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【私には生きる理由がある】あなたがいないこの世界でも
実家の愛犬、そらが体調を崩して早1週間。
そらが吐血したと連絡が来て、ものの15分ほどでリュック一つ背負って家を出た私。そらは一向に回復する気配はなく、本格的な終末期の介護生活が始まった。夫のいる家に長期間戻ることはできそうにないため、予定より1ヶ月早い里帰りとなった。(本来は2月の出産向けて12月の始めに里帰り予定だった)
ただリュック一つで慌てて家を出たため、必要書類や日用品をなに一つ持ってきていなくて。そらの体調が少し安定した日の夜、急遽夫のいる家へと帰り、その次の日の朝にはまた関西の実家へ戻ることとなった。
「急でごめんやけど、これから18時の新幹線に乗って一旦帰るね。明日の朝また関西に帰る。」
そんな連絡を夫にすると、「わかった(๑╹ω╹๑ )駅着く時間教えて、迎えにいくよ(๑╹ω╹๑ )」と返事が来て。いつもと変わらない夫の優しさが介護疲れの身体に染みて、また涙が溢れそうになる。
駅の改札に着くと、いつも通り「ニコニコ(๑╹ω╹๑ )」とした夫が立っていた。「ただいま」。自然と出るその言葉に、夫のいるこの街が私にとって帰る場所として定着していることになぜか嬉しくなった。
「そら大丈夫・・・・・・(๑╹ω╹๑ )?」
「もうどうやって終わりを迎えるかだね」
「そっか・・・・・・(๑╹ω╹๑ )お母さん心配だね(๑╹ω╹๑ )」
「うん、そらの介護もだけど、お母さんのメンタルサポートの方を私は頑張るようにしてる」
「そうだね(๑╹ω╹๑ )まにょちゃんも無理せずにね(๑╹ω╹๑ )」
「ごめんね迷惑かけて」
「大丈夫だよ(๑╹ω╹๑ )お母さんのそばにいてあげな(๑╹ω╹๑ )」
夫は大丈夫というけれど、最近の晩御飯は冷凍ご飯とめかぶ、納豆を食べているという。あまりに質素すぎるご飯に胸がチクリと痛む。
「ちゃんと夫くんの実家にでも行って、おかずもらってきてね。栄養ちゃんととって。」
「大丈夫大丈夫(๑╹ω╹๑ )」
「まにょちゃん(๑╹ω╹๑ )」
「どした」
「里帰り前にまにょちゃんの好きなつばめグリルでご飯食べよって言ってたじゃん(๑╹ω╹๑ )」
「うん、お互いの健闘を祈る会ね。」
「その会できなくなっちゃったから、明日朝イチで俺まにょちゃんの好きなパン買ってきてあげるよ(๑╹ω╹๑ )ニコニコ
母さんが作ってくれたかぼちゃスープもあるし、家でプチモーニングしよ(๑╹ω╹๑ )クスクス」
「無理しないでね」という言葉だけじゃなく、こういった「行動」という形で人を労ることができる夫のことを私は心底尊敬しているし、大好きだ。
「いいの?じゃあメロンパンがいい」
「なんでぇ(๑╹ω╹๑ )?珍しいじゃんメロンパン(๑╹ω╹๑ )」
「ローソンでしょ?ローソンのパンならメロンパンがいい」
「ううん、まにょちゃんの好きなあの駅前のパン屋さんまで行ってあげるよ(๑╹ω╹๑ )」
「え、朝から?夫くん朝から予定あるし大変じゃん」
「大丈夫だよ(๑╹ω╹๑ )自転車でぴゅ〜〜っと行ってくる(๑╹ω╹๑ )」
そらがこの世からいなくなったら失ってしまうそら独特の愛らしさ、愛おしさ、柔らかさ、優しさを埋めてくれる人・生き物は絶対にこれからこの世界に現れることはないのだけれど。そらがいなくても生きていける理由が私にはこの世にある。夫がいるから私はきっとそらを強い心で見送ってあげれるし、きっとそら亡きこの世界を生きていくことができる。あまりの心強さにホッとする反面、17年間そらを人生の相棒として生きてきた母のことが心配になった。深いペットロスに陥るであろう母にとって、私が、そして私のお腹の中にいる母の初孫が、少しでも母の生きていける理由となることを願わずにはいられない。(私は本当に母のペットロスを恐れている。あの関西の女帝・上沼恵美子さんでさえ愛犬が旅立ったあと、過呼吸を起こしたり後追いが過るほどのペットロスに襲われたらしい。)
次の日の朝、夫は眠い目を擦りながら私の大好きなパンを買いにいってくれた。
「まにょちゃんの好きなチョコパン焼きたてだった(๑╹ω╹๑ )!!まにょちゃんついてるね(๑╹ω╹๑ )ニコニコ!!!」
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そう言ってダイニングテーブルにパンを拡げてくれる夫。「美味しい(๑╹ω╹๑ )モッチャモッチャ?」とパンを頬張りながら聞いてくれる夫。「重い荷物だったら俺が今度まにょちゃんち行く時持ってってあげるよ(๑╹ω╹๑ )」と声をかけてくれる夫。
私は夫がいるから生きていける。
夫がいるからそらを見送ってあげられる。
「大好きだよ。愛してるよ。」
そんな言葉をかけたい家族が、私にはいる。
そらがいないこの世界を考えることはまだできないけれど、きっとまたこの世界には、また新しい大好きと愛してるが産まれるのだと思う。
ある日突然私のもとに、夫がやってきたように。
ある日突然私のもとに、そらがやってきたように。
まにょ。