授業準備のために読んだ本です。
デンマークを除き、北欧各国では選挙に際して各所に選挙スタンド(著者が呼ぶところの「選挙小屋」)が置かれます。
選挙カーや街頭演説がないのは、良いですね。コーヒーやおやつ、ニンジン(フィンランド、ノルウェー)にとどまらず、文房具などの選挙グッズも無料で配布できます。「『コーヒーさえも用意できない政党は、選挙で勝つ気がない』といえるほど」だそうです。魔法瓶や日焼け止めなど、結構コストのかかりそうな選挙グッズもあり、それはどうかと思いますが、選挙がお祭り感覚で楽しそうです。
なおコーヒーに添えるミルクの説明として、「ラクトースフリーの牛乳」というのが出てきたのですが、お腹がゴロゴロする原因であるラクトース(乳糖)をカットした牛乳のことだそうです。日本でもあるようですね。
生徒(高校生)が「候補者がチラシを配っていて、内容に興味があったから受け取ろうと思ったのに、私にはくれなかった」と怒っていたことがあります。未来の有権者にそんな態度をとる日本の候補者とは、大違いです。
なおデンマークの場合は選挙スタンドはなく、代わりに選挙ポスターを街じゅうに貼りまくるそうです。緑のある公園はいけないのに、「道路に単独で生えている木には貼っていい」(p.24)とか。選挙ポスターだらけときくと、醜悪な街並みを想像しますが、写真で見た限りでは、街並みに溶け込んでいる感じで、あまり気になりませんでした。
子どもも外国人も国を構成している一員なのだから、それぞれの方法で国のあり方を考える。それで良い気がします。
最近読んだばかりの「ビッグイシュー日本版」にも、誰にもわかりやすいデザインの問題が出てきました。
ゴミ箱にある張り出し部分についての説明です。パントの仕組みも、張り出しを設ける心遣いも良いです。同じページに載っていた「無人の交換ボックス」も良いなぁ。別にお金はいらないから、誰かに使ってほしいものってあるので。
文字どおり民主主義について考えているのが、以下の本です。
驚いたのは、そんな若者の政治への関心が高い北欧において、フィンランドの2014年のEU議会選において、18~24歳の投票率が10%(p.60)という数字が挙げられていたこと。国政選挙や自治体選挙では投票率が高くても、EUだと自分の1票の重さを感じられないなどの理由から、投票率が下がってしまうようです。
北欧で選挙前になると全国各地の高校で行われる、「学校選挙」「模擬投票」の制度も良いですね。選挙権を持つ高校生も持たない高校生も参加可能だそうです。
私は以前から、15歳の時に1度「お試し投票」ができれば良いのにと思っています。中学3年生の公民の授業で選挙について学んだ後なら関心もあるので、投票に行く可能性も高いし、1度投票を体験すれば、いざ選挙権を本当に得た後も、行くのではないかと思うので。
ノルウェーの大学生の言葉です。本当にそうですよね。
ノルウェーでは成年年齢である18歳から投票が可能な上、「選挙の年に18歳であればいいので、事実上は17歳でも投票で来る」(p.78)ますが、さらに選挙権を16歳に引き下げようという議論があるそうです。
また「セーブ・ザ・チルドレン」ノルウェー支部は10~15歳の小学生と中学生をターゲットに「子ども選挙」を行っています。
これ、面白いです。
大事なことですね。私もつい、パーソナルにとらえがちなので。
気を付けます。
2011年7月22日にオスロとウトヤ島で起きたテロの背景はよく理解していませんでした。
以下の指摘には考えさせられました。
ネット上でも現実の場でも、私は「『嫌だなぁ』とその場を離れる」タイプですが、良い態度ではないのですね。でも特にネット上では、議論に参戦する気にはなれませんけれど。
オスロ市長(当時)であるボルゲン氏(左派社会党)の言葉です。日本の政治家にも聞かせたい言葉ですね。なおボルゲン氏は女性です。写真で見ると、きさくなおばちゃん、という感じ。
これ、面白いです。私は教員なので夏休みはありますが、「3週間ほど、一切の仕事をせずに、脳と体を休ませる」というわけにもいきません。政治家も含め、しっかり休みをとる北欧がうらやましいです。
写真集のような感覚でページをめくりつつ、しっかりお勉強ができてしまう本でした。
見出し画像は運河から見たデンマークの街並みです。