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うしがえるくんとまなちゃん

ぼくは いっしょうけんめい あるいている
こっちがわから あっちがわまで
ものすごい しんどうと 風にたえながら
みぎて ひだりあし ひだりて みぎあし
ぐぅーん ぐぅん

と、だれかが ぼくをみている
じぃっとたって ぼくをみている
おかっぱあたまの おんなのこだ
にんげんは ざわざわと いそがしそうで
みんな あっというまに ふいてったのに


身体がどうにかなりそうで
外に出ずにはいられなかった
ひとしきり散歩した公園で
一生懸命にあるく 君をみた
こっち側から あっち側まで
はじめはトカゲかと思ったんだ
一瞬 足が止まったよ
君が私の手よりも大きかったから
でも 歩みははゆっくりで ふみしめていて
なんだかずっと見ていたくなった

と、賑やかなカップルが通り過ぎる
君のすぐ横だ
待って、カエルだ!ふむなよ
男の子が言う
え、きも!田舎じゃん
女の子が言う
仲良しの友だちをばかにされたようなきもちになって
私はなんだか しょんぼりする

と、こんどは家族づれだ
おい!カエルがいるぜ!
いい年した男が 君のすぐ後ろでジャンプする
なんてのろまなの!
女と子どもは 君のことを追いたてる

災難だな
君はただ 道を渡っているのに
一生懸命に 渡っているだけなのに
どうしてこんなにも さわがれるんだ
どうしてこんなにも 笑われるんだ

でもさ 最後までめげずに
渡るんだぞ うしがえるくん。