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「篠田桃紅」

百歳を越えても
なお描きつづけた
百歳を越えても
文を書きつづけた
どちらも百七歳いう生涯まで

二十三歳で書に生きると決意した
幼少から慣れ親しんだ墨
いつしかそれは
書から美の線へと変化した
墨と向き合う己へと変化した

強い凛とした線
太い均一な黒
真っ直ぐで誤魔化しない線
薄く白紙ににじむ黒

墨だけでなく
朱も銀泥も色を添え
またその表現は版画にも及び
そして建築壁画の巨大なものから
墨でつづる日々の随筆まで

墨で己を現した
その思いを線で現した
ひとり静かに己と向き合い
真実に向かいそれを残す
現した瞬間それはもう色褪せてしまっても

しかしそれでいい
自然のもの故朽ちていく
それは描かれた瞬間から始まり
色褪せていく
それで完成なのだ

飽くなき探究と
終わりなき創作活動
篠田桃紅は教えてくれる
ひたすら我が道をゆく
人の生き方

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