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【読書感想文】『さみしい夜にはペンを持て』 古賀史健 ※Audible版

ご機嫌麗しゅう。火中の栗と申します。
今回は『さみしい夜にはペンを持て』という本をAudibleで聞いたので、読書感想文を書いてみたいと思います。
この本は本屋の実用書コーナーに平置きされているのを見かけて、タイトルが素敵だなと気になっていた。カバーのイラストも綺麗。買っちゃおうかなと手に取りつつ、最近始めたAudibleに入ってないかな、と検索してみると見事にヒットした。サブスク万歳。

イラストが美麗。素敵。

本の紹介

この本は『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』の著者である古賀史健の、初めて中学生に向けた本だそう。
実は読むまで(というより聞くまで)上記を一切知らなかったので、後になって驚いた。筆者はついこの間勇気シリーズの2冊についてnoteを書いたばかりで、自分のアンテナはこの人の方に向いているのだろうかと思った。
大ファンみたいで少し恥ずかしい。

この本は、ファンタジーな海の世界を舞台にした、「書くこと」にまつわる物語だ。中学生向けの物語を描くにあたって、抽象的なファンタジーの世界にすることで世代間ギャップを埋めるためだと作者のnoteに書いてあった。

しかし30代の筆者にとっても、ファンタジーの前置きがあるおかげか、物語がスッと入ってくる感覚があった。確かに中学生が抱える悩みがテーマであるけれど、大人も十分に読める本だと感じた。
Audble版は女性ナレーターの声が透き通っていて、可愛かった。それだけでも聞き通す大きなモチベーションになった。

あらすじ

「うみのなか中学校」に通うタコの”タコジロー”は、クラスのみんな(当然水棲生物たち)と馴染めず、いじめられていた。彼は何かあるとすぐに茹でだこのように顔が真っ赤になり、スミが漏れてしまうのだった。
ある日タコジローは学校に行きたくなくなり、バスを乗り過ごして大きな公園にたどり着く。そこで不思議なヤドカリのおじさんに出会う。
タコジローの悩みを聞いたヤドカリのおじさんは、言葉を形にするということについて語り、日記を書き続けるよう勧めるのだった。

読書感想文

本作はファンタジーな海の中の世界を舞台にした物語だ。
主人公タコジローは、やどかりのおじさんの海より広い脳内世界をさまよいながら、言葉を話すこと、考えを文章に伝えることを教わる。「コトバミマンの泡」(感情や思いなど、まだ言語化されていないもの)が、口を表す天窓から言葉として出る様や、考えとしてまとめられた言葉が本の形を模して膨大に積み重なる様子を見る。そして話すこと、書くことの意味を教わる。

一番良いなと思ったのは「考えることは答えを出すこと」と、やどかりのおじさんが語る章だった。そして「答えは見つけるんじゃない、出すんだよ」と続く。答えを出すのは頭で考えているだけでは不十分で、かけ算の問題を筆算で解くように、手を動かすのが良いとのことだった。
近しい内容が、先日Audibleでかいつまんで聞いた『アウトプット大全』(樺沢紫苑)でも語られていた。考える時はノートにペンで考えをまとめるようにと言っていた。手を動かして書くことで、記憶はより残りやすい運動記憶となり、定着しやすいのだと。
自分は『アウトプット大全』を聞いてから、前回の記事を書いた。

この時、小説の読了時点では「よくわかんないな」という感想であったけど、ノートに要素を並べ、疑問に思った点について考えるうちに、自分なりの答えのようなものが見つかった気がする。
これは「考えることは答えを出すこと」というやどかりのおじさんの言葉通りのことをしていたのではないかと思った。

『さみしい夜にはペンを持て』では、日記を書き続けることを勧める。自分の気持ちや思いを考えとして書き止め、客観視し、そして数年後に読み返して笑うために何年も書き続けるのだ。
自分も何度か日記を書いてみようと思ったことはあるけど、毎日続けられたことはないし、今年買ったほぼ日手帳の日記は6月で止まっている。
まずは10日続けること。なぜなら10日前のことは覚えていないので、新鮮な気持ちで読み返すことができるから。そうやどかりのおじさんは言っていた。

また日記でも始めてみようかねえ。そう思いながらも、聞き終えてから一晩経ってしまったのだけど・・・。


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