『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読む
本日の読書感想文は、アービンジャー・インスティテュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(大和書房2006)です。自分の心の闇と向き合った印として、ノートを書き残します。
人間関係の真理を突いた書
本書は、かなり前にVoicyの人気番組『荒木博行のbook cafe』で解説されているのを聴いて以来興味があり、最近手に入れて読みました。
全体で268頁ありますが、物語仕立てで読み進め易く作られています。なぜ人間関係がぎくしゃくするのか、相手に思ったような影響を与えられないのか、「箱」というキーワードを用いてわかり易く解説されます。誰もが思い当たるフシがあると思います。ビジネスマンの研修テキストに、よく使われているというのがわかります。
私の会社員時代の晩年は、まさに「箱」の中に入って、出られない状態に陥っていたと感じ、耳が痛かったです。直視したくない過去です。
本書に書かれている内容を理解するのはそれほど難しくないし、日常生活でも実用価値の高い考え方で、受け容れ易いでしょう。ただ、実践し続けるのは非常に難しいと感じます。
読書ノート
自分の過去の反省
「箱」という比喩(メタファー)が、腑に落ちました。
私は、会社員を卒業することを決意して準備を進めている頃、自分の意志で「箱」の中に入っていました。周囲に高くて強固な壁と柵を築き、扉もピタリと閉ざして、自分からは絶対に外へ出ない、必要な時以外にはアプローチをしないと決意して過ごしていたように思います。
当時は本書で説明されている「箱」の理論を知りませんでした。ただ、もし本書を知り、大いに感化されて、数日は実践できていたとしても、最終的に自分は「箱」から出ることはできなかった気がします。それくらい、私の仕事環境への不満と不信の根は深く、心がどうしようもないくらい腐っていたように思うのです。
自分の態度や行動が、新たな不幸や不遇を招き入れていることはわかっていました。人間的に未熟なのもわかっていました。でもねえ…… どうしても許せなかったのです。寛容にはなれなかったのです。現実を受け容れられなかったのです。辛くて、惨めで、孤独で叫びたいくらいなのに、誰も私の苦悩に気づいて手を差し伸べてくれないことを恨んで、完全に心を閉ざしていました。
これから先も私は、些細なことや自分勝手な理由で「箱」に閉じ籠る愚を犯すかもしれません。本書はその防ぎ方を丁寧に解説してくれます。きっかけとなる【自分への裏切り】に自覚的となり、箱の「外に出る」試行をやっていこうと思います。