政治家の息子はどこまでいっても政治家なんだなと思った『おまえの罪を自白しろ』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:123/149
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
原題:-
製作年:2023年
製作国:日本
配給:松竹
上映時間:101分
ジャンル:サスペンス
元ネタなど:小説『おまえの罪を自白しろ』(2019)
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
政治家一族の宇田家の次男・宇田晄司(中島健人)は建築会社を設立するも倒産し、やむなく政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・宇田清治郎(堤真一)の秘書を務め、煮え切らない日々を送っていた。
そんなある日、一家の長女・麻由美(池田エライザ)の幼い娘が誘拐された。犯人からの要求は身代金ではなく、「明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という清治郎への脅迫。それは決して明かすことが許されない国家を揺るがす”罪”だった。
権力に固執し口を閉ざす清治郎。晄司はタイムリミットまでに罪に隠された真相を暴き、家族の命を救うことができるのか!?
【感想】
※以下、敬称略。
『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023)と同じ水田伸生監督だから期待したけど、これまた全然違う作風でしたね。レビューサイトの評価が軒並み高いものの、個人的にはそこまで。。。(笑)主演の方のファン効果かもしれません。ちなみに、ポスターだと堤真一が相当な極悪人のように映っていますが、実際はそれほどでもなかったような(笑)
<タイトルにもある例の言葉がちょっとね……(笑)>
内容としてはオーソドックスなサスペンス映画です。国会議員の孫娘が誘拐されたから、それを救い出して犯人を捕まえようって話でして。ただ、気になるところはちょいちょいありました。まず、犯人から「孫娘を返してほしくば、記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」ってのが、みんなの予定管理アプリ宛てに届くんですが、「どうやってそんなのアプリに送りつけるんだよ」とは思いました(笑)犯人を見る限り、そんなハッキングのようなことをできそうな感じではないんですけどね。
で、一番ツッコミを入れたかったのは、犯人からの「おまえの罪を自白しろ」っていう曖昧すぎる指示ですよ。いや、観ている方も当事者としても「橋のこと」だとはわかるんですが、政治家なんて何かしら敵を作るもんだから、罪なんて大なり小なりあるじゃないですか、きっと。それなのにふわっとした言い方で、案の定、最初は全然関係ない罪を発表して終わりだったんですよ。ちゃんとした組織だったら、曖昧な指示をした方が悪いってなりそうですけどね(笑)始めから「橋のことの真相を話せ」って書いた方が、相手に別の解釈をする余地を与えなくて済んだのではと思うのは僕だけでしょうか、、、?
<テンポのよさとキャラクターは推せる>
ただこの映画、尺がそこまで長くない上に、テンポよく進むのがいいところです。どんどん話が進んでいくから最後まで飽きずに観れるのは、普段映画を観ない人にもオススメしやすいかな。登場人物が多いのでちょっと混乱するかもしれませんが。
その中で、今までにないぐらい白熱した演技を見せる宇田晄司役の中島健人はよかったですね。「望んで国会議員の子供に生まれたわけではありません!」と、自身の出自を嫌うようなセリフを言い放つんですが、彼の立ち振る舞いは父親以上に政治家でしたから。「蛙の子は蛙」じゃないですけど、本人の意志や適正とは関係なく、幸か不幸か政治家としての生き方がもう染み付いているようで、ある意味運命とすら感じました。
あと、刑事役の山崎育三郎の部下役だった方、セリフがものすごく歌舞伎っぽいなと思って調べたら、本当に歌舞伎の方でした。4代目中村歌昇という方。あまりにも歌舞伎っぽい口調だったので、若干浮いているようにも感じましたけど、その分印象には残りました。
<そんなわけで>
そこまで秀逸な設定や世界観というわけではないですが、テンポがよくてサクッと観れるエンタメ性の高さが推せる映画でした。そして、最後まで観てわかる本当の意味での「おまえの罪」。果たしてそれは、宇田家にどんな影響を及ぼすのでしょうか。