【読書】考える手間を惜しんではいけない~『創竜伝8<仙境のドラゴン>』(田中芳樹)~
7巻に引き続き、8巻に突入しました。
↑kindle版
今巻は竜堂兄弟のいる仙界と茉理たちのいる香港、2ヶ所で同時に話が進みます。
↑新書版。私はこちらで読みました。
印象的だった言葉。
これは作中の世界を陰から支配している四人姉妹(フォー・シスターズ)の幹部の一人である老ダニエルの言葉ですが、このような「理想的な人民」にはなっていはいけないと、心底思います。でも増えているんだろうな。
30年前にすでに問題に気付いていながら、解決法を見いだせないまま30年経ってしまいました。もしこのまままた30年経ってしまったら……というか、そうだったら、30年後には人類はいないとまでは言いませんが、今以上に危機的状況にあるでしょうね。
歴史の教員の端くれとして、本当に同感です。
これは女仙の一人で茉理の姉にあたる瑶姫の言葉。これまた30年経っても進歩がないので、残念ながら今でも当てはまってしまいます。
この言葉が気になったのは、「タイムマシン」を「インターネット」に置き換えることができるのではと思ったからです。インターネットは本当に便利ですが、自分で記憶しなくてもググれば良い、自分で研究しなくても人の研究成果を見れば良い、という傾向が強くなっているのは気がかりです。
うーん、現在の世界は中国の神話上の生き物である蜚が現れてしまったのでしょうか。
痛烈な続の言葉ですが、真実です。
これまた真実です。考え、知恵を出しあう手間を惜しんではいけません。
それにしても、7巻と8巻の間にソ連が消滅したことは、田中芳樹にとってよほど強烈な印象を残したようで、本文中にも「まだまだつづく座談会」にも、ソ連の話が出てきます。それこそソ連解体から今年で30年ですが、ソ連時代の悪い部分が復活しつつあるようで、気がかりです。
ちなみに内容以前に気になったのは、帯。
なんとも強烈です。帯の裏面は、こう。
VHSビデオだのCDラジカセだの、時代性を感じます。R賞のカード型リモコンって、何のリモコンかと思ったら、「テレビ」「ビデオ」という字が見えるので、テレビ用でした。
見出し画像は、香港ディズニーランドで撮った地面書道(地書)です。ダンボ……なんでしょうね(^-^; ちょっとゆるいですが。
ちなみに地面書道というのは、地面に水で書や絵を書くというものです。
↑kindle版