【俳句】蛇笏忌 金木犀 実南天 赤とんぼ 新走
蛇笏忌や父の蔵書のパイプの葉
妻の荷のひとつも重し金木犀
低空を旅客機行けり実南天
右翼手の影伸びたるや赤とんぼ
未来図はみな顔真直ぐ新走
父は生前、パイプを愛用していた。
記憶を元に計算してみると、恐らく50歳を超えたあたりからだ。
それまでは、紙巻煙草のエコーを吸っていた。
当時、セブンスターが180円の時代に、たった90円の煙草だ。
それが、いつのまにかパイプをふかすようになった。
生活にも少し余裕ができてきたのだろうか。
母は、部屋が臭くなるので嫌がっていたけれども。
僕も真似をしてみるが、なかなか上手くいかない。
火がすぐに消えてしまう。
「飲み込まずに、ふかすんや」
とよく言っていた。
先日、父の蔵書を漁っていると、ページの合間に小さな褐色の粉が挟まっていた。
ゴミ箱に払い落としながら、気がついた。
パイプの葉だ。
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