怪獣襲来のパニックから一変、ラストの哀愁漂う終わり方が印象的な『空の大怪獣ラドン』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:20/22
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆
【作品情報】
製作年:1956年
製作国:日本
配給:東宝
上映時間:82分
ジャンル:特撮、怪獣、SF、パニック
元ネタなど:なし
【あらすじ】
九州・阿蘇。坑道内で炭鉱夫たちが次々と水中に引き込まれて惨殺される連続殺人事件が発生。ある夜、遂に姿を現したその犯人は、体長2メートルを超える古代トンボの幼虫メガヌロンだった。
炭鉱技師の河村(佐原健二)は、自衛隊と共に坑道内に逃げ込んだ怪物を追うが、機関銃掃射の衝撃で落盤が発生、生き埋めになってしまう。後に河村は記憶喪失状態で発見されるが、その頃、世界各地で正体不明の超音速飛行物体が目撃されていたー。
【感想】
「午前十時の映画祭12」にて。1956年の日本映画。今から66年前、東宝初のカラーでの怪獣映画だそうですね。
<モノ作り大国ニッポン!>
とにかく、ミニチュア技術がすごかったです。。。製作費2億円のうち、1.2億円が特撮に充てられたらしいんですけど、今観てもあの精巧な作りに驚きます。ラドンの飛行によって生じる衝撃波によって崩れるビルや吹き飛ばされる車、そして阿蘇山の噴火など、さすがに現代からしたらチープだと感じる部分もなくはないですが、当時はかなり革新的だったのではないかと思います。博多の街並みの再現などは、図面の提供がNGだったので、スタッフが実際に歩いて寸法を測ったそう。昨年観た『モスラ』(1961)でも感じましたけど、こういう特撮に携わるスタッフたちのモノ作りに対する姿勢が本当に尊いと思います。
<ミックスジャンルな作りに引き込まれる!>
やはり特撮部分に目が行ってしまいますが、ストーリーも工夫されていてよかったと思います。冒頭の炭鉱での怪死事件でサスペンス映画っぽさを出しながらも、後半でラドンが登場してからはパニック映画になるという急展開が面白いですね。まあ、今になって観ると、未知の生物が現れたにしてはみんな冷静じゃないかとか、なぜラドンの卵が現代まで無事に残っているんだとか、そういうツッコミどころはあるにはあるんですけど(笑)とはいえ、もし僕がこれを公開当時にリアルタイムで観ていたら、すごく興奮したんじゃないかなと思います。コンテンツも少なく、CGも何もない時代に、ここまでの世界観を作り上げているんですから。
<あの有名女優の若かりし頃!>
あと、個人的に感慨深いなと感じたのが、当時20歳だった白川由美さんが出演されていたことですね。僕の世代だと、フジテレビドラマの『GTO』(1998)で高校の校長兼理事長の役が一番思い出深いですね。この方を知ったのがその『GTO』で、そのときはすでに還暦を過ぎていたので、こんな若い頃があったのか(当たり前ですけど)と思って(笑)
<そんなわけで>
精巧なミニチュア技術を堪能できる怪獣映画でした。自分の肌感ですが、こういう特撮映画って一定の世代にすごく人気があると思うんですよ。今日も年配の方が多かったですし。自分が若い頃にハマった作品って、いくつになって観ても面白いですよねー。
なお、このラドン、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)にも登場しているんですが、こちらは最新のVFX技術によって、メチャクチャかっこよく登場しているので、そちらもぜひ観てほしいです!