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【ネタバレあり】戦争によって引き裂かれた夫婦の運命にとてつもない無力感を味わった『ひまわり』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:19/20
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:I girasoli(Sunflower)
  製作年:2023年(オリジナル版は1970年)
  製作国:イタリア
   配給:アンプラグド
 上映時間:107分
 ジャンル:ラブストーリー
元ネタなど:なし
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1319/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
ジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)はナポリで結婚式を挙げた。

だがその幸せも束の間、アントニオはソ連戦線に送られ、行方不明に。夫の死を信じられないジョバンナは、戦後、復員兵から情報を集め、モスクワを訪れる。

言葉も通じない異国の地を彷徨い、ようやく郊外の一軒家に案内されたジョバンナが目にしたのは、若妻風のロシア人女性マーシャ(リュドミラ・サべーリエワ)と幼い娘の姿だった。

【感想】

※以下、ネタバレあり。
今年最後の「午前十時の映画祭14」にて。1970年のイタリア映画のデジタルリマスター版。戦争によって引き裂かれた夫婦の運命を描いた映画で、このどうしようもない状況にやるせなさしかありませんでした。

<自分の身に同じことが起こったら耐えられない>

この映画の見どころは、ジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の悲しい運命にあります。結婚している身からすると、いざ自分に同じことが起こったらもう悔やむに悔やみきれない気持ちになるだろうなと感じるぐらい、本作のラストは胸が引き裂かれそうになりますね。気持ちがあるのに離れなければならないなんて。。。

<戦争によって引き裂かれる夫婦>

舞台は第二次世界大戦終結後のイタリア。ジョバンナは戦地へ行った夫アントニオの帰りを何年も待っていました。そこから2人の出会いへの回想シーンになるんですが、いきなり浜辺でイチャイチャしているもんだから、すでに付き合ってある程度時間が経っているのかと思いきや、相手の家族や仕事のことすら知らないのでまだ知り合ったばかりだと思われます。なのにこの密着度、、、すごい(笑)

で、2人は結婚するんですが、アントニオは除隊を目的として精神疾患があるフリをして精神病院に入ります。これで戦地へ行かなくて済むと思ったものの、結局ウソがバレて、懲罰のためにソ連戦線へと送られることに。これが2人の運命を引き裂くきっかけとなったわけです。

<ジョバンナが見た衝撃の光景>

終戦してもアントニオは帰って来ませんでしたが、絶えず駅に迎えに行っていたジョバンナはようやくアントニオと同じ部隊にいた男を見つけます。どうやらアントニオは極寒の雪原で倒れたそうなのです。ただでさえ戦争によって体力的・精神的にもまいっている上でのソ連の突き刺すような寒さ。中にはその場で倒れて帰らぬ人となってしまう兵士もいたぐらいでした。

ジョバンナは意を決して、アントニオが渡ったソ連へ。そこで彼の写真をもとに聞き込みを続けるんですが、ついに彼が住んでいるという一軒家へと案内されます。が、そこで目にしたのはロシア人女性マーシャ(リュドミラ・サべーリエワ)と幼い娘でした。どうやら、アントニオは極限状態に陥って記憶を失い、自分を介抱してくれたマーシャと結婚し、子供をもうけたそう。工場に働きに出ていたアントニオが帰って来るってんでマーシャといっしょに迎えに行ったジョバンナでしたが、アントニオを一目見るなり、汽車に乗ってその場を去ってしまいます。アントニオもジョバンナを見てハッとしていましたが、「記憶を失ったんじゃないんかーい」って思いました(笑)見たら思い出したってことなのかもしれませんけど。

<叶わぬ願い>

で、アントニオもジョバンナへの想いを断ち切れず、今度は彼からジョバンナの方へ出向きます。そこで「再びいっしょになろう」と言うんですが、ジョバンナにもすでに別の男性との間に子供ができていたんですよね。。。ジョバンナもきっとアントニオのことをまだ好きだったでしょう。もしお互いに子供がいなかったら駆け落ちでもしていたかもわかりません。でも、幼い子供たちを犠牲にして自分だけ幸せになることは、ジョバンナは考えられませんでした。結局、ジョバンナとアントニオはそれぞれの道を行くことに。ジョバンナはアントニオが結婚して子供までいる姿を見て、自分も新しい恋をしようと思ったから、アントニオがちゃんと家に帰っていればとも思うんですが、、、当の本人は記憶を亡くしていたからもうどうしようもなかったですよね。。。

<そんなわけで>

戦争によって引き裂かれた夫婦がとても不憫に感じる映画でした。本人たちはまだ気持ちがあるのに、それぞれの家庭のことを考えて泣く泣く別れるなんて。話自体は淡々と進むので、個人的にはそこまでハマりはしませんでしたが、この2人の結末はとても切なく、もどかしく、やるせないものでしたね。。。てか、アントニオは自分の家族を捨ててまでジョバンナといっしょになろうとしていたので、ジョバンナ側からすればロマンチックではありますが、マーシャ側からすればただのクズ男ですね(笑)

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