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【読書】30年後の今も、当てはまる言葉~『創竜伝4ー四兄弟脱出行ー』(田中芳樹)~

久しぶりに、『創竜伝』の続きを読むことができました。このペースでは懸案の14巻・15巻を読むのは、いつになることやら(^-^;

↑kindle版


ともあれ副題通り、ついに四兄弟は日本を脱出し、アメリカに向かいます。その過程で、米ソの大陸間弾道弾のほとんどを破壊してしまうのだから、相変わらずスケールははんぱないです。というか、それが破壊したものの、ほんの一部でしかないところが恐ろしいです。


↑新書版。私が読んだのは、このバージョンです。


心に残ったところ。

原生林を切り開いて自動車道路をつくり、珊瑚礁をたたきつぶして空港を建設するような計画を強引に進めておいて、「環境を守るために原子力を使おう」というのは、すこしおかしいのではないだろうか。

これが書かれた30年後の今でも、この一節が完全に当てはまるところがなさけないです。辺野古の埋め立ては強引に進み、3.11を経ても「原子力発電は地球温暖化を防ぐ」なんて、平気で言ってしまうのだから。


なお、この巻で登場した蚩尤(しゆう)という怪物は、「銅の頭、鉄の額、牛の蹄を持ち、鉄石を好んで喰う」、そして「不死身で戦いを好み、粗暴きわまりなかった」と書かれています。これを読んでふと思ったのは、これは中国古代に西から伝わってきた鉄の製造方法と、それをもたらした存在の象徴かな、ということでした。


一九八八年末に長崎市長が昭和天皇の戦争責任について言及し、悪質な脅迫を受けたときに、市長を警護した警官が言った一言、「私たちは市長を守っているのではない、民主主義を守っているのだ」は、まことに賞賛すべき発言であった。

この警官の言葉は、心に刻むべきものだと思います。


地球は(中略)人間だけの世界ではないが、この世界を管理し、調和された状態にたもつために、人間が責任を負うているのだ。破壊と汚染は、人間によってこそ防がれ、あらためられるべきなのだ。

竜種の長の始の言葉ですが、本当に心しなければいけないと思います。


見出し画像は、浜松の方広寺で撮った竜の彫刻です。




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