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パパ活女子とママ活男子のラブストーリーだけど、ティファニーとジバンシィのよさが光りまくる不朽の名作『ティファニーで朝食を 4K』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:18/48
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:4/4
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Breakfast at Tiffany's
  製作年:2024年(オリジナル版は1961年)
  製作国:アメリカ
   配給:マーメイドフィルム
 上映時間:115分
 ジャンル:ラブストーリー
元ネタなど:小説『Breakfast at Tiffany's』(1958)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
ホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘプバーン)は、NYの安アパートで名無しの猫と暮らしている。ハイソな生活を夢見る彼女の日課は、高級宝石店ティファニーのショーウィンドーを眺めながら朝食のクロワッサンを食べることだった。

ある日、アパートの隣室にポール(ジョージ・ペパード)という作家志望の青年が越してきた。ポールはホリーの自由気ままで天真爛漫な性格に興味を持ち、ホリーもまたポールに魅かれていく。

【感想】

午前十時の映画祭14」にて。1961年のアメリカ映画の4K版。過去の「午前十時の映画祭」でも鑑賞してこれで3回目になりますが、観るたびによさがわかってくる映画だと思いました。それが不朽の名作と言われる所以なのかもしれません。

<ストーリー自体は至ってオーソドックス>

この映画、設定が斬新だとか二転三転する展開だとかそういうことは一切ありません。正直、王道のラブストーリーってぐらいにはオーソドックスだと思います。アパートの上の階に引っ越してきたポールが、下の階に住む奔放な女性ホリーと恋仲になるっていうだけなので。

ただ、今風に言えば、このホリーは"化粧室に行くだけで50ドルもらえる"パパ活のようなことをしており、ポールはポールで金持ちマダムとママ活している売れない作家です。そこ自体に焦点は当たってはいませんが、身を金に換えている男女という点では、現代風にアレンジが利きそうな設定ですね。そんな昔からそういう"援助"的なことはあったっていうことに少し驚きますが。なお、ホリーには軍に所属中の最愛の兄がいて、彼と暮すためにお金を貯める必要があるということなので、決して私利私欲のために金持ちおじさんをたぶらかしているわけではありません(笑)

<映画の雰囲気がとてつもなく素晴らしい>

冒頭で「観るたびによさがわかってくる映画」と書きましたが、その理由について書きましょう。なかなか言語化しづらいところではあるんですが、簡単に言ってしまえば「雰囲気」だと言えます。雰囲気なんてあってないようなもので、まさに雰囲気イケメンってぐらい空虚なものだと僕も思うんですが、それでも昔の映画(1960年代~1980年代)ってそういうのがあるんですよね。僕は当時を生きていないので、あくまでも「今観ると」っていう前提にはなってしまうんですが、あのノスタルジー溢れる世界観やゆったりとした時の流れが非常に心地いいんですよ。

その雰囲気を形作る要素として、この映画で特に魅力に感じるのが音楽と衣装です。音楽は、あの有名な『Moon River』。今でもいろんなところで使われているのでこの映画を知らなくとも音楽自体を耳にしたことある方はいると思いますが、聴けば聴くほどに素晴らしい歌だと感じます。もともと1オクターブと1音しかないオードリー・ヘプバーンの声域のために書かれているということもあってか、シンプルで口ずさみやすいのも魅力のひとつだと思います。

衣装は、オードリー・ヘプバーンが着ている黒いドレスが印象的ですが、デザインしたのはあのユベール・ド・ジバンシィ。そう、世界的に有名なファッションブランド「ジバンシィ」の創設者です。オードリー・ヘプバーンをオードリー・ヘプバーン足らしめるほどに彼女の美しさをより一層引き立てているドレスが素敵です。『麗しのサブリナ』(1954)から2人の関係は始まったそうですが、ジバンシィは数々の映画でヘプバーンの衣装を手がけ、彼女が亡くなるまでよき友人であったとのこと。ジバンシィにとって、ヘプバーンはまさにミューズだったのです。最近の映画では著名なデザイナーが衣装をすべて手掛けるなんてあんまり聞かないので、いい時代だったんだな~って思いますね。

<ティファニーにとって最大の宣伝になっている>

あとはやっぱり、この映画で外せないのがティファニーの存在です。実は、劇中でティファニーで朝食は食べませんし、ティファニーの商品も買わないのですが、予算が限られているポールとホリーのために、お菓子の景品の指輪に刻印だけしてくれるあの粋な計らいに胸を打たれます。さすがに映画の中だからこその演出でしょうけど、あれだけでティファニーの株は爆上がりしますし、憧れのブランドとしての地位と品位を保てるんじゃないかなと思います。この映画があるだけで、ティファニーのイメージがとてつもなくよくなりますよね。ここまでひとつのブランドにフォーカスした映画もそうそうないのでは。

そういえば、かつて日本でも『せいせいするほど、愛してる』(2016)というティファニーが舞台のドラマがありましたが、、、あれはもうまったくティファニー感ゼロで苦笑いするしかありませんでしたね(笑)もしかして、第2の『ティファニーで朝食を』を目指したんでしょうか、、、?

<そんなわけで>

今から65年以上も前の映画ですが、とにかく雰囲気が最高なので、人生で一度は観てほしい作品です。音楽もいいですし、ドレスも素敵ですし、実はティファニーはそこまで関係ないんですが、ティファニーに対する強い憧れが生まれる素敵な映画です。


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