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脂肪って消えるの?

お腹に抱えるナチュラルクッションが愛おしくも感じちゃってませんか?答えは一言で済むのですが、仕組を知って頂きたいので、脂質について解説しながら脂肪は消えるのか?答えを探していきます!!

1.脂質の基本知識

「脂質」とは、三大栄養素の1つ。ネットで検索をすると、「エネルギー源の三大栄養素の1つ」と紹介されます。でも実は、食事から摂取した脂質が直接エネルギー源になることはないのです。まず前提として、エネルギー源になるのは、グルコースのみ!なので、炭水化物に含まれるグルコースが優先的に使われます。脂質は何をするのか?というと、種類により異なる働きがあります。(*脂質の種類で解説) 余分な脂質は、消化・吸収の過程で一度は貯蓄され、必要時にグルコースを産生して供給する、ということになります。つまり、食事で摂取したグルコースが十分にあれば、脂質からエネルギー源を作る必要、その順番は一向にやってこないわけです。

では、すぐエネルギーとして使われないのに脂質は何のために摂取するのでしょうか?種類別+どんな時に脂質を使うのかみていきましょう👀

2.種類別の役割

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図1:脂質の分類

今から説明をするのは、食事から摂取する脂質の話しです。←これ大事✨ 
脂質を大きく分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸になります(参照:図1)。飽和脂肪酸は、動物性の脂質に多く含まれるもの。不飽和脂肪酸は、更に細かく分かれ、一価不飽和脂肪酸:オリーブオイルなどプラントベースの脂質と多価不飽和脂肪酸:オメガ-3・6となります。

それぞれの役割ですが、ここからちょっと複雑になります。。。

A 飽和脂肪酸

動物性の脂質を含む食品は、卵・乳製品・肉・バター・その加工品類になるわけですが、脂質だけを目的に摂取することはあまりないですよね。どちらかというと、タンパク質源のために摂取して、脂質も付いてきちゃうようなものだと思います。でも、実は飽和脂肪酸も重要な働きがあります。それは、「細胞の組織を作るのに使われている」という事です。特に、脳の細胞の基礎になり、認知症のリスクを減らすとも言われています

更に、卵はコレステロールが多く含まれる食品として知られているかと思います。※化学的に、コレステロールは脂質ではないのですが、動物性の脂質を摂取する=コレステロールも含んでいる、ということになります。ついでに、コレステロールの話し。

□コレステロールの役割について

☑︎性ホルモンの原料:テストステロンなど 

☑︎副腎皮質ホルモン:コルチゾール•••肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織の脂肪分解の促進、抗炎症・免疫抑制

☑︎ビタミンDの原料:前駆体が紫外線照射を受けて合成される

☑︎細胞膜:膜の流動性を調整

このように、コレステロールは身体の機能に必須な成分です。飽和脂肪酸を含む食品の摂取でコレステロールも容易く摂取できます。

しかーし!!!実は、コレステロールの80%は、細胞内で作られるのです。という事で、食事からコレステロールを摂取する必要性はほぼないわけです。また、コレステロールは皆さんがご存知のように、悪玉・善玉と言われるLDL•HDLコレステロールが存在します。飽和脂肪酸の摂取では、LDLを多く含んでいるので、悪玉コレステロールが増える原因にもなります。また、このコレステロールは、血液に運ばれ壁に付着し、蓄積されます。=後に血管の通り道が塞がり、血流が途絶えるだけでなく、心筋梗塞・動脈硬化・脳梗塞などに繋がります。(参照:図2)

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図2:血液中のコレステロール

さて、話しは脂質に戻ります。不飽和脂肪酸について見ていきましょう👀

B 不飽和脂肪酸①

多価不飽和脂肪酸であるオメガー3・オメガ6について紐を解いていきます。これらの成分が身体に良いという認知度は高いですよね。

□オメガ3・オメガ6の働き

☑︎血圧の調整を助ける 

☑︎脳細胞の柔軟性を高める

☑︎心臓病のリスクを下げる

☑︎脂肪を減らす 

脂質を摂取して脂肪が減る!?という相反するような効果があるわけです。不飽和脂肪酸は、化学式の構造から飽和脂肪酸より柔軟性に優れており、また、飽和脂肪酸の摂取で得られるデメリットに抵抗してくれます。ただし、これらは「体内で作ることができない」ということ。なので、食事から摂取する必要があります。例えば、魚、種由来の油、豆類に含まれています。

B 不飽和脂肪酸②

不飽和脂肪酸の中には一価不飽和脂肪酸というのがあります。一般に知られているのがオリーブオイルです。また、最近ではアボカドオイルも手に入りやすくなっていますよね。

□一価不飽和脂肪酸の働き

この脂肪酸そのものが身体の機能や構造に大きな役割はありませんが、不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸と異なり、LDLコレステロールのレベルを下げる手助けや、それに伴う心臓病のリスク軽減を担っています。悪玉と善玉コレステロールのバランスを整えることは、重要ですよね。

ここまでの説明で、脂質は種類によりそれぞれ役割が異なることを知って頂けたのではないでしょうか? 続いては、同じ脂質でも油として使う場合をみていきましょう。

3.油の話し

ここまで、食事から摂取する脂質について話してきました。では、料理をする際に使用する目で見える油は、何を選んだら良いのでしょうか?

油の中には香りが残るものがあるので、和風・洋風・中華など料理の種類で選ぶ方もいれば、健康を意識して選ぶ方もいるかと思います。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは解説してきましたが、料理でも同じなのでしょうか?

そこには、トランス脂肪酸というカラクリがあったのです。。。

トランス脂肪酸という言葉を聞いた事がありますか?先ほどの図1を確認すると、トランス脂肪酸は図に含まれていませんよね。なぜかというと、これは商品の製造や揚げ物などの過程で化学反応が起き、H⁺(水素)の結合位置がトランス型に変わる事で生れる脂肪酸なのです。(参照:図3)マーガリンは、多価不飽和脂肪酸の構造も持ちますが、その製造過程で一部はトランス脂肪酸に変化しています。残念なことに、植物油では、高温調理になる揚げ物でこの反応がおき、トランス脂肪酸に変ってしまうのです。そのため、オリーブオイルやその他の植物油を選んでも、揚げ物になった時点で種類別で示した良い効果は全くありません。それどころか、トランス脂肪酸の使い道は一生ないようなものなので、摂取するメリットはゼロです。

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図3:トランス脂肪酸の種類と含んでいる主な食品

4.脂肪の正体

カロリーオーバー・暴飲暴食・お菓子類など甘い物やスナックなど、摂取量が多いと太る=脂肪が付くイメージがあると思いますが、実際に「身体に付く脂肪」ってなんだと思いますか?

答えは、“トリグリセリド”というグリセリン(グリセロールともいう)+3つの脂肪酸(1つの固体とする)から成り立っているものになります。(参照:図4)

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図4:トリグリセリドの構造

図4の右側3つの脂肪酸というのが、どの種類の脂肪酸を摂取しているか、それによって変わってきます。つまり、Aさん:揚げ物ばかりの食生活⇒身体にとって使い道のないトランス脂肪酸が結合。Bさん:甘い物の摂取が多い⇒乳製品や卵の使用が多く飽和脂肪酸が結合。Cさん:魚や豆類を多く摂取⇒不飽和脂肪酸が結合。

3つ全てが同じ脂肪酸というわけではなく、本来は、異なる3つの脂肪酸が1つのグリセリンに結合するかたちですが、Aさん・Bさんのような食生活ですと不飽和脂肪酸が結合している固体が少ないことになります。

同じ脂肪でも、例にした3人のように、違う脂肪を蓄えていることになります。では、貯蓄されている脂肪の固体や性質がどう影響するのでしょうか?

5.脂肪の行く先

上記で説明した貯蓄された脂肪=トリグリセリド。一般的には、中性脂肪で知られているものになります。

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図5:脂肪細胞

図5で示すように、脂肪細胞は2種類あり、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞になります。今回、褐色脂肪細胞は取り上げませんが、この2つの脂肪細胞の特徴は正反対と言えます。2枚目は、白色脂肪細胞を更に拡大したものになり、トリグリセリドの固体が複数集まって1つの脂肪細胞、つまり、白色脂肪細胞のかたちを形成しています。その脂肪細胞が身体のいろんな部位に点在しているわけです。余分な栄養素はこのように貯蓄されるわけですが、冒頭でお伝えした「脂質は直接エネルギーにならない」というのは、エネルギー源はグルコースのみで、貯蓄の脂肪からグルコースを産生する際に使われるのは、トリグリセリドの固体のグリセリン部位のみです。なので、脂肪酸は基本的に「新しいグリセリンを探して再結合する」を繰り返している状態です。特に、結合の脂肪酸にトランス脂肪酸を含んでいれば、使い道は一生きません。しかし、酸素を必要とする有酸素運動と無酸素の運動では、エネルギーの使い方・産生ルートが異なり、後者は脂肪燃焼を促進します。その場合、貯蓄の脂肪酸がどうなるのか、別の記事で取り上げてみたいと思います。

6.まとめ・果たして脂肪は消えるか?

本日のテーマである「脂肪は消えるのか?」の答えは、脂肪は消えない!です。細かく言うと、白色脂肪細胞は消えないが、固体数は食生活や運動習慣で減らすことができ、白色脂肪細胞のサイズは変えられる、ということになります。

「固体数≠脂肪細胞の数」なのです。実は、脂肪細胞の数を減らすことはできず、個体数が減ることで脂肪細胞が収縮、その逆で、個体数が増えると脂肪細胞が大きく膨らむという仕組みです。

「太りやすい体質・両親や親族に似た部位に肉が付きやすい」など、聞かれますよね。確かに、付きやすい部位については遺伝性があります。しかし、脂肪細胞の数は、妊娠後期3か月・生後1か月・思春期のタイミングで増えやすく、また今回とは別件ですが、3歳までの食生活で腸内細菌の数やバランスが決まります。気づいたころには、すでに脂肪細胞の数がほぼ決まっており、また腸内細菌のバランスも含め、太りやすい体質になっているわけです。しかし、実際に太るかどうかは、食事・運動習慣次第であり、また、どの脂肪酸が貯蓄されるかは、今回の記事で説明した通り遺伝や体質ではなく、食生活の影響によるものです。

これから妊娠・出産されるかたは、子供が成長すればいいというだけでなく、妊娠中の食事やその後の3歳までの食生活は、子供が大きくなった際に太りやすいかどうか少なからず影響を与えます。また、最近は幼少期からファストフードや甘い物、それ以外にも揚げ物を食べる機会が多いですよね。成長期だから、病気にもなっていないから、と子供の食育に目を向けず気にしていない方も多いですが、「食生活は自分の鏡」であり、10年後を作るともいわれるほど、ゆっくりと影響を与えることも忘れてはいけません。また、脂肪の大小に関わらず、貯蓄されている脂肪酸により将来の病気のリスクのみならず、脳細胞など細胞膜の保護・柔軟性・神経伝達など重要な役割に影響を与えるほど、食生活は大切な日々の行いです。


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