『ラブ・アクチュアリー』と『THE 有頂天ホテル』を混ぜて韓国風に仕上げたら普通に美味しかった『ハッピーニューイヤー』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:190/191
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:Happy New Year
製作年:2021年
製作国:韓国
配給:ギャガ
上映時間:138分
ジャンル:ラブストーリー
元ネタなど:なし
【あらすじ】
高級ホテル〈エムロス〉は、クリスマスと新年を祝うホリデームードに満ち溢れていた。
15年間も男友達への告白をためらっているホテルのマネージャーのソジン(ハン・ジミン)。イケメンで優秀、だけどちょっぴりクセのあるCEOのヨンジン(イ・ドンウク)。公務員試験に落ち続け、恋人にもフラれた就活生のジェヨン(カン・ハヌル)。新米ハウスキーパーとして働く、夢破れたミュージカル女優のイヨン(ウォン・ジナ)。下積みを経てついにスターの座へ登り詰めた人気アーティストのイ・ガン(ソ・ガンジュン)。仕事で出会い、超スピード婚へと突き進むラジオプロデューサーのスンヒョ(キム・ヨングァン)とピアニストのヨンジュ(コ・ソンヒ)。毎週土曜日、ホテルのラウンジでお見合いをする整形外科医のジンホ(イ・ジニク)。初恋の相手と40年ぶりに再会したドアマンのサンギュ(チョン・ジニョン)。友人たちの告白チャレンジゲームに巻き込まれた高校生カップルのセジク(チョ・ジュニョン)とアヨン(ウォン・ジアン)。
数時間後に“ニューイヤー”が迫る中、次から次へと舞い込んでくるドタバタ&ドキドキの数々。果たして、彼らのロマンスは“ハッピー”な来年を迎えられるのか!?
【感想】
高給ホテルを舞台にした群像劇でした。14人の登場人物がそれぞれ繰り広げるロマンティックなドタバタ劇が楽しかったです。
<2つの某映画の要素を併せ持ったロマンス・コメディ>
設定からしてわかる人もいると思いますけど、この映画は過去に公開されたある2つの映画の要素が色濃く出ています。ひとつは、クリスマスを目前に複数の男女のロマンスを描いた『ラブ・アクチュアリー』(2003)。もうひとつは、大晦日のホテルを舞台に様々な人たちのすったもんだを描いた『THE 有頂天ホテル』(2006)。パクリと言うつもりは毛頭ありませんが、本当にこの2作品をうまく掛け合わせたような内容でしたね。だって、クリスマスから大晦日にかけて、高級ホテルを舞台にした複数の男女のロマンスなんですから。まんまと言えば、まんまです(笑)
<引き継いだのはいいところだけじゃない?!>
本作でも複数のエピソードが同時並行で進んでいくので、オムニバス形式の短編集を観ている感覚になるんですけど、みんな意外なところで繋がっているという設定はやっぱり面白いです。そう、面白いんですけど、、、先に挙げた2つの映画の要素を持っているというのは、いいところだけじゃなくて悪いところも引き継いでいると感じる部分もありました。
個人的に『ラブ・アクチュアリー』はすごく好きで、どの人物のエピソードもそれだけで1つの話にできるんじゃないかって思っているんですが、そのよさは今回の映画でもありました。特に、ホテルのマネージャーのソジンが、男友達に告白できずにいたら、別の人と結婚してしまったというエピソードと、ドアマンのサンギュが40年ぶりに再会した初恋の相手とのロマンスは感動的でした。まあ、サンギュの話は唐突というか、いつの間にやらロマンスを匂わせる流れになっていたのがちょっと気になりましたけど。
一方で、『THE 有頂天ホテル』のように、人物が多すぎるがゆえに「それ必要だったかな、、、?」と思うようなところもあったんですよ。告白チャレンジゲームのセジクとアヨンのエピソードは、ホテルを舞台にした話という中では、ちょっと関係ないんじゃないかなと感じました。現にこの2人だけホテルとは直接関係がありませんでしたから。まあ、あれだけ登場人物も多いと、エピソードにも濃淡出ちゃうのは仕方ないと思いますけどね。群像劇とはいえ、結局一番丁寧に描かれていたのはソジンだけだったんじゃないでしょうか。
<季節感あるBGMが推せる>
あと、この映画で推したいのは音楽です。クリスマスから大晦日までを扱っているので、日本でもこの時期によく耳にする季節音楽が聴けるのは、人を選ばず多くの人に受け入れられやすそうです。さらに、ソジンが歌うパッヘルベルの『カノン』をアレンジしたウェディングソングもよくて!これはぜひ聴いていただきたいです。
<韓国映画の強さ>
それにしても、韓国映画はハリウッドがやりそうな映画をきちんと作ってくるなっていつも思います。クリスマスって、コッテコテのベタなラブストーリーがあっても、そのムードで許される感じがありますけど、今年は洋画でそういうのがないんですよね(配信系にはあるのかもしれませんが)。で、今回の映画も作られたのは2021年。なんか、2022年は他にクリスマスらしい映画がないから、急いで買い付けたような気がしないでもないです(笑)なんにせよ、こうやって世界中の人が観る映画を作るハリウッドと同様の映画を作るっていうことは、それだけ観られる母数が多くなるということですから、国内に閉じずに世界に目を向けているのかなと思いました。
<そんなわけで>
今年をハッピーな気持ちで締めくくるにはちょうどいい映画だと思います。正直、エピソードが多い分、ひとつひとつは実は大したことしていないっていう印象もなくはないですよ。でも、全体的にいい流れで、最後はうまくまとめてハッピーな気持ちになれるので、気楽にラブコメ観たい人なんかにはオススメしたいです。