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『ゲゲゲの鬼太郎』ってこんなに泣けるのかというギャップ。鬼太郎の父・ゲゲ郎の妻と子への愛に再び涙を禁じ得なかった『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真正版』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:12/111
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:東映
 上映時間:105分
 ジャンル:アニメ、ホラー、ミステリー、アクション
元ネタなど:映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023)
公式サイト:https://www.kitaro-tanjo.com/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を思い出していた。あの男と出会い、そして二人が立ち向かった運命について…。

昭和31年。日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は、当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。

鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものは―。

【感想】

本作は2023年に公開されたオリジナル版に327カットのリテイクに加えて、音も再ダビングを敢行したバージョンとなります。。リテイクカットの中には絵コンテで当初想定されていた恐怖演出を復活させたものも含まれ、レーティングもPF12からR15+指定へと引き上げられました。新しい追加シーンもなく、上映時間も変わりませんが、制作陣が当初想定していたいわゆる"完全版"という位置づけですね。

<ギャップにすべて持っていかれる>

2023年に観た映画の中で最も面白いと感じた邦画アニメです。正直、オリジナル版と比べてどこがどう変わったのかっていうのはあまりはっきりわからなかったんですが、単純に「2回目を観る」という形で再び楽しむことができました。やっぱりこの映画の最大の特徴は『ゲゲゲの鬼太郎』に対して自分が持っているイメージとのギャップです。1話完結型で悪い妖怪を退治していくという僕が小さい頃に観ていたときの印象が強いのですが、それと比べると本作はだいぶ方向性が異なります。跡継ぎ問題で揺れる龍賀一族のお家騒動が勃発している中で、土砂崩れで外との連絡が取れなくり完全孤立した村を舞台に起こる不可解な殺人事件。閉鎖的な村社会と、代々続く呪われた一族の秘密は、もはや『ゲゲゲの鬼太郎』というよりも『犬神家の一族』感が強いんですが、ミステリー全開な展開はそれだけでスリリングで面白かったです。まあ、この作品はもともとテレビアニメ版第6期(2018)をベースにしていて、そちらはけっこうな鬱アニメという声も聞くため、そちらを観ていたらそこまでのギャップは感じなかったかもしれませんが。

<ゲゲ郎が最高すぎる。。。>

そして何より、中盤からその存在感を強めていく鬼太郎の父(通称、ゲゲ郎)がメチャクチャかっこいいんですよ。悪いやつらとゲゲ郎との激しいバトルは見どころのひとつですね。肉弾戦の派手さだけでなく、リモコン下駄を操り、組紐を駆使して呪術や妖術のようなものまで発動して、ここだけジャンプ漫画って感じです(笑)鬼太郎のトレードマークであるちゃんちゃんこがどのようにして作られたのかも本作で明かされます。そして、人間族に対して恨みを持ちながらも、相棒の水木とのバディ感や、妻を愛する一途な性格、そして我が子鬼太郎の存在を知り、彼のためにこの世界の未来を守ろうと誓う姿は涙なしには観れませんでした。

<そんなわけで>

これまでの『ゲゲゲの鬼太郎』らしくない作風が素晴らしいギャップを生んだ映画でした。これはもうただの妖怪アニメではなく、父の子に対する愛情にあふれたヒューマンドラマと言えそうです。だって、目玉だけになっても息子に寄り添っているんですから。子を持つ父親の方にはぜひ観ていただきたいです!

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