の地質についてざっくりと解説していこうと思います。各地域の詳しい紹介については後日別の記事で紹介しようと思います。  それでは図1を見てください。図1は火星における標高分布を表しており、青色が一番低く、緑→赤→白になるにしたがって高くなっていきます。これを見ると北半球は青から緑の標高の低い地域が多く、南半球は黄から赤の標高の高い地域が多いことがわかります。これは「火星の地殻の二分性」と言われています。なお地球にも地殻の二分性は見られますが、これは玄武岩

          ちょっと詳しい火星の話 #3火星の地理

          ちょっと詳しい火星の話 #2火星の年代史

          地球の年代史 比較のためにまずは地球の地質年代について見ていきましょう。地球の年代はまず大きく先カンブリア時代と顕生代に分けられます。先カンブリア時代は生物の化石などがほとんど残っていない時代で、地球の歴史のほとんどを占めます。一方、顕生代は生物の化石が多く残っている時代で、恐竜が生息していた中生代はこの中に含まれます。植物の誕生や魚類・爬虫類といった脊椎動物の出現もこの時代に起こりました。図1を見てもらえれば地球の歴史のなかで生物が大きく進化し、多様化していったのは極めて最

          ちょっと詳しい火星の話 #2火星の年代史

          ちょっと詳しい火星の話 #1火星の基本情報

          火星の基本情報公転と自転  火星は太陽系の第4惑星で、人類が将来移住する可能性が最も高い星であると言われています。その半径は3390kmとおよそ地球の半分ほどで、太陽から平均して1.5AU(AUは天文単位で太陽から地球までの距離。1AU=22800万km)ほど離れたところを公転しています。1年は669ソル(ソルは地球以外の天体での太陽日を表す。火星での1ソルは約24.6時間)と地球よりも長いです。自転軸は25度傾いているために季節変化がありますが、公転軌道が楕円形であるがた

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