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4位じゃダメですか?

働かないおじさんは言う。
「何を言ってやがる。働き方改革だなんだと言って、残業はなし、〇〇休暇は山ほど取得して、お前たちの方がよっぽど働かない若者じゃないか。
それになんだ、最近は、もうあまり出世したくないとか、現状維持で結構ですとか、そんな輩がいるそうじゃないか。
俺たちの頃はよ、自分のため家族のために少しでも出世して給料を上げようと必死に働いたものよ。月曜日から土曜日まで、金曜じゃないよ、土曜日までだよ。いやいや、日曜日だって呼び出されりゃ、飛び出して行ったさ。
残業なんて、何を言ってやがる、仕事は17時からよ。そのかわり、こう言っちゃなんだが、俺たちの頃は景気も良かったぞ、給料もボーナスも年々間違いなく上がっていったぞ」

これくらいにしておこう。
いや、僕が言ってるんじゃありませんよ。
あくまでも働かないおじさんが言ってるので、何かあればそちらの方に。

先日、日本のGDPがドイツに抜かれて4位になったと報道があった。
要因はいろいろあるだろうが、いったい何カ国中の4位なんだ。
4位じゃだめなのか。

そもそも働き方改革とはそう言うことではなかったのだろうか。
働かないおじさんの若かりし頃のようにがむしゃらな働き方をブラックとして否定し、仕事よりもプライペートな時間を優先させる。
それはつまり、何がなんでも1位に輝いてやるという企業戦士からの解放でもあったはずだ。
少しでも高い地位、少しでも多い収入が幸福であるという考えからの脱却。
地位や収入は結果論であり、それよりも自分の時間、家族の時間を優先させる、そんな暮らしが幸福だという考え。
それが、働き方改革だと思うのだ。
であれば、多少GDPの順位が下がったからって、どうってことはない。

この失われた30年、働かないおじさんの頃のように働けば、日本は果たして成長できていたのかどうか。
それはわからないが、少なくとも働かなければ経済の成長はないだろう。
働かずに収入をどんどん増やすなど、
「お前はビル・ゲイツか」と、働かないおじさんは突っ込むに違いない。
あるいは、「ウォーレン・バフェットか」と。
僕じゃないですよ、何度も言いますが。

政府は国民に頑張って働きましょうとは言わずに投資を勧めている。
全員が投資家で食っていけるわけもない。
それこそ、「お前はバフェットか」
最近はFIREだとか早期リタイヤだとか言っているが、全員が早期リタイヤすれば、一体誰が働くのだろうか。
大量の移民でも引っ張ってくるのだろうか。

政府は、国民は何歳まででも働きたがっていると勝手に決めつけて、高齢者を働かせようとするが、不思議なことに若者にもっと働きなさいとはなかなか言わない。
しかし、働き方改革がそうであるならば、国民がその道を選んだのならば、多少の経済の停滞も当然のことだろう。

「いやいや」と言われるかもしれない。
働き方改革とは、無駄な時間を省き、効率の良い仕事をして今までよりも成果を上げながら、自分の時間も大切にするのですと。
でも、それはあまりにも理想論だ。
現場を知らないコンサルタントの意見だ。
「俺たちだって、サボっていたわけじゃない、みんな必死で働いていたんだ」
と、これは働かないおじさん。

僕は、昔のように働けと言っているわけではない。
むしろ、その反対だ。
これから人口がどんどん減少していく中で、かつてのような経済の繁栄は望むべくもないだろう。
まさか、政府の少子化対策が功を奏するなどとは考えておられないと思うが。
であれば、目指すべきは、今の働き方改革の果てにある幸せだと思うのだ。

それに、4位になったからって、みんな欲しいものを買ってるじゃないですか。
物価高だとか、なんだかんだと言いながら、スーパーでは物がどんどん売れているし、通販の配達も忙しそうだし、グルメ番組で紹介されたお店にはすぐに行列ができるし、国内外の旅行にも結構行っておられるようだし、新築の住宅やマンションはどんどん建てられてすぐに完売しているし、ダメですか、4位じゃ。

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