貫禄あるロバート・デ・ニーロも、触れるものすべてを傷つけるジョー・ペシも、メンヘラ全開のシャロン・ストーンもすべてがヤバくてラスベガスには行かない方が無難だと思った『カジノ』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:5/16
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Casino
製作年:1995年
製作国:アメリカ
配給:UIP
上映時間:178分
ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:ノンフィクション『Casino: Love and Honor in Las Vegas』(1995)
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1307/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
1973年、シカゴ・マフィアからラスベガスに派遣されたサム・“エース”・ロススティーン(ロバート・デ・ニーロ)は、カジノ「タンジール」のマネージャーとして辣腕ぶりを発揮し、莫大な利益を上げていた。
一目惚れした元娼婦のジンジャー(シャロン・ストーン)と結婚し、私生活も順風満帆に見えたが、サムのボディガードとしてやって来た幼なじみの相棒ニッキー(ジョー・ペシ)が働く悪行の数々が、カジノ経営にも悪影響を及ぼし始めていた。
【感想】
「午前十時の映画祭14」にて。1995年のアメリカ映画。とにかくラスベガスのカジノには行きたくないと思うほど見栄と欲望と暴力にまみれた世界が怖い映画でした。
<現実世界にある非日常感>
3時間という長尺の映画ながらも、現実世界とは思えぬ非日常のオンパレードで観ていてまったく飽きません。最初から最後まで目まぐるしく変わっていく状況に翻弄されっぱなしなので、序盤なんか説明セリフばかりでしたが、どんどん話にのめり込んじゃうんですよ。カジノやギャンブルに関わる人たちの歩んでいる道が波乱万丈すぎて面白いですね。現実世界の出来事なのに、非日常すぎるのが面白さの秘訣だと思います。マフィア映画とか刑事モノが面白いのと似ている感覚ですかね。
<3人のキャラクターが秀逸すぎてこれこそがこの映画の醍醐味>
でもやっぱり、この映画の面白さはキャラクターというか演じた役者の演技力の賜物ですよ。まずは主人公のエースを演じたロバート・デ・ニーロ。常に冷静沈着でどんな人物が相手でも物怖じせず淡々と話す姿に圧倒的な信頼感と安心感があります。メチャクチャ儲けているはずなのに、お金には厳しく、後に妻となるジンジャー(シャロン・ストーン)の散財っぷりに頭を悩ます真面目さは、カジノのマネージャーたるゆえんでしょう。
次に、そんなエースの相棒であるニッキーを演じたジョー・ペシ。こいつがとんでもなくヤバいんです。横柄で短気な上にキレたら最後、とことんやるタイプ。殴る蹴るは当たり前で、生意気な口を聞いたやつなんか半殺しにするほど凶悪な人物です。ジョー・ペシ自身は身長158cmと小柄ながらも、他のギャング映画でも手が早い役が多い印象で、実際にいたら絶対関わりたくないですね(笑)裏社会においてはある意味心強くもあるかもしれませんが、無鉄砲に暴力を振るうもんだからエースも手を焼いていました。高い声も特徴的で、異様な存在感を放っているから一度見たら忘れないでしょう。
そして、実はこの人が一番すごいなと思ったんですが、ジンジャーを演じたシャロン・ストーンです。その美貌からエースが一目惚れして、乗り気でない彼女にいろいろ貢いで何とか結婚までこぎつけたものの、彼女はヒモの男レスター(ジェームズ・ウッズ)を愛していました。だから、エースに贅沢な生活はさせてもらっていたんですが、彼のお金をちょいちょいレスターにまわしていたんです。それがバレてレスターは半殺しにされるんですが。途中からエースとの結婚生活に限界を感じてしょっちゅう口論になるんですけど、これがもう感情むき出しのメンヘラヒステリックな役どころで、わめき散らす演技なんか「よくここまでできるな」と圧倒されるほど。わがままだし口は悪いし金遣いも荒いし、エースを何とかするために彼の相棒のニッキーとも寝るし、なんかもうモラルという概念が一切ない振り切った感じが凄まじいです。
<そんなわけで>
ラスベガスのカジノを舞台に起こる様々なトラブルや人間模様が普段平和な生活をしている自分には新鮮に映る映画でした。いろいろ悪事がバレてしまうきっかけもまさかすぎて滑稽でしたし、これが実話ベースっていうんだからさらに驚きです。上記の3人もモデルとなる人物がちゃんといるみたいなので、ラスベガスには近づきたくないなって思います(笑)