映画鑑賞はまずベストポジションから
みなさんは、映画館で映画を見るときに、どこに座られるだろうか。
一般的には、そのホールの対角線の交わるあたりが、いちばん見やすく、音響的にもいいと言われている。
僕も最初はそのあたりに座っていた。
できるだけ真正面で、高さもほどほどのあたりに。
しかし、歳をとってくると、トイレの心配が出てくる。
2時間、3時間、我慢できるか。
もし、我慢できなくなった時に、真ん中に座っていると、他の人の前を「ごめんやっしゃ、ごめんやっしゃ」と通らなくなてはならない。
また逆に他の人が「ごめんやっしゃ」と来た時には、わざわざ僕の長い足を折り畳まなくてはならない。
そんなこともあって、今では、基本的には通路の突き当たりの最後尾席。
ここが、ベストポジションだ。
ここは、目の前は通路なので見通しがよく、僕の長い足もゆっくり伸ばせる。
前に座高の高い人が座ったり、頭頂部が異様に盛り上がった人が座ったりして視界を遮られることもない。
もちろん、途中で立つ時にも誰の邪魔にもならない。
座席を二分する通路のない、真四角の配置の時には、仕方なく最後尾の角席に座る。
ただ、どんな席でも気をつけなければならないのは、トナラーと言われている人たちの存在だ。
これまでにも、何度かトナラーの被害に遭ったことがある。
満席の時には、仕方がない。
しかし、最近はおじさんの見るような映画で満席になるような映画はなかなかない。
ましてや、僕が普段見に行くのは、ほとんどが郊外のシネコンだ。
それなのに、トナラーは堂々と隣にやってくる。
これが一般的にはいいとされている、真ん中あたりの席ならわからないでもない。
僕も、その席が良かったんですよ。映像的にも、音響的にも最高ですからね。
しかし、僕が座っているのは、書いたように一般的にはそんなに良いとも思えない席だ。
もちろん、僕がその席のチケットを買った時には、隣は空いていた。
だから、僕がいるとわかってトナラーはやって来るのだ。
ごめんよ、嫌なら他の席に座ってくれる? とでも言わんばかりに。
トナラーの心理として、ひとりぼっちで見に来ていると思われるのが恥ずかしいので、誰かと友達のふりをしている、というのを聞いたことがある。
いい迷惑だ。
もちろん、そこの座席が販売されている以上、迷惑だとは言えないけれども。
だけどね、と食い下がりたい。
このようにして、孤独を愛する僕は、まさかの時にも出入りしやすく、前後左右に人の気配を感じない席を探し求め、トナラーに怯えながら映画を見ている。
みなさんはどのような席で鑑賞されているだろうか。
ちなみに、トナラーということなら、僕は駐車場ではトナラーに分類されるのかもしれない。
ガラガラの時には、そんなことはしないが、ある程度埋まっている時には、できるだけ高級車の隣に駐車するようにしている。
高級車に乗るような人なら、車を大事にしているだろうから、出入りの際に人の車にもぶつけることはないだろうと思っているからだ。
※トナラー…映画館や、電車、駐車場などで、他の場所が空いているにもかかわらず、わざわざすぐ隣に来る人。
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