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hina_sakurae
冬暁(ふゆあかつき)※詩の朗読台本
冬の朝は、昨日の晩に残した冷たさがそのまま残るように寒く、
そしてその空の美しさは言うまでもない。
これを季語で冬暁(ふゆあかつき)と言うらしい。
僕の朝はベッドの隙間に挟まっているところから始まる。
君はいつも寝相が悪くて、時には寝ぼけて僕のお腹に腕を振り下ろしてきて、それが結構痛い。笑
文句は言うけど、僕は君と一緒に眠りたいから。
まだ眠る君の髪は冷たくて、でもそっと身体を触ると柔らかくて暖かい。
そして女の人の匂いだ。
こうしてもう一度微睡(まどろ)む瞬間が、
本当に幸せで溶けてしまう。
冬は寒くて嫌だった。
冷たくて、凍てつく風に頬が痛くてかじかむ。
独りが染込みやすいから嫌いだったんだ。
今、窓辺からほのかに日差しが指す。
季節は変われども、いつも僕たちの朝はここから。
[完]