【読書】21世紀の視点で物語を読み直すと~『創竜伝2<摩天楼の四兄弟>』(田中芳樹)~
2巻に突入しました。
1巻の比じゃないくらい、四兄弟がいろいろなものを壊しまくっています。作中では名称を変えていますが、東京ディズニーランド、レインボーブリッジ、東京ドーム、都庁をはじめとする新宿副都心一帯……。
高校生だった当時は気にしていませんでしたが、あまりに物的被害も人的被害も大きすぎですよね。彼らは身を守っているだけとはいえ、過剰防衛という言葉が頭をよぎります。文部省が文部科学省になってしまった21世紀的には、ちょっときついかなと。
とはいえこの物語は20世紀の遺物という訳ではなく、残念ながらというべきですが、以下の一節は当時も21世紀の今も心に刻むべきです。
周庭(アグネス・チョウ)をはじめとする香港の活動家たちの行為が、なぜ罪とされるのか。そしてそれを他人事と思っているうちに、気づけば自分も罪人とされてしまうのではないか。そのことを真剣に考えないと、日本も世界もとんでもないことになってしまうかもしれません。
感慨深かったのは、以下の一節。
いまだ追いついたとは言えないのでしょうが、日本人大リーガーが何人も登場するとは、この2巻を最初に読んだ1980年代末には想像もしませんでした。
見出し画像は、作中では「フェアリーランド」と呼ばれている東京ディズニーランドのパレード。肖像権保護のため(?)、あえてキャラクターの皆さんの顔が葉っぱで隠れている写真を使用しました。
作中で「一匹もほんものの動物はいない。(中略)清潔で無機的で無臭の世界」と評されていますが、東京ディズニーランドも東京ディズニーシーも、いつの間にか居ついた動物たちによって、今は一種の生態系が構成されていますよね。
とはいえ「フェアリーランドをつくった人は、動物映画をずいぶん制作したが、もしかしたら動物がほんとうはきらいだったのかもしれないな」という始の指摘には、当時も考えさせられたものです。
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