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【読書】今度の敵キャラは子ども好き?~『創竜伝14<月への門>』(田中芳樹)~

ようやく、完全に初めて読む巻に突入しました。

↑新書版


読みはじめてしばらくは、前の13巻から16年を経て書かれたとは思えないくらい自然で、なかなか楽しく読みました。まぁ、その間の時代の変化を反映して、スマホやSNSが突如登場しだしたのは微妙でしたし、時系列がおかしい箇所もいくつかありましたが、未完になるかと思われた「創竜伝」が、なにはともあれ完結に向けて動き出しただけでも評価に値するでしょう。


ただ、巻頭の「おもな登場人物」に名が載るくらいの主要キャラクターが死ぬシーンに、結構嫌な気持ちになりました。あの方たちが死ぬ必然性は、なかったのではないでしょうか。加えて、名古屋における残酷シーンの嵐は、読んでいて結構きつかったです。「創竜伝」は1巻から意外と殺人シーンが多かったわけですが、まぁ書かれた当時の時代性もあるしな、と、今回読み返す際は思っていました。でも令和の今、なんていうか安易にかつ残酷に人が死ぬシーンをてんこ盛りにする必要は、ない気がします。それこそ時代の変化を反映してほしかった。


印象に残った部分。


民間人が知っているのは表向きのことだけ、政府が発表することだけだ。新聞やTVはその発表をたれ流すだけで、一方インターネットには極端な都市伝説やフェイクニュースがあふれかえる。

本当に、困ったことです。


「まあ、今夜ひと晩くらいは、ゆっくり休ませてやろう。疲れきった子どもたちを相手にするのも、おとなげない」

今巻における最大の敵であるキンピ(「ピ」の漢字が出てこないので、カタカナ表記にします)の台詞ですが、こんなに思いやりのある敵キャラがいまだかつていたでしょうか。竜堂兄弟最年少の余と戦うことを躊躇うシーンもあったし、キンピ、子ども好きなのかもしれません。


さて、次巻はいよいよ最終巻です。どういう決着を迎えるのか、楽しみです。


見出し画像は、今巻でバトルの舞台の1つとなった琵琶湖の写真です。……説明なしでは、どこの湖か分からないような写真ですが(^-^;


↑kindle版



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